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2018年6月

2018年6月27日 (水)

現存する有袋類の一部に見られる性闘争本能の著しい強化

オーストラリアに生息する有袋類の一部は、胎生+産後保護により成体になるまでの生存率を高めたが、成体後の淘汰を激しくして、種としての適応力を高めている。
オスは生後10カ月で精子の生成が止まり、一斉に約2週間の発情・交尾期に(メスも)突入し、オスの大多数は交尾期後に絶命する。
個体の存続を最優先とすると“自殺的生殖”と捉えることもできるが、あくまでも「種の存続」という欠乏に導かれ、淘汰適応の必要から性闘争本能を極端に強化した結果である。
◇有袋類の雄が交尾で死ぬ理由、豪チームが解明リンク
<AFPBB News>より
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【10月9日 AFP】一部の有袋類の雄にとって交尾は非常にストレスが多い死に物狂いの行為なので、文字通り「死」に至ってしまうとの研究結果が米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に掲載された。雌が相手を選ばずに不特定多数と交尾しようとすることが、この「自殺的」行為を後押ししているのだという。
食虫有袋類の一部の種が、なぜ交尾の後に死んでしまうのかという疑問は、数十年にわたり科学者らの頭を悩ませてきた。これまでに唱えられた説では、「けんかが原因」や「子孫に食べ物をより多く残すため」といった推測がなされていた。
だが、オーストラリア・クイーンズランド大学(University of Queensland)などの研究チームが発表した論文によると、雄の「集団死」が起きるのは、雌から交尾の誘いがある年に1回の短い繁殖期に、自分の精子を確実に成功に導くための並々ならぬ努力のせいだという。
チームを率いるクイーンズランド大の哺乳類生態学者、ダイアナ・フィッシャー(Diana Fisher)氏は8日、「生殖には常に代償が伴う。生殖は多大なエネルギーが必要な行動だ」と説明した。「だがこのケースでは、有袋類の雄の努力は長期にわたって展開されるのではなく、非常に短い期間に一気に行われる。雄たちはその後、ただ死ぬだけだ」
生殖を1回だけ行って死ぬ生物は、植物や一部の魚類では一般的だが、哺乳類では非常に珍しい。
この珍しい哺乳類の例として、ネズミに似た「アンテキヌス(antechinus)」やオポッサムに似た「オファスコガレーヌ(phascogale)」などの小型有袋類が挙げられる。交尾後の集団死は、オーストラリアに生息するアンテキヌス12種、オファスコガレーヌ3種、齧歯(げっし)類に似たアンテキヌスの近縁種「dasykaluta」の雄のすべてで発生する。
フィッシャー氏によると、これら有袋類の雄は、交尾に没頭しすぎるために男性ホルモンのテストステロンのレベルが高くなり、これが引き金となってストレスホルモンがねずみ算的に増加する「カスケード効果」が発生する。このストレスホルモンの急激な増加により、体内組織が破壊され、免疫系が崩壊するという。
フィッシャー氏は「一度に多数の雌と12~14時間も交尾を行い、競争のように交尾するために筋力と体内組織の限りを尽くし、持てるエネルギーのすべてを使い切る、これが彼らのしていること。これは性的選択だ」とAFPに語る。「雄たちはこうした究極の方法で交尾して、自らの命を絶つのだ」
豪シドニー大学(University of Sydney)と豪タスマニア大学(University of Tasmania)の研究者も参加した今回の研究では、オーストラリア、パプアニューギニア、南米に生息する食虫有袋類52種を比較調査した。この52種すべてが交尾後に死ぬわけではなかった。
調査の結果、雄の交尾後の生存率が低い種の中に、「自殺的生殖」と呼ばれる行動を取る種が含まれていることがわかった。これらの種は、他の種と比べて発情期が短く、体の大きさに対して大きな睾丸を持っており、数多くの雌を受精させることができる。
「短い発情期は、雄間の競争を激化させ、交尾へのエネルギー投入量を増加させて、交尾後の生存率を低下させることを明らかにした」と論文は述べている。
雌もまた、年1回の同時期に一斉に発情期に入ることに加え、相手を選ばずに交尾することで、競争をエスカレートさせている。「雌による交尾前の性選択が、哺乳類の自殺的生殖の進化を後押ししたという結論に達した」と論文は述べている。(c)AFP/Madeleine COOREY
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稲依小石丸

2018年6月24日 (日)

