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2016年10月

2016年10月31日 (月)

生命誕生に関わる、海底での有機分子の濃縮秩序化=生命化過程

【概況】
38~35臆年前(有機分子の濃縮秩序化=生命化過程)

隕石衝突で局所的には還元的大気になるが、それ以外は酸化的な大気のまま。他方、海中では、生物構成材料のほとんどを占めるアミノ酸など親水性有機分子は粘土鉱物と親和的であるため、吸着されて海底に堆積することで濃縮される。また、堆積物内は還元的環境にあるので、有機物は分解されずにのこる。

堆積した、粘土は圧密作用で水が抜けていき、有機物はより接近する。そのような、堆積物(粘土層)はプレートの沈み込み部分で地下に引きずり込まれ、高圧・高熱の続性作用を受ける。その結果、アミノ酸は、脱水重合で、最小のタンパク質として高分子化していく。

他方、海表に浮かぶベンゼンなど疎水性の有機物は、宇宙線、紫外線、酸化的大気の影響で、無機物に分解されるが、粘土に付着した有機物は海底に沈殿したことで、その影響を逃れる。

しかし、遠赤外線領域の電磁波は、深部まで到達する?ため電磁波に円偏光の遠赤外線≒秩序化エネルーが含まれており、L型アミノ酸選択と、更なる高分子化を促し始生命が誕生する。乱雑は熱エネルギーとは異質の、秩序化された高いエネルギーである円偏光電磁波で、エントロピーを下げる過程である。

このとき、膜も必要になるが、当初は無機物で代用していた可能性がある。同時代の、チャートという堆積岩中に多く含まれる、純度の高いシリカは、容易に原核細胞程度の羽毛状の小胞を形成する。初期生命は、これらを利用し、その後、有機物に置き換えた可能性がある。

この過程で、最初に獲得した機能は代謝で、分裂や遺伝機能はその後、の進化の中で獲得していったと推定される。それは、秩序化エネルギーの受信で、いわば生きた状態になってから、遺伝という次世代に生命を引き継ぐ高い機構が作られたと考えるほうが自然だからである。

逆に、RNAやDNAワールドが先にあったとすると、生命でもないのに何故そんな高分子が先に出来たのか?それはいつから生命になったのか?高熱の中でどうやって生き延びたのか?などの疑問に答えられない。これは、遺伝子還元主義ともいえる倒錯した思考である。

【大気・海洋関係】
《隕石衝突減少期の、大気組成と化学反応》
・気体組成
100℃付近では反応は左⇔右で平衡反応(酸化・還元反応)
2NH3⇔N2+3H2
CH4+2H2O⇔CO2+4H2
2H2O⇔2H2+O2
低温のため分子は低速運動→水素(還元剤)も引力圏にとどまる。→酸化・還元的大気環境"

【根拠理論など】
・粘土粒子の表面はマイナスに帯電しており、粒子同士が反発し、コロイド状の分子はそのままでは沈下しないで水中を漂ったままになる。そこに、プラスに帯電した鉱物や粘土親和性の親水性有機物がくっつくと、電気的反発が小さくなり、互いにくっつき合い、沈殿し堆積する。

・この時期、地磁気はまだ形成されていないため、宇宙線が多量に到達し、オゾン層も無いため、紫外線が直接到達するので、海表付近の有機物は分解されやすい。

・海の中に浮かぶ有機物は、大量の水のため分解反応が卓越し高分子にならない。つまり、従来説の、広大な海に浮かぶアミノ酸などが、自然にくっつくという現象は化学的にありえない。

・粘土鉱物堆積物内は還元的になり、有機物の分解が抑制されるので、そのまま存在できる。

・還元性の高い粘土鉱物の中という環境で、地下3~4キロ相当の圧力と熱を加えると、アミノ酸は高分子化し、最小のタンパク質付近までの大きさになること及び高圧環境では合成された有機物は安定度を増すことが実験で確かめられている。

・生物有機分子の水溶液に光を当てると円偏光というらせん状に光になる。それゆえ、円偏光の光に中では光学異性体のうち片側だけ選択されるという仮説。最近、星・惑星の誕生領域の赤外線が、周辺の磁場など影響により、螺旋運動を伴う円偏光という赤外線(電磁波)として複数の場所から観測された。その影響範囲は、太陽系の600倍にも及ぶ。

・現在の、有機分子の非生物的化学合成にも粘土鉱物のカリオナイトが触媒として利用されている。また、医療分野で、モンモリナイトという粘土鉱物が、ヘムタンパク質や視タンパク質のロドプシンの代替物質として機能するという報告がある。

・シリカ小胞は、現代では薬を内包する医療用の新素材として研究されている。

2016年10月28日 (金)

生命も硫黄排出型光合成菌も海底から生まれた

【概況】
36~34億年前(生物誕生)
最古の微生物化石は、酸素の無い状態で、硫黄を代謝してエネルギーとした、原核生物。古細菌の一種と推定されているが。この時期に真生細菌も登場したとされる。両者とも0.5~2μm位のサイズの非常に小さな単細胞生物。

これらが海底の地下深くで、生命前駆体から進化して登場。これは、現在発見されている、ハイパースライムは、この末裔ではないかと推定されている。

34~32億年前
(ハイパースライムの中から、硫黄発生型光合成菌の登場)

硫化水素の豊富な粘土堆積層の中のスーパースライムから、光合成細菌か登場した。この光合成は現在の植物とは異なり、硫化水素を分解し硫黄を生み出すことでエネルギーを得ている。

