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2016年6月 9日 (木)

生命誕生時の痕跡 海底下生命圏に生息するハイパースライム

【ハイパースライム:超高熱性地殻内独立栄養微生物生態系の英語の頭文字をとった略称(HyperSLiME:Hyperthermophilic Subsurface Lithoautotrophic Microbial Ecosystem)300度近い高熱で生息し、光合成生物などの栄養を摂取しなくても自力で栄養を作れる微生物の生態系。】 今まで生物は生存できないと思われていた数千メートルの海洋底から1Kmくらいのところを掘削して土砂を採集したところ、1立方cmあたり1万を超える細菌が発見された。 これは、従来海底の熱水噴出口生態系といわれる、地中から噴出す熱水とそれに含まれる硫黄などの成分を、『海にいた生物』が利用した生態系と異なり、海洋底から1kmも入った地中から、高熱菌が噴出口経由で海底に噴出しているというものだ。 そのため、海底火山が噴火すると、その周りに多数の高熱菌がばら撒かれる。また、メタンハイドレードやメタンそのものの生成もこれらの菌が担っている。 そして、その土中には、海水が浸潤して水分量が多く、有機物やメタンなどの炭化水素、硫黄やアンモニアなどのイオン、鉄やマンガンなど細胞呼吸に必要な金属など、生命維持に必要な成分がほとんど含まれている。 また、熱水噴出口ごとに生息微生物は異なる。それは、海水が岩石に浸潤した際に、岩石が異なれば溶出する物質が異なることに由来するようだ。 その中でも、インド洋中央海嶺にある「かいれいフィールド」と名づけられた、熱水噴出孔では水素濃度が高く、水素酸化メタン生成菌(水素をエネルギー源にする)という細菌が発見された。 この水素濃度の高さは、地球深部のマントルかんらん岩が浅部に上昇してできる、酸化マグネシウムに富む岩石に由来する。そして、これと似た岩石が、初期地球では豊富だったと考えられている「コマチアイト」といわれる岩石だ。 これらのことから、初期生命は、地殻と海が出来た約40億年前に、海洋底の深くで、宇宙線の影響から逃れて誕生したとする説に繋がっている。

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