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2016年6月21日 (火)

単細胞生物と多細胞生物の適応戦略

《単細胞生物》

単細胞生物というネーミングは、単体細胞で完結した生命体というイメージを生起させるが、実在した微生物(化石)は群として生きている。

つまり、単細胞生物も一匹で生きているわけではなく、バイオフィルムや微生物マット、クオラムセンシングなど同種・異種単細胞生物の集団として共生している。このように見ると、共生集団としての単細胞生物群は、多細胞生物への進化ベクトルの一部を内包していることになる。

そして、

①異種・同種に関わらず、集団を構成する単細胞生物の自由な組み換え。
②集団の構成要素である単細胞生物の分担機能(簡易な細胞分化)の組み換え。
③異種生物間で、外圧を共有するためのプラスミドなどに存在する遺伝子の共有。
④外圧の急変時は、生命活動をほぼ休止する休眠などの手段で、その危機をしのぐ。

このような機能を利用しながら、外圧変化のたびに、集団の構成細胞や機能分担に関するシステム変更で、集団として適応してきた。

それらは、一旦獲得した外圧適応したシステムをリセットして、新たに組み換え再統合が可能な形態になっている。これは、外圧適応した集団の構成細胞の離合集散が可能な適応システムで、細胞集団のリセットが不可能な多細胞生物とは大きく異なる。

その際に、種をまたぐ遺伝子の共有は、様々な外圧に適応する個体進化も促すので、そこで変異した個体を組み込むことで、最適集団が容易に再編成できる。このため、単細胞生物(特に原核単細胞生物)は驚異的な環境適応力をもつ。

また、異種間で遺伝子を交換・共有しているという事実は、多細胞生物が生殖によって種内でのみ、遺伝子交配を行うことと比較して、単細胞生物は種という概念を超えた存在であるともいえる。

《多細胞生物》

多細胞生物の特徴は、物理的に一体なり、分解すると機能発揮できない細胞の集合体であることにある。ただし、単細胞生物時代のなごりとして、単体細胞が遊離して体内に存在する、血球やリンパ球も存在する。

そして、各細胞の極端な機能分化と、神経細胞を核とした細胞全体の高度な統合の実現により、多くの細胞が一体の塊になったまま機能発揮できる適応システムを作り上げた。

その上で、この一体になった体を、ひとつの生物として自ら認識し、その生物集団の統合機能を、体内の多くの細胞の統合機能の上に付加して、適応度をさらに上げた。

この過程で、とりわけ重要なのは、雌雄分化の基幹機能としての、生殖細胞の分化である。この細胞は、すべての単細胞生物が行っている、後世に子孫を残すための分裂機能を一手に引き受け、他の細胞を、子孫を残す役割から開放した。

それゆえ、その後の進化は、生殖機能に縛られず、より高機能な専門細胞への分化と、それらを統合する機能の強化というベクトルに貫かれていく。その結果、体はどんどん複雑化し、全体として、きわめて高度な精密機械のようになっていくていく。

よって、大きな外圧変化に面すると、単細胞生物のように、外圧適応したシステムをリセットして、新たに組み換え再統合することは出来なくなり、単細胞生物群に比べて環境適応度は低下してしまう。

それを、克服するために集団本能の上に、共認機能観念機能などを作り上げ、より高度な集団統合機能を実現してきた。つまり、霊長類などの進化した多細胞生物では、体の進化の限界を克服するため、集団統合機能の強化を最先端の適応戦略として採用するようになった。

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