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2016年11月24日 (木)

性と雌雄分化から見た生物史

 性と生殖は~①原核単細胞の性→②真核単細胞の性→③多細胞の性~に分類できると思われるので、以下その時代順に記述していく。

1.原核単細胞時代(40~15億年前)
・原核単細胞には、古細菌と真正細菌の2系統があるが、DNAは剥き出しの状態。DNAをなぜ格納しなかったのかは、最近の定説によると、分裂するのが最大の闘争課題で、そのためにはシンプルである必要があったからだと言われている。また、種の概念が成立する以前の生物であり、DNAが種を越えてやり取りされていたのも大きな理由のひとつらしい。
・危機に瀕した際のDNAの交換は、バイオフィルム状の階層空間を利用したプラスミドの相互交換が中心。さらに、超寒冷期などの最悪の状況下では接合して、相互に相手のDNAを利用し合うケースも稀にあったらしい。それが後のボルボックスなどの群体に進化していったと考えられている。
・真正細菌も古細菌も、本格的な性はまだ持っていないし、大きさ自体が非常に小さく、形態的な分化の限界もあった。そのため、学術的には長年無視されてきたが、最近のDNA解析の技術で、中間種でありながら生殖可能なタイプが次々と発見されてきており、種の区分が不明瞭な点は証明が進んできている。

2.真核単細胞時代(15~6億年前)
・約10億年前には繊毛虫類が登場。当時から遅くとも2億5000年前までには現在と同じ構造のゾウリムシに進化したらしく、代謝核としての「大核」と生殖核としての「小核」を持っている。性の起源として以前から注目されていた。
・この2核の分化が運動と生殖の分化であり、生活環と同型配偶子生殖の起源だと言われている。
・多細胞生物の初期段階あるいは高度な群体とも言えるカイメンも約10億年前に登場したが、カイメンの機構は襟細胞との近似性が高い。また、同型配偶子を活用した生殖を行っている。
・真核単細胞生物の性は、原核単細胞生物と真核多細胞生物の中間に位置し、雌雄分化の前段階の殖産分化のステップと思われる現象が多々観察されている。実は、真核単細胞生物の系統的解析は、最近の分子生物学の成果が活用され始めてからまだあまり期日が経っていないため、かつての分類自体が見直されてきているが、あと4~5年程度で原生動物の全貌がわかると推測されている。
・他にも、真核単細胞生物には多様な性現象を有したものが多く、原生生物の研究は、マーグリス以降、非常に活発になってきた。その影響もあって、現在の最先端では、多細胞動物の起源は何かという視点での系統研究も行われている。

3.多細胞生物(6億年前~現代)
・種の概念がほぼそのまま適用できるようになったのが、多細胞生物時代以降。雌雄分化の“本丸”もこの時代の産物である。
・8~6億年前のスノーボールアースの直後に、エディアカラ動物群→バージェス動物群が海中で適応放散する。脊椎動物の祖先とも言われる脊索動物も5.3億年前には登場した。その後、動物の地上進出は約4億年前頃になる。
・多細胞生物と群体の線引きは曖昧だが、原生生物段階がゾウリムシの「大核」「小核」などの殖産分化だとすると、異型配偶子の登場=精卵分化が多細胞生物の段階になる。
・精卵分化の次のステップが躯体分化だが、肢体の差が明瞭に現れるのは、節足動物系では4.3億年前の昆虫類の登場、脊椎動物への系譜では初期両生類が登場する3.8億年前頃になる。どちらの系譜も、体格などの差が明瞭に現れてきた時代である。
・雌雄分化は性染色体によるものと人間は考えてがちだが、正確には性染色体で性別が固定されるのは、哺乳類と鳥類だけ。爬虫類以前は、環境要因によってオスメスが決まるため、中には成熟してから性転換する種もいる。
・植物は動物よりも少し早く地上に進出したが、オゾン層が形成されたのが5億年前で、その直後から4.5億年前頃までには、コケやシダの他、地衣類(菌類にクロロフィル保有生物が2次共生した共生体)が上陸し、地上進出の最初の段階から雌雄分化が行われていたらしい。ただし、植物は重力に抗して上に伸びていくのが最大外圧なので、餌の取り合いが厳しかった動物に比較すると、雌雄分化の必然性はやや弱い可能性は残っている。

★雌雄分化のポイントは、やはりDNAの多様性の獲得と、オスメスの役割分化(≒躯体の形態の変化)が重要である。その点では、DNAの多様性の獲得は、原核生物時代から徐々に進んできており、真核単細胞時代にほぼ完成したと言えるが、オスメスの役割分化と形態的変化については、まだ3~4億年しか経っていない。このあたりは、次回までに考察しておきたい。

土山惣一郎

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