またこれは、現在の植物とは異なるクロロフィル、「バクテリオクロロフィル」を持ち、それを用いて、光合成をしている。そして、バクテリオクロロフィルは植物クロロフィルが吸収する可視光よりも少し波長が長い近赤外線を吸収する特徴を持つ。この機能を利用して、海底の地球深くの熱から出る、近赤外線を利用して光合成を行った。

光合成細菌は、熱水に近づきすぎてゆだってしまわないセンサーとして色素を使っていたのではないか。赤外線を遠くから感知するためのセンサーとして使われていた色素が、やがて光合成色素に使われるように進化した可能性もある。生物の起源も、光合成の起源も深海にある可能性が高い。

【根拠理論など】

・深海の熱水噴出口で、「αプロテオバクテリア」の仲間と思われる生物が発見され、「Citromicrobium bathyomarinum」との学名が付けられた。αプロテオバクテリアは、ミトコンドリアの起源となった細菌の仲間で、光合成細菌の多くもこれに含まれる。そして、Citromicrobiumも、バクテリオクロロフィルaを持つ。 それに対して、酸素発生型の光合成(植物・シアノバクテリア)は可視光線を利用している。

熱水噴出口近くの温度は400℃にも達する(地下はもっと熱い)。周囲には、弱いながらも赤外線が放射されている。水には赤外線を吸収する性質がある。このため、その部分の波長が削られ、周囲には800~950 nmと1,000~1,050 nmの2カ所でピークを持つ赤外線が放射されている。これは、まさにバクテリオクロロフィルaとバクテリオクロロフィルb色素の吸収波長領域と一致する。

・今までの論理は、光の届く浅海で硫黄排出型光合成菌(初期光合成菌)も登場したとされるが、宇宙線による細胞の破壊や、餌の硫化水素は水中では密度は薄いことなど、矛盾点が多い。

それに対して、海底発生説は、宇宙線から免れ、粘土鉱物に中には硫化水素も濃縮されているため整合する。また、硫黄排出型光合成細菌は、生態的に硫化水素を餌にした化学合成細菌と非常に近いので、進化過程も説明しやすい。

2016年10月25日 (火)

単細胞生物と多細胞生物という分類の不整合点

生物化石の分類で、いまだに単細胞生物か多細胞生物か?や動物なのか植物なのか?の決着がついていないのが、単細胞の繋がったようにも見える21.00億年前グリパニア化石、5.65億年前の、くらげの様に見えるエディアカラ生物群(動物か植物か、単細胞か多細胞か決着がついていない)現在でも原生動物(粘菌・ミドリムシなど)と呼ばれる真核単細胞生物などだ。

この原因は、化石では良くわからないなどの理由にあるのではなく、現在の分類方式が、初期生物学の目に見える形態の分類をそのまま当てはめようとするからであり、どのように適応してきたか?という視点が抜けているからである。

例えば原生生物の分類は、顕微鏡の無かった時代に、生物を動物界(動いて餌を採るもの)と植物界(動物ではないもの)に2分する二界説が出来、その後の顕微鏡の発見で、二界説では分類できない微生物が発見され、三界説、五界説へと改定されてきた。

二界説が適用できなかった微生物には、光合成能力がありながらも鞭毛で運動をするミドリムシ、胞子を作る菌類のようだが、栄養体はアメーバ運動をして餌を食べる動物のような変形菌(粘菌)、固い殻を持ち、光合成をしながら移動能力がある珪藻などがある。

これらの真核単細胞生物群を、新たな原生生物という分類でくくったが、これは系統的にまとまっていると見なしたものではなく、ただの寄せ集めである。最近の、RNA分析+形態の八界分類では、原生生物を主に細胞構成要素から3分したが、これではどのように適応してきたかはわからない。

しかし、分類を無視して原生生物を見ていくと、単細胞と多細胞の進化途中にあり、多細胞が完成する前の試行錯誤の時代の生物と考えられる。そうすると、原生生物の適応戦略を鮮明にし、単細胞生物と多細胞生物の戦略と連続した適応システムを考えることで、生物の本質が鮮明に理解できる可能性がある。

それは、
①酸素利用のためのミトコンドリア取り込みの効果が単細胞と多細胞でどのように異なるのか?

②単細胞も群生しているが、それが緩やかにくっついた状態の細胞分化と本格的な多細胞生物の細胞分化の中身はどう異なるのか?

③多細胞生物への進化の基底的要因である体細胞と生殖細胞の分化の程度を統合度のひとつの切り口にすること。

これらから、細胞個体と細胞集団の統合度という分類で、生物の進化を再統合できないのか?

