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2017年2月 4日 (土)

iPS細胞でスプライシングの秘密を読み解けるか?

再生医療の話題を最近あまり耳にしなくなったが、iPS細胞にしろES細胞にしろ、基本的には分化した細胞を“初期化”するための技術がなければ話にならないというのが真実だ。この辺りを京大のグループが証明したわけだが、今日はリンクを参考に、その周辺を検証する。

            【以下引用】

分化した細胞に初期化因子を導入することでiPS細胞へと初期化されますが、その過程でスプライシングパターンも変化しているのかどうか、明らかにはされていませんでした。もし、スプライシングパターンが変化しなければ、同じiPS細胞であっても由来細胞によって大きく性質の異なるiPS細胞になる可能性が考えられます。そこで山本助教らは、大規模遺伝子解析の技術を用いて体細胞とiPS/ES細胞のスプライシングパターンを解析したところ、体細胞のスプライシングパターンが多能性を持ったパターンへと戻ることを明らかにしました。

特に、iPS/ES細胞のスプライシングパターンは精巣のものとよく似ていました。多能性を持ったスプライシングパターンを作る仕組みとして、iPS/ES細胞で特徴的に働くRNA結合タンパク質がスプライシングを調節し、パターンを特徴付けていることを見出しました。

中でもU2af1とSrsf3というRNA結合タンパク質を働かないようにしたところ、体細胞からiPS細胞へと変化する効率が低下し、U2af1およびSrsf3が初期化に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。これらの結果から、スプライシングパターンの変化が、初期化過程に携わる分子ネットワークに主要な役割を果たしていることが示されました。

            【引用以上】

スプライシング領域の解明があまり進んでいないのが分子生物学の現状だが、わかっていることもいくつかある。通常スプライシングで切り取られる箇所は決まっているが、作られる臓器や環境によってエクソンの選ばれ方が変わることがあり(これを『選択的スプライシング』と呼ぶ)、これが1種類のDNAから複数のタンパク質ができる仕組みになっている。

そもそもRNA結合タンパク質との関連についての研究が盛んな分野は、リンクリンクにある通り、神経系や免疫系の分野だった。神経も免疫もiPS細胞同様、成長の中で初期化のプロセスが欠かせないという特徴がある。それは、個体の経験や疾病履歴に応じて大変な差を生み出すことが常に求められているからだ。

神経も免疫も研究題材として大変に興味深い分野だが、おそらく、iPS細胞が人類の役に立とうとすれば、細胞の万能性の解明が可能か否かにかかっていると思う。それは、生物進化に関する研究に貢献できるかどうかと同義だ。ややもすると臨床に目が行きがちだが、基礎領域での研究が今後も必要であり、その点を見誤ると、単なる“造ガン剤”になってしまうと感じるのは私だけではあるまい。その意味で、上記の京大の研究はスプライシングにメスを入れたという点では、一定の評価に値するのではないかと感じている。

匿名希望 

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