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2016年6月18日 (土)

生命の進化は太古に感染したウイルスが関与している その1

人間のゲノムには、太古に感染したウイルス由来の配列が25万6000個あり、全ゲノムの8%を占めているらしい。生命活動を支えるたんぱく質を作る通常の遺伝子領域はゲノムの1.5%だから、ウイルスが生命の進化に与えた影響の大きさがわかる。

例えば人間の胎児を育む胎盤の形成に係る遺伝子シンシチンは、「HERV―W」というレトロウイルス由来であることが判明しており、母体の免疫機能が胎児を攻撃しない仕組みはレトロウイルスから得た特徴だと言うのだから興味深い。

以下、リンク より引用。

■相互作用による進化

 ウイルス感染というと病気に関係する話が多いが、今回はウイルスと我々が、進化の過程でどう影響し合ってきたのかという話をしたい。

 互いの生存に密接な関係がある複数の種が影響を及ぼし合いながら進化することを「共進化」と呼ぶ。捕食者と被食者、寄生者と宿主のように対立関係にある場合、一方が進化すると他方がそれに対抗するように進化する。一方、昆虫と花の関係では、相互適応的に形態を変化させる。被子植物は花粉や種子を昆虫や動物に運ばせるように進化し、昆虫や動物も口を長く伸ばして、変化に対応する。こうした共進化は、究極的には共存の道へと進む。
 私たちが研究しているのは生物とウイルスとの相互作用だ。これも多くは共進化として発展した。

■哺乳類で32万種類

 ウイルスはいつごろから地球上に存在しているのか。地球誕生が46億年前。40億年前にまずRNAを中心とした世界ができ、38億年前には細胞が生まれた。35億年前にはDNAを中心とした世界になった(図1)。
 ウイルスは少なくとも30億年前には誕生していることがわかっている。細胞の誕生とともに、連綿と共存関係が続いていると考えられている。哺乳類が生まれた2億2000万年前には、すでにウイルスがあふれていた。生物の進化はウイルスとの闘いの連続。現存する生物は、進化においてウイルスと共存関係を築くことに成功した種と言える。

 共存関係を獲得したウイルスは病気を起こさないので、発見しにくい。現在確認されているウイルスは2290種。だが、哺乳類だけでも少なくとも32万種類のウイルスがいまだ発見されていないと見られている。ウイルスの数で言うと、地球上には10の31乗個も存在すると言われている。

~中略~

■ゲノムの中に存在

 次に、ゲノム(全遺伝情報)の中に組み込まれている「内在性ウイルス」の話をしたい。ウイルス化石とも呼ばれ、もともとはウイルスだった遺伝情報がゲノムに取り込まれ、生物の進化に多大な影響を与えている(図2)。
 ウイルスの中で、レトロウイルスという種類は、遺伝情報をRNAで持っているが、細胞の中でいったんDNAに変換(逆転写)して、宿主のゲノムに組み込んでから増殖する。

 もしレトロウイルス感染が生殖細胞で起きたら、精子や卵子にウイルスのDNAが組み込まれ、その子孫は体細胞全体にウイルス遺伝子を持つ個体になる。仮に大規模感染が起きると、ほとんどの人類はこのウイルス遺伝子を持つようになる。

 人間のゲノムには、こうしたウイルス由来の配列が25万6000個ある。生命活動を支えるたんぱく質を作る通常の遺伝子領域はゲノムの1.5%しかないが、内在性ウイルスは8%も占めている。LINEやSINEと呼ばれる元はウイルスかもしれない配列も含めると、ゲノムの約半分はウイルス由来かもしれない(図3)。

別所彦次郎 

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