が考えられる。

2016年10月22日 (土)

地球に生命の種を蒔いたのは彗星か。その奇妙な外観は、地球外微生物の存在で説明できるとの新説

彗星着陸機「フィラエ(Philae)」が着陸を果たした彗星の奇妙な外観は、地球外微生物の存在で説明できるとの新説が6日、天文学者チームから発表されたそうです。表面の黒い外核が、太陽の熱によって沸騰して消えないのは、何者かが絶え間なく物質を補充しているからだと主張されています。

リンク
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2014年に世界初の彗星着陸を果たした欧州宇宙機関の探査機ロゼッタと着陸機フィラエだが、その彗星には微生物が潜んでいる可能性があるという。

有機物を豊富に含んだ黒い地殻など、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)の際立った特徴は、氷の下に生息する微生物の仕業と考えるのが最も理に叶った説明である、と科学者は主張している。しかも、地球の極域よりも生命に適しているそうだ。

ロゼッタはここでウイルス粒子のような有機物の塊を検出したとも伝えられている。しかし、ロゼッタもフィラエも生命の直接的な証拠を探索するための装置を備えていない。そうした提案はあったが、一笑に付されただけだったそうだ。

15年前に同計画に携わっていた天文学者であり、宇宙生物学者でもあるチャンドラ・ウィクラマシンゲ教授は、「とても安価な生命検出実験を盛り込みたいと思っていました。ですが、当時は突飛な提案だと見なされました」と説明する。

彼と英カーディフ大学のマックス・ウォリス博士は、67Pやそれに類似した彗星には、厳しい生息環境で生きる極限微生物のような微生物が存在する可能性があると主張する。こうした彗星は、太陽系が誕生した初期に地球あるいは火星などの他の惑星に生命の種を蒔いたという。

昨年11月、ロゼッタから切り離されたフィラエは、67Pの表面にバウンドして、崖かクレーターの壁と見られる付近に着地するという歴史的な快挙を達成した。ソーラーパネルに届く太陽光が乏しかったことから、休眠モードに入ったが、彗星が太陽に接近したため再び稼働できるようになった。

67Pは「おもちゃのアヒル」のようだと形容される。2つの彗星が細い首で繋がったような外観で、小さい側は2.5×2.5×2.0km、大きい側は4.1×3.2×1.3kmだ。現在、地球から2億8440万km離れた地点を、時速11万7482kmで移動している。

ウィクラマシンゲ教授とウォリス博士のシミュレーションによれば、微生物は彗星の水分の多い領域に生息しているという。微生物は不凍塩を有しており、-40度の低温でも活動することができる。

同彗星は黒い炭化水素の外殻を持ち、これが氷や緩い氷の”海”、再凍結した”湖”が存在するクレーターを覆っている。また、ここには有機物の瓦礫が存在する。

彗星から得たデータは、氷の構造物や芳香族炭化水素、あるいは黒い表面に微生物を含んでいることをはっきりと示唆しているように私には思えます」とウィクラマシンゲ教授。「黒い物質は、太陽の熱によって沸騰して消えながらも絶え間なく補充されています。何かがかなりの勢いでそれをやっているに違いありません」

同教授によれば、これまで氷に走る亀裂が物質を噴き出し、表面に降り積もっていることが示されてきた。これは地下の微生物の活動によってガスが発生し、氷の層がその圧力に耐えられなくなったことが原因であるそうだ。彗星の周囲で水とともに観測されているガスも、生物的メカニズムなら説明がつくとウィクラマシンゲ教授は話す。

フィラエは、67Pの表面に環状および線状鎖の有機分子を確認した。これはメタンなどの単純な炭化水素よりも複雑なものだ。しかし、これがタンパク質を構成するアミノ酸であるか断言することはできない。

彗星の周囲を取り巻くガスの中からは、地球の大気で見られるウイルス粒子にも似た有機分子の塊が発見されている。ウィクラマシンゲ教授は、これが実際にウイルス粒子である可能性はあると考えている。もしそうなら、彗星が太陽に最接近するにつれて、その微生物の活動は活発になるだろう。

地球外生命の可能性について、今まさに常識が覆ろうとしていると教授は話す。

「現在の推定では、銀河に存在する太陽系外惑星の数は1400億個以上とされています。生命を宿すことができる惑星は豊富にあるでしょうし、隣の星系は手を伸ばせば届く距離にあります。生命は宇宙では必然的な現象なのだと思いますね。500年前は、地球が宇宙の中心ではないと受け入れるのは容易ではありませんでした。革命的発見があった後も、生命と生物については地球が中心の座にあり続けています。こうした考えは、人類の科学文化の中に深く浸透しているので、追い出すには多くの証拠が必要になるでしょう」

ウィクラマシンゲ教授は、1970年代に宇宙で有機分子の証拠が発見された当時、主流派からなされた激しい反論を例に挙げた。

67Pや他の彗星の今後の調査については、生命を検出する設備が不可欠だと同教授は考えている。しかし、研究機関は長年に渡って築き上げられたパラダイムをリスクに晒す本格的な生命探査には乗り気ではない。

「ロゼッタは、彗星は凍りついて不活性なものではなく、地質的変化が存在し、南極や北極よりも微生物が暮らしやすいという可能性を既に提示しています」とウォリス博士。

王立天文学会によれば、彗星に微生物が繁殖するには液体が必要であり、氷や雪の裂け目に潜んでいる可能性を示すモデルが天文学者によって提唱されたそうだ。
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引用終わり

松本翔 

2016年10月19日 (水)

多くの多細胞生物は微生物との共生によって生きている“微生物共同体”

人間の栄養摂取は、自身の消化器官の働きだけではなく、体内の微生物(腸内細菌)が、吸収しやすいものに分解したり、必要な栄養素に変換したりしてくれることで成立していることがわかってきました。