ヒトはミトコンドリアを通して太陽の仕組みを体内に取り込んでいる

引用(リンク)では人工の光による健康への影響を指摘しています。
・・・・・以下引用・・・・・
バイオハックとは、体(そして脳)を充分にコントロールするために「周囲の環境」と「体内」を変える技術のことだ。そして、環境で最も重要な要素の一つは、たぶんあなたがさほど注意を払っていないものだ──「光」である。
研究によれば、光はあなたの体中の細胞に詰まっているミトコンドリアにとって栄養であり、シグナルを送受信する役割を担っている。光はミトコンドリアにいつ何をすべきかを告げ、異なる光の周波数は異なるメッセージを送る。光はただの栄養のようなものではない。100年以上前から僕らは光を医療に使ってきたから、光はむしろ「クスリ」だと言うことができる。
脳と心臓(もしあなたが女性なら卵巣も)に次いで、目は体内で最もミトコンドリアが集中して含まれている部位だ。このため、ミトコンドリアのエネルギー生成を乱すようなことに対し、目はきわめて敏感である。
 (中略)
目の中のミトコンドリアへのエネルギー供給が不安定になるとか、ミトコンドリアのパフォーマンス全般が不振になるだけでも、頭がもやもやしたり頭痛がしたりするが、それに加えて灰色の微妙な色合いを知覚する能力を失うことがある。実際、灰色の色合いに対する知覚の変化はミトコンドリアが毒に曝露したかどうかの診断に用いられる。
いつ何どきでも、目はあなたの周囲の世界について膨大な情報を取り入れるから、脳はそれをすべて処理し解析するために大量のエネルギーを必要とする。目が不自然なスペクトルの光の中で機能せざるをえないとき、ミトコンドリアにストレスを加え、エネルギー生成を減速させ、フリーラジカル生成を増加させ、ミトコンドリアを損傷する。
その結果、脳はなおさら、目が取り入れた光の情報の処理がしにくくなる。このことは頭脳のパフォーマンスを大きく阻害する。ミトコンドリアは互いに連絡を取り合ってもいるから、目のミトコンドリアにストレスがあると、脳、心臓、その他体内のあらゆる場所のミトコンドリアに悪影響を及ぼす。
幸いなことに、あなたは環境にあるさまざまな光をたいていは管理できている。文字どおり問題に光を当てるだけで、ミトコンドリアの機能を改善できる方法はたくさんある。
今日、僕らはかつてないほど不自然なスペクトルの光──これを「ジャンクライト」と呼ぶ──にさらされている。
ふだん家や会社などの室内であなたが浴びている「白色LED」や「電球形蛍光灯」などの新しい人工光には、体と脳に必要な太陽光の周波数の多くが欠けている。人工光では自然の太陽光に見つかる赤外線、赤色光、紫色光が除去されてしまっている。そして青色光(ブルーライト)を僕らが対処できる以上に強化してしまった。
僕らは電気を節約できるエネルギー効率の良い照明を創出することで長足の進歩をとげたが、皮肉にもその同じイノベーションが僕らのミトコンドリアのエネルギー危機を招いている。これぞジャンクライトだ。
ちょうど僕らが自然をいじくりまわし、食物をちょっと変えてジャンクフードを生み出したときに図らずも健康を台なしにしてしまったように、いま、僕らは自然の光源をちょっと変えてジャンクライトを生み出すことで、自分たちの生体を台なしにしている。そしてミトコンドリアはそんな光の中で進化してきたわけではないから、この状況をうまくしのげていない。
 (中略)
僕が最初に光の周波数とその生体に及ぼす影響について気づいたのは、もっと前だった。10代のころ、スキッピーと名づけたイグアナを飼っていたのだが、彼は一定のスペクトルの光を浴びせていないと死んでしまうと聞いていた。自然の日光は大丈夫なのだが、屋内では特殊な爬虫類向けの紫外線がなくてはならなかった。
当時僕は、ヒトと爬虫類はずいぶん違うんだなと思いつつ、なぜ僕らにはそれほど光が重要じゃないのかと不思議に感じたが、ヒトが爬虫類よりずっと進化しているせいだと考えた。だが本当は、僕らとスキッピーは大差がなく、違いは「自分たちのほうがずっと進化している」と考える能力だけだった!
 (後略)
・・・・・引用終わり・・・・・
朝起きたら朝日を浴びると狂ってきた体内時計がリセットされると聞いたことがあります。太陽は地球の環境に大きな影響を与えており、生物はその太陽の仕組みをミトコンドリアを通して体内に取り入れることで、地球環境に同化しているのではないでしょうか。




孫悟空

2018年6月10日 (日)

