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2018年1月

2018年1月19日 (金)

哺乳類の細胞内小器官中に古細菌型の脂質が存在

生物の細胞膜の形成に用いられる脂質は古細菌型と、真正細菌・真核生物型の2種類がありますが、真核生物である哺乳類の細胞内小器官の中には、古細菌型の脂質が存在していることが判明しました。
生物は、共通の祖先から、真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)に進化し、その後古細菌(の近縁)から真核生物が進化したと考えられています。
ただ、古細菌型の脂質の存在が確認できない原始的な真核生物もいることから、哺乳類で確認された古細菌型の脂質は、古細菌から進化後に再び取り込まれた可能性があります。
◇理研、哺乳類の細胞内小器官中に古細菌型の脂質が存在することを確認リンク
<マイナビニュース>より
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理化学研究所(理研)は、動物細胞の細胞内小器官の中に古細菌型の脂質が存在することを明らかにし、古来の動物細胞が古細菌と接点を持っていた可能性を示唆した。同成果は、理研基幹研究所 小林脂質生物学研究室のPeter Greimel研究員、Hui-Hui Tan国際プログラムアソシエイト、牧野麻美研究員および小林俊秀主任研究員らの研究チームによるもので、独学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」(オンライン版)に掲載された。
すべての生物の細胞膜は、グリセロールにリン酸が結合したグリセロリン酸に、2分子の疎水性の高い分子(脂肪酸など)が結合した脂質(グリセロリン脂質)の二重層でできている。天然のグリセロリン酸には、リン酸の結合部位の違いにより、ちょうど鏡に写したような関係にあるsn-1型とsn-3型の2つが存在している。
この2つの構造は非常に似ているように見えるが、実際はまったく異なる分子で、哺乳類の動物細胞をはじめとした真核生物からバクテリアと呼ばれる真正細菌(細菌)まで、細胞膜の形成のためにsn-3型だけを選択的に合成して利用することが知られている。一方、生物には真核生物と真正細菌の他に古細菌と呼ばれるグループが存在しており、この古細菌は、細胞膜の形成のためにsn-1型だけを選択的に合成して利用する。グリセロリン酸に疎水分子を結合することは、脂質の合成の最も初期の反応であることから、古細菌は進化の過程の非常に早い時期に、他の生物とはまったく異なる進化をたどったと考えられている。
真核生物は、エンドサイトーシスというメカニズムにより、異物や栄養を細胞膜で取り囲み、小胞を形成して細胞内に取り込む。さらにこの小胞が細胞内小器官(初期エンドソーム)と融合し、そこから再び小胞が形成されて次の細胞内小器官である後期エンドソームに受け渡すことを繰り返す。後期エンドソームは、細胞が取り込んだタンパク質やsn-3型の脂質などを分解するが、その際、ビス(モノアシルグリセロ)リン酸(BMP)と呼ばれる脂質がその他の脂質の分解を促進する。このBMPが分解されずに機能を発揮できる理由として、その構造が他の脂質と異なるsn-1型だからではないかと示唆されているが、その確証は得られていなかった。
BMPは、脂質の基本構造であるグリセロリン酸にグリセリンが結合したジグリセロリン酸に、2分子の脂肪酸が結合している。
研究チームは核磁気共鳴(NMR)を用いて分光学的にジグリセロリン酸部分の立体構造を解析した。実際のNMRによる立体構造の解析には、適当な分子でジグリセロリン酸を修飾し、NMRで判別できる形にする必要があるため、研究チームはsn-1型であるsn-1,1'-ジグリセロリン酸を化学合成した後、修飾剤であるD-カンファー(樟脳)を用いて、化合物(D-カンファービスケタール誘導体)を合成した。また、同様に、理論的に存在可能な立体配置であるsn-3型のsn-3,3'-ジグリセロリン酸、およびsn-3,1'-ジグリセロリン酸のD-カンファービスケタール誘導体も合成した。D-カンファーは、特定の方向に振動する光(偏光)があたると、その面が回転する性質(光学活性)を持つため、このようにD-カンファーで修飾すると、NMRスペクトルの位置関係から、グリセロリン酸がsn-1型なのかsn-3型なのか解析することができるという特長を持っている。
一方、実際の哺乳類動物の培養細胞であるベビーハムスター腎臓細胞から、細胞中にあるリン脂質の1%以下しかないBMPを精製し、不要な脂肪酸部分を除去してジグリセロリン酸のD-カンファービスケタール誘導体を合成した。
このNMRスペクトルを測定し、合成した化合物の測定結果と比較した結果、哺乳類の細胞のBMPから調製したジグリセロリン酸由来のスペクトルは、化学合成したsn-1,1'-ジグリセロリン酸由来のスペクトルと一致することが見いだされ、このことから、哺乳類の細胞にsn-1型の脂質が存在することが明らかとなった。
今回の研究では、真核生物のうち、哺乳類の細胞内のBMPがsn-1型の脂質であることが示されたが、酵母や線虫といった原始的な真核生物からはBMPが検出されておらず、真正細菌ではBMPの報告はあるもののsn-3型であり、動物細胞の後期エンドソームだけにsn-1型の脂質が存在する理由については、明らかになっていない。トキソプラズマのように、感染した寄生虫が後期エンドソームの中で生き続ける例が知られているが、BMPも古細菌が感染した名残なのかもしれないと研究チームでは説明している。
BMPは、その合成経路も分解経路も分かっていない謎の脂質であり、研究チームでは今後の研究でBMPの合成酵素を明らかにし、古細菌の酵素と比較することで古細菌と動物細胞との関係が明らかにできれば、古細菌型の構造をもつBMPが動物細胞のなかに存在する謎を解明できるかもしれないとしており、その結果、脂質の構造から生物の進化の道筋が見えてくることも期待できるとしている。
////////↑↑転載終了↑↑////////