昆虫のハムシも、餌とする植物が持つ防衛能力を腸内細菌の力によって抑制し、摂食していることが確認されています。

○ハムシは微生物の力を借りて植物の防衛能力に対抗しているリンク
<Science Newsline>より
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コロラドハムシ(Colorado potato beetles)は植物の葉を食する際に、体内に有している共生細菌を使うことにより植物に対して、食べているのは昆虫ではなく、微生物だと誤認識させることで植物の持っている昆虫に対する免疫能力を無効化していることが、Penn Stateの研究チームの研究成果により明らかとなった。この共生関係により、昆虫とその体内に生きている細菌の両方が健康に、そしてより良く生きることができるのである。

「過去数十年間、私の研究室では植物が持っている誘導防衛機能に焦点を合わせて研究を続けてきた」とprofessor Gary W. Feltonは言う。「私たちは、ハムシの経口分泌が植物の防衛能力を抑制する機能を持っているのではないかと考えてきたが、誰もこのことについて真剣に研究を行ったことはなかったのです。」

昆虫学科の院生のSeung Ho Chungは、Feltonと共に、植物はどのようにして葉を食す昆虫を認識し、そして昆虫の方はどのようにして植物の持っている防衛能力を無効化しているのかを調べることにした。

「私たちは、何が植物の持っている昆虫に対する防衛反応を無効化しているのか、そのメカニズムを特定しようとしたのです。しかし、昆虫が体内に抱えている微生物について知識が及ぶまで、何が植物の防衛反応を無効化しているのかはわからなかったのです」とFeltonは述べる。

Feltonによるとハムシは唾液腺をもっていないため、葉を消化するためにまず、葉の上に口腔分泌物を出す作業を行う。そしてこの分泌物の中に腸内細菌が含まれていたのである。
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【参考】上記実験の詳細内容紹介
○論文)植食性昆虫の共生者による植物防御応答の制御
リンク
<Laboratory ARA MASA のLab Note>

これまでは、“宿主”たる多細胞生物が存在の主体としてみられ、共生微生物は“寄生存在”として認識されることも多かったのですが、“宿主”の生存に不可欠な役割を果たしているものも少なくありません。むしろ微生物が共同体を形成していて、その恩恵を受けているのが“宿主”なのかもしれません。

微生物との共生関係・協力関係を最重要の適応戦略と捉えて、解明していくことは、外圧への適応力を高めていく可能性であると思います。

稲依小石丸

2016年10月16日 (日)

海底の熱水噴出口には光合成の材料が揃っていた!?

海底の熱水噴出口は、太陽光が届かず光合成とは縁がない世界と考えられていたが、光の存在がその生育に必須な緑色硫黄細菌型の光合成細菌が確認された。
また、光環境としては、遠赤外線領域(750 -1,050 nm)の光や、微弱ではあるが、可視光線領域の光(650 -750 nm)も検出されている。

これらを考慮すると、硫化水素と有機酸を用いた光合成(酸素非発生型)は、海底の熱水噴出口付近から始まった可能性は十分に考えられるのでないだろうか。

○熱水生物群集の成り立ちリンク
<光合成の森>より
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熱水噴出口と光

熱水噴出口の周辺の生物は、代謝以外についても通常の生物とは異なった特徴が見られる。例えば、大西洋の熱水噴出口の周りでよく見られるエビの一種Rimicaris exoculataは、外形的には目を持たないが、ロドプシンとよく似た吸収スペクトルを示す色素を含んだ器官を持っている[25]。ロドプシンの吸収は通常500 nm付近に極大を持つが、遠赤領域にもある程度の吸収を持つので、人間の目には見えない熱水噴出口からの赤外線(350℃の黒体放射として近似できる)を感知することによって、熱水噴出口に生息する細菌を摂食するには充分な距離まで近づき、かつ近づきすぎて熱水によってゆでられてしまうことを避けていると予想されている[22]。

熱水噴出口の赤外放射に関連して、光合成生物が熱水噴出口で初期の進化を遂げたとの提案がなされた[21]。これは、細菌についても、熱水噴出口からの赤外線を感知して移動することにより、熱水噴出口から適度な距離を取っているとの予想による。水自体の吸収により、熱源から放射される赤外線は、800 - 950 nmと1,000 - 1,050 nmの2箇所にピークを持つが、これは、生体内におけるバクテリオクロロフィルaとbの吸収極大にそれぞれ近い。熱水噴出口の赤外線のエネルギーは光合成を駆動するには充分ではないが[3]、熱水噴出口の赤外線に対する走光性がいわば光合成への進化への下準備となっていたと考えられなくはない。最初に走光性の光センサーとしてバクテリオクロロフィルが用いられ、これが光合成に転用されたと考えることができる。

その後、1998年になって、実際に太平洋の熱水噴出口から光合成細菌と思われる細菌が単離された[27]。この細菌は、光合成的な生育は観察できなかったが、細胞に集光性複合体と反応中心複合体に結合したバクテリオクロロフィルaと思われる色素を持っていた。この細菌は、16SリボソーマルDNAの配列解析から、αプロテオバクテリアの一種と思われ、Citromicrobium bathyomarinumと名付けられた[28]。さらに、2005年には、光の存在がその生育に必須な緑色硫黄細菌型の光合成細菌が熱水噴出口から単離された [2]。熱水噴出口の生態系の生物生産における光合成の寄与の割合は低いと推定されるが、従来、光合成とは無関係の暗黒の世界であると考えられてきた熱水噴出口のイメージは変更が迫られている。