雌雄分化⇒差異の促進⇒性淘汰の強化は種としての適応可能性を高める軸で貫かれている

生物にとって、有性生殖は手間がかかる方法だが、“同類他者”を生み出すことで、単に同一体を多く増やすよりも種の適応可能性を高めている。また、雌雄の差異化を促進するほど、より複雑な進化を遂げて適応可能性を高めている。
さらに、同類間での性淘汰圧力を強化することで、個体にとっては淘汰され易い厳しい環境とも言えるが、種としての適応可能性を高めている。
◇オスの存在理由、実験で証明されるリンク
<WIRED>より
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~前略~
地球の多細胞生物のほとんどすべての種は、有性生殖を行う。あたりまえの事実にも思えるが、オスとメスという異なる性が存在するのは、生物にとって重い「コスト」だ。なぜなら、自分だけでは新しい世代を生み出せない個体であるオスを生存させるために、多くのリソースが必要だからだ。
(オスが存在することに対して)考えうる説明のひとつが、「メスの好意を得ようとオス同士が争うことで、オスが種の遺伝子プールを改善する」というものだ。それによって、自分たちの新しい世代を、環境の変化やネガティヴな遺伝的変異の影響に対して対応できるようにするわけだ。
この仮説を確かめようと、イースト・アングリア大学の研究者チームは、10年間、管理された条件で、甲虫類の50世代以上にわたる進化を観察した。そして、ダーウィンが性淘汰と定義したものを証明する結果が、最近『ネイチャー』で発表された。
「性淘汰は、オスが生殖のために競争して、メスが相手を選ぶときに作用する。ふたつの異なる性の存在は、このプロセスを促進する」と、研究をコーディネイトしたイースト・アングリア大学の研究者、マット・ゲイジは説明する。
「これによって、誰が自身の遺伝子を次の世代に伝えられるかが決定づけられます。つまり、これは非常に強力な進化のメカニズムなのです。わたしたちが解明したかったのは、このダーウィンの性淘汰が、いかにしてこれほど非効率的な生殖システムの存在を許容することができたのかです。すべての個体が無性生殖するシステムのほうが、多くの数の子孫を生み出すためにはずっと効果的なはずですから」
研究者たちは10年にわたり、さまざまなゴミムシダマシ科の甲虫の集団を異なるレヴェルでの交配実験を行った。
いくつかの集団では、生殖サイクルごとに、90匹のオスが10匹のメスと交配するために互いに競争した。一方、別の集団では、オス・メスの数の割合をより小さくした。そうして7年間の経過を観察したあとで、研究者たちは、ストレスのかかる出来事に対する集団の抵抗力における、実験のさまざまな条件の影響を評価した。
グループ毎の遺伝的状態を評価するために、研究者たちは同系交配を利用した。つまり、互いに血縁関係にあるサンプル同士を交配させたのだ。子孫に害のある遺伝変異が発現しやすくなる状態で、このプロセスを何世代も繰り返した。
オスは役立たずではなかった!
強い性淘汰にかけられた集団は、強い耐性を示して、有害な変異が過度に蓄積して絶滅するまでに、20世代もの間、同系交配によって生み出されて生き延びた。これに対して、性淘汰がより弱かった、あるいはまったくその影響がなかったグループはより耐性がなく、10世代の間にすべて絶滅した。
したがって、オスは役立たずな存在などではなく、彼らが伴侶を見付けるための競争は、種の遺伝的優位性を保つために必要不可欠なのだ。
「これらの結果は、性淘汰がどれだけ重要であるかを示しています。なぜなら、性淘汰はネガティヴな遺伝的変異をなくし、遺伝子プールのなかにポジティヴな遺伝的変異を維持することに役立つからです」と、ゲイジは説明した。
「自身のライヴァルを効果的に打ち負かし、争いのなかで生殖のパートナーを見つけるためには、個体はあらゆる分野で優秀でなくてはなりません。このため、性淘汰は種の遺伝的優位性を維持・改善する、重要で効果的なフィルターとなります。
わたしたちが導き出した結果は、性が支配的な生殖システムであり続けているのは、性選択がこの重要な遺伝的利益を与えることを可能にするからだ、という考えを支持する重要な証拠です」
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雌雄の分化、差異の促進、性淘汰の強化は、とことん種としての適応可能性を高めるという軸に貫かれていると言える。





