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2017年3月15日 (水)

大量絶滅は生物進化の加速装置 その2 進化のきっかけとなる大量絶滅

生命誌ジャーナル記事からの紹介。
「語る科学」 大量絶滅 生物進化の加速装置
(東京大学大学院 総合文化研究科 広域システム科学系 磯崎行雄)
生命誌ジャーナル 2005年春号(生命誌研究館)から
リンク
以下引用・・・・
(4) 地球内にあった大量絶滅の原因
 
超大陸の形成や分裂は、地球内部のマントルでおきる巨大な対流がひきおこす。対流といってもマントルをつくる固体岩石のゆっくりゆっくりした流動的かつ間欠的な動きである。この動きの大きなものは直径が2000kmに達し、スーパープルームと呼ばれる。マントル深部から上昇してきたスーパープルームは、その先端が大陸を持ち上げ、大陸は水平に引伸ばされて裂けてしまう。またプルームの先端が地表に近付くと、そこで岩石が溶けて大量のマグマが発生するため、超大陸の分裂場所は大規模な火山地帯になる。
 
実際にパンゲア大陸が分裂を始めた古生代/中生代境界の地層には多数の火山灰層が挟まれている。スーパープルームが上昇した時、雲仙やピナツボの噴火とは比較にならないくらい激烈な火山活動がおきたのだろう。その結果、大量の粉塵やエアロゾルが大気中に広がり成層圏まで達し、長期にわたって太陽光を遮ったようだ。暗黒化のための光合成の停止や気候の寒冷化、あるいはその後の温暖化、さらに、火山からの有毒ガスの放出と酸性雨など、地球は大きな環境の変化にさらされた。このような急激な気温変化、大気汚染、食物不足などのために世界中の多様な生物が同時に危機を迎え、また未曾有の長期酸素欠乏事件がおきたと考えられる。2.5億年前の三大事件はこのように関連づけられそうだ。
 
(5) 進化のきっかけとなる大量絶滅
 
大量絶滅と聞くと、生きものにとって嫌な出来事という否定的印象を持つ人が多いように思う。しかし、もし恐竜達が生き延びて、今も大きな顔をして地上を歩き回っていたなら、私達人類がこれだけ繁栄することはなかっただろう。同様に2.5億年前のプルームの活動や超大陸の分裂がなければ、あの恐竜達には出番がなかったかもしれないのである。
大量絶滅は、それまでの生物の多くを根絶やしにするかわりに、その後の時代に新しい種類の生物を生み出す。隕石衝突であれ、プルームの活動であれ、環境劣化の原因はやがて消え去り、地球環境は生きものが暮らしやすい元の状態に回復する。すると、生態系に大きな空白がうまれ、幸運にも生き延びたたわずかな生物は、それを埋めるように急速に広がる。そこでの頻繁な遺伝子組み合わせの試みの中で、種の多様化が急速に進んだだろう。
このように、大量絶滅は、既存の生物の消滅と同時に、進化の次の段階を促すアクセルの役割をもっている。過去に大量絶滅が、しかも何回もおきていなければ、私達は今ここにこの姿でいないはずである。また、生物が地球上に住む限り、今後も同じことは避けられない。
巨大隕石衝突の確率は極めて低いだろうが、数億年スケールで活発化するマントル・プルームの間欠的活動は当分おさまりそうにない。現存生物の未来には、次の「氷河期」、「隕石衝突」そして「巨大プルーム上昇」が待ち受けている。地球は決して生物全体に、そして人類にやさしい惑星ではないが、一方で次々に新しい生物を生み出す活気あるすばらしい惑星とも言える。このような眼で地球や生命の歴史を更に調べていこうと思う。
・・・・引用終わり



村田貞雄

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