熱水噴出口の光環境については実測された例があり、実際に遠赤領域(750 - 1,050 nm)の光が検出されている[26]。しかし、650 - 750 nmの領域の光も弱いながら検出されており、遠赤領域の光に関しても熱水噴出口の温度の黒体放射から予想される光量子密度よりずっと高い。このことは、熱水噴出口からの発光に、黒体放射以外のメカニズムも関与していることを示しているが、その具体的なメカニズムについては不明のままである。
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※[ ]内は参考文献(引用元サイト参照)

稲依小石丸 

2016年10月13日 (木)

食品の「乳化剤」が腸炎とメタボ招く~ここでも腸内細菌の影響を確認

食品に添加された乳化剤は、マウスの腸内細菌叢に影響して腸炎やメタボリックシンドロームを促進する、という論文の解説記事を紹介します。

乳化剤は腸の内側を守っている粘液層を破壊しますが、その乳化剤の効果は直接的に粘液を壊しているのではなく、腸内細菌に働きかけた結果として間接的に起こっているようです。

ここでも腸内細菌が深く関わってます。腸内細菌も体の一部、つまり「多くの多細胞生物は微生物との共生によって生きている“微生物共同体”(306136)」だということを再認識します。

以下、「ネイチャー誌が警告、食品の乳化剤が腸炎とメタボ招く、ここでも腸内細菌の影響を確認」リンク からの転載です。
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■「乳化剤」とは

 「食品に添加された乳化剤はマウスの腸内細菌叢に影響して腸炎やメタボリックシンドロームを促進する(Dietary emulsifiers impact the mouse gut microbiota promoting colitis and metabolic syndrome.)」というタイトルの論文だ。ネイチャー誌オンライン版に掲載された。

 タイトルにある通り、今回問題になったのは「乳化剤」だ。アイスクリームや多くの食品に乳化剤として添加されているものだ。乳化剤は材料をお互いに混ざりやすくする役割がある。具体的な成分の名前で言うと、「カルボキシメチルセルロース(CMC)」と「ポリソルベート80(PS80)」。

 このうちPS80は一時発がん性が問題になったが、FDAが1%までなら許容できると認可している。CMCに至っては安全性自体を問題にする必要がないとされてきた。

 このグループは、乳化剤が細胞ではなく、腸の内側を守っている粘液層を破壊する可能性について調べた。

■粘液の層の破壊で変化が

 すると予想通り、食品添加に許されている程度のCMC、PS80を飲ませたマウスでは、普通なら30μm(μは100万分の1)程度、粘液によって離れた場所に隔離されている腸内細菌が10μm近くに多く存在し、粘液の中に多く住めるようになっている。すなわち、粘液によって腸を保護していた作用が破壊されている。

 腸炎を起こしやすい遺伝子の変化を持つネズミでは腸炎を早く起こすようになった。腸の長さは2割も短くなる。

 さらに、いわゆる「メタボリックシンドローム」と呼ばれる状態になる。正常と比べると体重は増え、過食傾向が出る。大変なことだ。

■腸内細菌がいてはじめて影響

 最後に、この効果について、乳化剤が直接粘液に作用して破壊するのか調べている。

 腸内細菌が全くいないネズミに乳化剤を飲ませて調べたところ、粘液が全く破壊されていなかった。乳化剤の効果というのは直接的に粘液を壊しているのではなく、腸内細菌に働きかけた結果として間接的に起こっていると明らかにしているのである。

 腸内細菌の存在しないネズミでも腸の中に新たに腸内細菌叢を移植した途端、粘液の層が破壊されてくる。さらに、乳化剤だけを食べるといった方法ではなく、人間の食生活に合わせて乳化剤を普通の食品から取るような形にしても問題は起こっていた。

 最後にディスカッションで、「20世紀の中盤からクローン病や潰瘍性大腸炎といった腸炎やメタボリックシンドロームが増えた一つの要因は、乳化剤を食品に添加するようになったからではないか」と結論している。

 これは大変な警告だ。

■どちらが最終勝者

 たばこと同じで、因果関係を人間で証明していくのは時間がかかる。ただ、その気になれば、人で本当に問題が起こるかを調べることは可能ではないかと思う。人工甘味料や、今回の乳化剤の危険性を警告する研究は、「自分の体は一つのゲノムを共有する自らの細胞だけからできている」という思い込みに対する警告でもある。腸内細菌叢も体の一部だということが明らかになってきた。

 今、私たちは謙虚かつ真剣にこの警告を受け止めることが必要だ。

 警告を掲載したネイチャー誌は「社会派」とも見えたのだが、こうした印象を持った私自身が間違っているのだろう。警告するのが正常と考えるようになっている。

 今、20世紀の遺産にしがみつこうとする勢力と、21世紀を見始めた勢力の戦いが始まっているように思う。ただ、どちらが最終勝者になるかは明らかだ。勝者に賭ける方が得すること間違いない。

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2016年10月10日 (月)

環境の大変動こそが生物を大きく進化させ、やがては知的生命を生む起爆剤になった

あなたはビル・ゲイツの試験に受かるか?(梶谷通稔)
その4:磁化が解き明かす地球の歴史  
リンク
より転載です。
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■古代生物の種、謎の大爆発

 16億年もの長い間続いた単細胞生命体時代が終ったあとの今から21億年ほど前、なぜ突然、高度複雑な真核細胞が生まれてきたのか、さらにその真核細胞時代がやはり16億年間も続いたあとの今から5億年ほど前(カンブリア紀)に、なぜ突然、生命体が大型化し、さらにそれまで30種ほどだった生命体の種類が一気に13,000種類と爆発的に増えたのか、長い間どうしてもその理由がわかりませんでした。