稲依小石丸

寒冷地域では発酵熱を利用して卵を孵化させる恐竜がいた

恐竜は変温動物であり、一般的には寒冷気候には弱い。しかし、一部は北極圏のシベリアにまで進出していた。
それらの中には、太陽熱や地熱よりも温熱効果の高い発酵熱を利用することで卵を孵化させていた種もいた。
約6600万年前の巨大隕石衝突(→火山噴火→大量の火山灰降下→太陽光遮蔽)がもたらした急激な寒冷化においても、発酵熱を利用して卵を孵化させることで生き延びた種がいたのではないだろうか。
◇寒い地域の恐竜たちが卵をかえすには、「発酵熱」を使う方法があったらしいリンク
<Science Portal>より
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恐竜は爬虫類(はちゅうるい)だ。もちろん今もワニやヘビ、トカゲなどさまざまな爬虫類はいるが、恐竜は今から6600万年ほど前に滅びてしまった。巨大な隕石が地球に衝突したことが原因とされている。滅びてしまったから、恐竜の生態を生きた状態で観察することはできない。だから、今も謎が多い。
大きな謎のひとつは、かなり高緯度の寒い地域にも恐竜がいて、卵をかえしていたらしいことだ。北極圏のシベリアで、卵の化石が見つかっているのだ。卵は冷えると死んでしまう。そんな寒い気候の地域で、無事に卵はかえるのか。暖かい地域の恐竜とは、卵のかえし方にも、なにか違いがあるはずだ。
世界中に分布していた恐竜たちがいろいろなタイプの巣を作って卵を温めていたことは、巣の化石から分かっている。現在のウミガメのように、地面に穴を掘って埋める方法。地面に盛り土をして、その中に卵を入れておく方法。そのほか、鳥のように卵を抱いていた恐竜もいたらしい。これらの方法は、具体的になにがどう違うのか。それが分かれば、恐竜が自分の子を残す繁栄戦略の謎に迫ることもできる。
この疑問に答えるには、今も生きている恐竜の仲間を調べるのが有効だ。ワニの仲間は恐竜の直接の子孫ではないが、「主竜類」と呼ばれる同じ仲間だ。そして鳥類。鳥類は恐竜が進化した直接の子孫で、これも主竜類だ。そこで、名古屋大学博物館で研究している日本学術振興会特別研究員の田中康平(たなか こうへい)さんらの国際研究グループは、ワニや、親鳥が抱卵しないツカツクリという鳥の仲間に関するこれまでの研究を調べた。いずれも、地中や盛り土に卵を産む。その結果、盛り土には植物などの有機物が交じっていることが多く、地面に穴を掘った巣の卵は砂に囲まれていることが多かった。
土に有機物が交じっていると、発酵して熱が出る。畑の肥料にするため牛のふんを積み上げておくと、発酵で発熱して湯気が出るのと同じだ。田中さんらが調べたところ、この発酵熱を使うタイプの巣の温度は、平均すると周囲の気温より7.3度も高かった。一方で、地中に穴を掘って埋める砂タイプの巣には、太陽熱や地熱を利用して温度を上げるものが多く、太陽熱を利用する場合だと、気温より平均で3.9度高かった。発酵を利用するタイプの巣のほうが、卵を温める効果がはるかに高いのだ。
田中さんらは、こうして得られた現在のワニや鳥についての結果を、これまでに見つかっている恐竜の巣の化石に当てはめてみた。たとえば、子どもたちにも人気のブラキオサウルスに代表される首の長い巨大恐竜「竜脚形類」の中には、巣の化石がおもに砂岩から見つかる種類がいて、これは太陽熱や地熱を利用していたらしい。土の発酵熱を使うタイプには、別の竜脚形類やハドロサウルス類がいたようだ。また、鳥のように卵を抱いて温めた可能性が指摘されているオビラプトルサウルス類やトロオドン科の恐竜は、砂にも土にも巣を作っていたらしい。どのみち抱いて温めるので、地面の種類はあまり関係なかったとみられる。
太陽熱を使う砂主体の巣は、あまり加温効果が高くないので、暖かい低緯度から中緯度にかけての地域に向いている。それに対して、発酵熱や地熱を使う巣を作る恐竜や抱卵する恐竜は、極域の寒い地域でも卵をかえせたはずだ。実際に、北極圏のシベリアからは、抱卵や発酵熱で温めていたらしい卵の化石が見つかっている。恐竜が栄えた白亜紀後期(6800万~6600万年前)は、現在より気候が温暖だった。それに加えて抱卵や発酵熱で卵を守ったことで、恐竜たちは北極圏まで進出することができたらしい。「巣のタイプ」は、恐竜がどのように世界に広がっていったのかを考える新たな視点だという。
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稲依小石丸

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