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2018年7月28日 (土)

生命・細胞・血球の起源⑤-2

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 ③共生現象
 『共生』という語は1879年にバリーが用いたもので、2種類の生物が常に密接な形態的、生理的関係を保ち、また互いに利益を与えあって永続的な共存共栄の生活をしている現象をいいます。
 バリーはその最もよい例として地衣類の生活を挙げています。一般に共生現象は案外、割り切った考えで見過ごされているものも少なくないようですが、詳細に研究すると共生と共食生活、そして寄生との間に区別をつけることが困難な場合もあります。場合によっては共生を広義に解して共食生活を含ませ、また相互に生理的な意義をもたないで共に生活している場合を含ませる場合もあります。 生物界を広く、そして深く観察するとき、前述したような共生現象は動的なものであり、時間の経過とともに共生関係が一見すると寄生ではないかと思われる関係もあり、しかもその実は2種の生物の融合によって新しい細胞や新種の生物に進化することもあることは、これまで余り知られていませんでした。ここではこの重要な意義をもつ共生現象と細胞の起源ついて概略を述べておきましょう。
1.共食生活
 これは"食卓を共にする"という語からきています。2種の生物が互いに食べ物を分けあって食べつつ生活する場合をいいます。この例としてヤドカリとイソギンチャクとの関係を範疇に含めたり、スズメの一種がアフリカのサイやゾウの背にとまってその皮膚に寄生している害虫を喰う例、またこれに似た現象として英国のムクドリとヒツジとの関係も挙げられます。
 また海中生物ではある種のカイメン内部には小エビが隠れて生活していたり、サメとコバンザメの関係、さらにある種のカイメン体内には二万種近い他種生物が生活しているのを観察した学者は、このカイメンを『生活用ホテル』…Living hotel…と命名しています。千島も長良川産の淡水カイメン体内に数十種の微生物が生活しているのを観察しています。このような例を共生生活と呼んでいますが、多くの場合が偏利生活(共生者の一方だけが利益を得ている生活)だといえそうです。
2.共生
 この語源は"共に生きる"の意からきた術語であり、自然界においては共生と共食生活との間に厳密な境界を設けることは不可能でしょう。両者の間には中間的なゾーンがあるのが当然だからです。
 寄生虫と宿主とが長い進化史のなかで相互に抵抗性と適応性を獲得し一定の平衡関係を保って共存し、外観的には宿主生物が大きな被害を受けることもなく健康を保持している場合もあります。
 こんな場合は寄生と共生との間に明解な限界を引くことはできません。
 共生現象は2種生物中の一方が他の生物個体の組織中或いは細胞内に入り込んでいる場合を内部共生、個体の外側に付着するものを外部共生といいこの二つに分けられています。
 後者の例としてはアメリカ産のアリが、植物の葉を巣に運び込み堆積させその中に生ずる菌糸を食べて生活する例や、白アリが排泄物で作った団子のなかに生ずる菌糸を食べて生活する例がありますが、このような共生は2種の生物体の細胞や本質的な働きには直接の関係は余りないようです。
 一方前者の内部共生は細胞の成長、進化などと直接に重要な関係をもっています。これについては機会があったときお話しましょう。





本田友人

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