 この謎の解明に糸口を与えてくれたのが、この岩石内の磁化データでした。
 迷子石というのがあります。周りの風景になじまない、ただ1つポツンと取り残された石や岩です。その成分も周りの岩石などとはまったく異なっており、地質分析などの結果から、これらは氷河に削り取られたもので、その氷河の上に乗って下方に運ばれたのち、氷河が溶けて取り残されたものとわかりました。このことから迷子石の存在は、大昔そこに氷河があったことの裏づけになります。

 南アフリカでたくさん見つかった堆積岩の迷子石。その中には枕状溶岩が収まっていました。枕状溶岩とは、海の中で噴出、流れ出した溶岩が、急速に冷えるため枕状に固まるものです。ここで発見された迷子石は、その上に土砂などが降り積もってできあがった堆積岩で、その後地上へと隆起したそこの地層を氷河が削り取って迷子石にしたものです。

 前述したように、溶岩は出来た当時の磁力線方向を永久保存していますから、その枕状溶岩の磁化状態を詳しく調べてみたのです。すると、どの迷子石でも11度近辺という低い緯度、つまり赤道近くでできたものであることがわかったのです。つまり赤道近くに氷河があったということ、これは地球全体が氷で覆われていた全地球凍結の証なのだそうです。

 赤道近くまで広がる氷の大地でどんどん太陽熱が反射され、また氷で覆われた始めた海からは水の蒸発もなくなり、カラカラの地球上で氷化が加速していった結果、最新の研究によれば、すべての陸上は数千mの厚さの氷床が覆い、海も厚さ千mもの氷に閉ざされたとのことです。

 では、なぜ溶岩の磁化状態でそこの緯度がわかるかといえば、前述したように磁針が北極や南極に近いほど垂直になり、赤道に近いほど水平になるからです。普通、土砂は水平に積もっていくので、堆積岩の地層の傾きは当時の水平と考えられます。そして海底で流れ出し水平にできあがる枕状溶岩。この溶岩に残された磁化方向とそれを包んでいる地層との傾きの度合いを調べれば緯度がわかるというわけです。

 この枕状溶岩や堆積岩のできた年代、つまり全地球凍結の時代は24~22億年前と8~6億年前と判明しました。突如、真核細胞が生まれた21億年前、および突如生命体の大型化・種の大爆発が起こった5億年前の寸前に、これら全地球凍結が起こったというタイミングの一致から、調査研究が進められた結果、全地球凍結のあとで膨大な酸素が作り出された証拠が鉄鉱山やマンガン鉱で見つかりました。この膨大な酸素の供給により、新陳代謝の活発化と大型化の元であるコラーゲンが作られ、生命体の大進化へとつながっていったことがわかってきたのです。

 なぜ、全地球凍結が起こったのか、また何が凍結を終わらせたのか、過去の灼熱球と全地球凍結という2種類の過酷な地球環境の中を、どのようにして生命体は生き残っていったのか、その詳しい内容に興味ある方は、気象学上、生物学上、地質学上、すべてに一貫してつじつまの合う説明のつくようになった最近の研究を、分かり易くまとめたNHK出版の「地球・大進化」シリーズをご覧いただければおわかりいただけると思います。 

 もし地球が母の胎内のように穏やかで安定した星だったなら、生物は進化せず、高等動物も生まれなかった。環境の大変動こそが生物を大きく進化させ、やがては知的生命を生む起爆剤になったことがわかってきたのです。
 全地球凍結の確たる論文が「サイエンス誌」に発表されたのは1999年と、ごく最近のことで、その後、それを裏付ける証拠が世界中で次々と出てきています。そして、宇宙のどこかにいるかもしれない知的生命からの電波を捕えようと、これまで環境の安定した星団方向をターゲットにしていたアレシボ巨大電波望遠鏡の探査基本方針は、それ以来、「大変動の要素をはらんだ星にこそ知的生命は生まれる」として大きく変えられました。
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孫市

2016年10月 7日 (金)

“母の愛”が生まれたワケが奥深い~哺乳類の体内保育の起源~

[Woman excite ママ]のサイトより、『“母の愛”が生まれたワケが奥深い… NHKスペシャル『生命大躍進』が神秘的!(1/2)(リンク)(2/2)(リンク)』より御紹介します。
体内保育の始まりについての新しい説を御紹介します。
-------------------------------------転載
たまに弱音を吐きたくなることもあるけれど、愛しいわが子のためなら何でもできちゃう、子育てって不思議です。とくに人間の母親は、あらゆる生物の中で、これほど献身的な子育てをする生物はいないといわれているそうですよ! 強くて深い「母の愛情」って、一体どこから湧いてくるものなのでしょうか。

6月7日(日)夜9時に放送される、NHKスペシャル「生命大躍進」の第2集によると、その謎を解くヒントは、2億年以上前に私たちの祖先に起きた、「母乳」と「胎盤」の思いがけない進化にあるといいます。

■母乳による子育てが、母親の愛情の始まり
番組内で紹介されているのは、生きた化石とも呼ばれる原始的な哺乳類「ハリモグラ」。

驚くことに、哺乳類にも関わらず卵を産み、汗のように湧き出す不思議な母乳で子育てをします。しかもこの母乳、赤ちゃんの栄養になる以前に、卵を雑菌の繁殖から防ぐ殺菌液の役割も果たしていると考えられるのだそう。

