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2018年8月13日 (月)

生命・細胞・血球の起源⑥-1

( リンク )より引用
第1編 細胞と生物学
【10】細胞の起源と微生物との共生現象
 ⑤ 豆科植物と細菌との共生、融合と細胞の起源
①豆科植物と根瘤菌
 土壌バクテリアが豆科植物の根瘤を形成且つ共生し、空中窒素を固定して植物に栄養として与えることは1888年にウイラートによって発見されました。こんにち一般に土中の根瘤菌は始め根毛中に入り、根はその刺激によって表皮の一部が膨大して根瘤となり根瘤菌は後には老化変形して大型叉状の仮細菌となり豆科植物に吸収されると考えられています。
  ボースによると、スカンジナビアのあるクローバーに共生する細菌は抗生物質を分泌して根がカビに侵されるのを防止する役割をもっていると報告しています。これらの報告に対して千島は、その研究と観察結果から『土中の細菌が根毛の内部へ自分の運動によって侵入するといった過程は見ることができない。根に接する土中の有機物中に発生したバクテリア集団が、根毛部と融合して遂には根瘤の形成にいたるものと考えられる。しかもバクテリアは根瘤内で分裂によって増殖するなどといった証拠はまったくない。有機物を母体とて自然発生した細菌は遂には退行して仮細菌となり、最後には植物の栄養として同化吸収されるものと判断される。従ってこの場合にも、細菌は共生体というよりは寧ろ集団的に根毛と融合して一体となるもので、寄生とか捕食と解すべきではなく、下等生物の根本的性質の一つと観るべき集団の形成→融合→同化と有機体制化という現象だと私は考える』と述べています。また、インドのバカランは、エジプトのクローバーの根瘤細胞を研究中、そこに根瘤菌以外の緑藻類の一種も共生していることを発見しました。これは多分、豆科植物の根瘤中に藻類の共生を見出した最初のものでしょう。この緑藻類は最初、根瘤細胞の細胞間隙に現れていたが、次第に細胞内へ侵入して球状のコロニーを形成するといっています。
②菌根
 大部分の多年生植物、樹木その他の根に菌類が絡みついて菌根を形成する現象は一種の共生と考えられ、広く植物界に見られる現象です。19世紀の初め以来この現象について多くの例が知られています。フランクは『森林の樹木の多くは根の周囲を菌糸がもつれるように根を囲み、根の細胞中にも侵入して共生し、いわゆる菌根を形成する。これらの菌類は根毛の組成部分であり、菌類は土中から有機物を摂り、根に運び、根は炭水化物を生成して菌類に与えるが、最後には菌類は根に吸収され窒素源になる』と考えました。
 またコーレイは菌根の作用はフランクが説くほど明解な共生現象ではなく、根毛に対して発育を抑制するほどの害もなく、根も根毛への付着を黙認している程度のものだといっています。しかし、マキの菌根では根瘤内の細胞は菌糸で充満していて空中窒素の固定を行うといわれています。
 根の周囲の菌糸は本質的には根毛の母体であるか、根毛と不可分な関係にあると考えるのが妥当かもしれません。従って根瘤菌等の根に寄生しているかのように見える細菌は、植物体の栄養吸収に役立つことから共生といえます。ただし植物体が病的であるときには、菌類は植物にとって寄生的な存在になる可能性は否定できません。
③ランと共生菌
 ランの根に菌糸が共生していることは古くから知られています。そしてこの共生菌が種子の発芽にとって不可欠なものであるとベナードはいっています。即ち『ランの種子は非常に小さく、数も無数にあってなかなか発芽させることは困難だと考えられていましたが、自然の状態ではこのランの花の柄が地面に向かって曲がり、種子が地面に接すると土中にいる共生菌類が種子の内部に侵入して始めて発芽することが分かった』といい又『種子の内部に侵入した菌糸は種子中の食細胞によって捕食され細胞内で完全に消化されてしまう』と述べ、同様のことをマグナスも確認したといっています。
 これに対してコーレイは『食菌作用は生物体の自己防御作用であるから菌糸が侵入したものを捕食し、その免疫性を働かせて菌糸を細胞内でコイルのようにして発育を抑制し、消化してしまう。
 結局ランとその菌根中の菌類とは固定的な共生関係でもなく、また相互扶助的な関係でもない一種の寄生現象であり、慢性的な疾病がランにとって不可欠なものとなったのだ』と説明しています。
 コーレイが共生現象を動的に観ていることについて千島は『共生現象を動的に観ていることには賛同する。しかし彼は植物の根が細菌や菌類その他の微生物と生理的に深い関係をもち、むしろ不可欠な相互関係を保っているものであることを理解していない。私はこの場合、決して病的原因だとは考えない。コーレイは菌糸がランの種子に入り、食細胞に捕食されていると解しているが、これは種子内部で菌糸の塊が種子細胞に分化し発展している状態であると判断する。このような見解はウイルヒョウ的細胞観に固執する人々からは奇怪の説と見なされるかも知れないが、近き将来、かならず私の見解の妥当性が認められるときが来るだろう』と見解を述べています。



本田友人

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