稲依小石丸

2018年1月 7日 (日)

哺乳類と鳥類は動脈と静脈を並走配置とすることで恒温機能を獲得した

血管は血液の通り道で、体内の各所へ酸素や栄養を運搬していますが、動脈と静脈は一定の距離を保ちながら並走する形で張り巡らされています。
この位置関係は、動脈から分泌されるタンパク質成分が、静脈に生じる受容体に作用して、静脈が動脈側に引き寄せられることで形成されます。
このように並走配置とすることで動脈と静脈の間で熱交換を可能とし、体内深部に戻る血液の温度変化を緩和(⇒恒温性を獲得)して、外気温変化への適応性を高めたのです。
◇血管の「かたち」をつくる細胞たちリンク
<JT生命誌研究館>より
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~前略~
 動脈と静脈が並走するしくみは明らかになったが、その意義は何なのだろうか。動脈と静脈が並走しないノックアウトマウスに目立った異常は見られず、正常に成長し繁殖する。ここでヒントをくれたのは、ペンギンの体温調節機能であった。ペンギンが氷の上に立っていても霜やけにならないのは、足の動脈が静脈に巻き付いた形態になっており、両者の間で熱交換をすることで外気温の影響が体の深部に及ぶのを和らげているからなのだ。そこで、動脈と静脈が並走しないマウスを気温の変化にさらしてみると、正常なマウスと比べて深部体温の変化が大きいことがわかった。寒い環境に移すとすぐに体温が下がり、反対に暑い環境に移すとすぐに体温が上がって熱中症になってしまう(図6)。実験用のマウスは常に快適な温度や湿度で飼育されているため、このような異常性に気づかなかったのである。
 実は動脈と静脈が並走するのは、脊椎動物の中でも恒温動物である哺乳類と鳥類のみであり、爬虫類などの変温動物は並走していない。温度調節の観点から文献を調べてみると、約70年前の論文に、並走する動脈と静脈の間での熱交換が、体温調節に関与するのではないかという仮説が提示されていた(図7)。私たちの研究は、この仮説を初めて実証したことになる。
~後略~
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