そこから科学者たちが導き出したのが、「母乳はもともと、殺菌物質を含む汗のような液体だった」という大胆な新説! およそ3億年も昔に、私たちの祖先の体内で異変が起こり、卵を守る汗が母乳に変わってしまったというのです。

母乳の起源が汗とは衝撃的。そして、母乳の役割がそもそも「子を守るもの」であったということに、深い愛情を感じます。

ハリモグラの授乳シーンでは母子が触れ合うきっかけとなっている母乳の素晴らしさが改めて感じられます。ちょっと意外な授乳方法ですが、ママとしては感慨深くもあるシーンではないでしょうか。

■子を身ごもる期間が、母親が我が子への愛情を育む期間
そして、もうひとつ“母の愛”を一段と深めることになったのが、「胎盤の誕生」。この胎盤ですが、じつはこれも進化の中で突然生まれたものなのだそう。

いまから2億5000万年前に起きた天変地異。それにより、地球上の生物の96%が絶滅するという大事件が起こりました。そこを生き延びた末に現れた私たち哺乳類の祖先が、「ジュラマイア」。ネズミほどの小さな体に、胎盤を備えるようになったのだとか。

恐竜の時代には、敵に襲われた時に卵を置き去りにせざるを得ないこともあったはず。それがあるとき、思わぬことがきっかけで、胎盤をつくる新しい遺伝子を手に入れ、やがて体のつくりが劇的に変化。母親の免疫が抑えられ、体内にいるわが子を異物と認識して攻撃せず、身ごもることができるようになったそうです。そんな不思議な遺伝子を祖先はどうやって獲得したのか、その驚くべき理由が番組で明かされます。

自分以外の「別の生物」を体内にとどめ、育てていくことができるという、母子の奇跡ともいえるこの現象は、想像を絶する天変地異や絶滅の危機に襲われた末に私たちの祖先にもたらされた、大切な宝物だったというから驚きです。そのおかげで、大変ではありながら、深い愛情に満ちた私たち人間ならではの子育てが生み出されていくことになるのです。
----------------------------------終了

彗星 

2016年10月 4日 (火)

光合成を行う「動物」が存在した。食べ物から「葉緑体」を吸収し、共生しながらエネルギー生成するという驚異のメカニズム

エリシア・クロロティカと呼ばれるウミウシは、生まれつき葉緑体を持っているわけではないが、成長の過程の中で藻を食べることにより光合成できる能力を獲得し、体内葉緑体で自らのエネルギーをつくることができるそうです。

さらにこのウミウシは食べ物の遺伝子を自分のDNAに組み込んでしまったという驚異の進化をとげています。

調査によると、取り込まれた葉緑体が単体で生き延びることはできず、なにかしらの「共生」が成立するためのメカニズムがあり、組み込まれた遺伝子がそのメカニズムに関係あるのではないか、と推測されています。

リンク
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先日、太陽光のみで生きようとして餓死した女性に関して報じましたが、この地上には実際に光合成を行なって生きてゆける動物が存在しています。いったい、どんな生き物なのでしょうか?

この生物の名前はエリシア・クロロティカ(Elysia chlorotica)。アメリカ東海岸の浅い海に広く分布するウミウシの一種。全長2cmから最大で6cm程度、緑色の体色と葉っぱのような薄く平べったい外見が特徴です。

エリシア・クロロティカ
リンク

エリシア・クロロティカは生まれつき葉緑体を持っているわけではありません。成長の過程の中でヴァウチェリア・リトレア(Vaucheria litorea)という名前の藻を食べることにより光合成という「技能」を獲得します。

まず幼生のエリシア・クロロティカはヴァウチェリア・リトレアを探し求め、発見するとこの藻に吸い付きます。そして、細胞の中身を吸い出してしまうのです。この時、葉緑体だけは消化せずに消化管の中に保持し、これを使って残りの一生の間ずっと光合成を行い続けて生きてゆきます。観測された中では、9ヶ月から10ヶ月にも渡って光合成で作られた糖のみを養分として生き続けています。

メイン大学のメアリー・ランポ氏はエリシア・クロロティカ研究の第一人者で、これらの事実を明らかにしてきました。ランポ氏によると、現在最大の謎として残されているのは、なぜ動物の体内で葉緑体がずっと働き続けられるのかということです。

葉緑体は独自の遺伝子を持っていますが、その遺伝子によって作られるのは葉緑体の活動を維持するのに必要なタンパク質の10%に過ぎません。他の90%は藻の細胞核で作られるタンパク質によって賄われていました。いったいどのようにしてエリシア・クロロティカの中で葉緑体は一生の間働き続けられるのでしょうか?

最新の実験で、ランポ氏のチームはエリシア・クロロティカの餌となるヴァウチェリア・リトレアの遺伝子配列を調べました。それによって、やはり藻の細胞抜きに葉緑体単体では活動を続けられないことを確認。

一方、エリシア・クロロティカの遺伝子を調べたところ、その中から極めて重要なヴァウチェリア・リトレアの遺伝子を発見したのです。その遺伝子配列は藻の配列と完全に一致しました。

ランポ氏は「どうやったのか分からないから仮説としてしか言えないけれど」としつつ、このウミウシは食べ物の遺伝子を盗んで自分のものにしてしまったのではないかと考えています。

一つの可能性としては、食べられた藻の遺伝子が消化管の中で葉緑体と共に吸収され、エリシア・クロロティカ自身の遺伝子に組み込まれ、それによって必要なタンパク質が葉緑体に供給されるようになったのではないかと考えられます。

別の仮説としては、エリシア・クロロティカの体内から発見されたウィルスが遺伝子を藻の細胞からエリシア・クロロティカの細胞に運ぶのではないかとのこと。ただ、どちらにせよランポ氏のチームはまだこの件に関して確たる証拠は掴んでいません。

また、驚くべきことに、この藻の遺伝子はエリシア・クロロティカの生殖細胞からも発見されました。つまり、体内で葉緑体の活動を維持させる能力を次世代にも伝えていけるということです。

まだ不明な点も残されているにせよ、このウミウシが光合成をして生きているのは事実。他の動物でも同じようなことができるのかは非常に気になるところ。ひなたぼっこをしているだけでお腹がいっぱいになるというのはなんとも夢のある話です。

もちろん野菜を食べても光合成はできるわけではなく、細胞内に葉緑体を取り込むことと、取り込んだ葉緑体を維持し続ける遺伝子を自ら持っていることが必要となるため、簡単な話ではありません。今後の研究に期待です。
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引用終わり



松本翔  

2016年10月 1日 (土)

動物なのに光合成して生きてゆける不思議な生き物が存在している

 「エリシア・クロロティカ」というウミウシの一種は藻を食べることにより葉緑素を取り込み、光合成の能力を獲得するそうです。そして驚くべきは、その後は光合成で得られた糖のみで生きていくことが可能だということ。どのような仕組みでこのようなことが可能になるのか、実に興味深い生き物です。

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■動物なのに光合成して生きてゆける不思議な生き物が存在している(リンク

Dark Roasted Blend Impossible Plant-Animal Hybrid(リンク
Solar-powered sea slug harnesses stolen plant genes New Scientist(リンク

この生物の名前はエリシア・クロロティカ(Elysia chlorotica)。アメリカ東海岸の浅い海に広く分布するウミウシの一種。全長2cmから最大で6cm程度、緑色の体色と葉っぱのような薄く平べったい外見が特徴です。

エリシア・クロロティカは生まれつき葉緑体を持っているわけではありません。成長の過程の中でヴァウチェリア・リトレア(Vaucheria litorea)という名前の藻を食べることにより光合成という「技能」を獲得します。

まず幼生のエリシア・クロロティカはヴァウチェリア・リトレアを探し求め、発見するとこの藻に吸い付きます。そして、細胞の中身を吸い出してしまうのです。この時、葉緑体だけは消化せずに消化管の中に保持し、これを使って残りの一生の間ずっと光合成を行い続けて生きてゆきます。観測された中では、9ヶ月から10ヶ月にも渡って光合成で作られた糖のみを養分として生き続けています。

葉緑体吸収の様子は以下の動画から。
リンク

メイン大学のメアリー・ランポ氏はエリシア・クロロティカ研究の第一人者で、これらの事実を明らかにしてきました。ランポ氏によると、現在最大の謎として残されているのは、なぜ動物の体内で葉緑体がずっと働き続けられるのかということです。

葉緑体は独自の遺伝子を持っていますが、その遺伝子によって作られるのは葉緑体の活動を維持するのに必要なタンパク質の10%に過ぎません。他の90%は藻の細胞核で作られるタンパク質によって賄われていました。いったいどのようにしてエリシア・クロロティカの中で葉緑体は一生の間働き続けられるのでしょうか?

最新の実験で、ランポ氏のチームはエリシア・クロロティカの餌となるヴァウチェリア・リトレアの遺伝子配列を調べました。それによって、やはり藻の細胞抜きに葉緑体単体では活動を続けられないことを確認。

一方、エリシア・クロロティカの遺伝子を調べたところ、その中から極めて重要なヴァウチェリア・リトレアの遺伝子を発見したのです。その遺伝子配列は藻の配列と完全に一致しました。

ランポ氏は「どうやったのか分からないから仮説としてしか言えないけれど」としつつ、このウミウシは食べ物の遺伝子を盗んで自分のものにしてしまったのではないかと考えています。

一つの可能性としては、食べられた藻の遺伝子が消化管の中で葉緑体と共に吸収され、エリシア・クロロティカ自身の遺伝子に組み込まれ、それによって必要なタンパク質が葉緑体に供給されるようになったのではないかと考えられます。

別の仮説としては、エリシア・クロロティカの体内から発見されたウィルスが遺伝子を藻の細胞からエリシア・クロロティカの細胞に運ぶのではないかとのこと。ただ、どちらにせよランポ氏のチームはまだこの件に関して確たる証拠は掴んでいません。

また、驚くべきことに、この藻の遺伝子はエリシア・クロロティカの生殖細胞からも発見されました。つまり、体内で葉緑体の活動を維持させる能力を次世代にも伝えていけるということです。

まだ不明な点も残されているにせよ、このウミウシが光合成をして生きているのは事実。他の動物でも同じようなことができるのかは非常に気になるところ。ひなたぼっこをしているだけでお腹がいっぱいになるというのはなんとも夢のある話です。

もちろん野菜を食べても光合成はできるわけではなく、細胞内に葉緑体を取り込むことと、取り込んだ葉緑体を維持し続ける遺伝子を自ら持っていることが必要となるため、簡単な話ではありません。今後の研究に期待です。



瀬部倫一郎
 

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