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2018年8月 3日 (金)

海の魚がわずか120年で淡水に適応する遺伝的超進化を遂げた

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 太平洋に生息するサケ科のスチールヘッド・トラウト(ニジマス)は120年もしないうちにミシガン湖の淡水に遺伝的に適応したそうだ。
 ニジマスは1800年代後半にレクリエーションならびに商業漁業を促進する目的で、北アメリカ五大湖の一つ、ミシガン湖に導入された。
 カリフォルニアからロシアに生息するニジマスは、自然環境では淡水の川で産卵し、海に下り、また産卵のために淡水へと帰るというサイクルを送っている。
 このように降海するのも、海で餌を探した方が、一生を淡水で過ごすよりも大きく成長できるためだ。大きければ、それだけ多くの卵を残せるようになるからだ。
■淡水環境に適応していったニジマス
 ミシガン湖に導入されたニジマスは小さな淡水の支流で産卵を続けているが、今、湖の完全な淡水環境を海の代わりに生活している。
 導入後、ニジマスは自然に繁殖を続け、湖において自立的な個体数を確立するにいたった。
 ニジマスが新しい環境に適応した方法を調べるために、米パデュー大学のマーク・クリスティ氏は264匹の全ゲノムを解析した。
 それからミシガン湖のニジマスと、その祖先が暮らしていた本来の生息域のニジマスの結果を比較し、遺伝的適応に関連する異常値を探した。
 『Molecular Ecology』に掲載された結果によれば、ミシガン湖に導入された後、ニジマスの三つの染色体の領域が進化しており、それによって完全に淡水環境に適応することができたようだ。
■遺伝的に変化した染色体の3つの領域
 遺伝的に変化していた染色体の3つの領域のうち2つは、「浸透圧調整」という体内の膜を通過する塩分とイオンのバランスを維持するプロセスに不可欠なものだ。
 淡水魚は環境中から積極的にイオンを取り入れ、受動拡散による塩分の喪失を補う。一方、海水魚は体内に塩分が摂取されるために、イオンを排出してバランスを取る。
 染色体に起きた変化は、このプロセスに影響するもので、ニジマスが完全な淡水環境で生き延びた方法を説明する。
 もう一つの変化は、代謝と傷の治癒に関係するものだ。これはこれまでと違う餌を利用するか、新しい環境における活動にリソースを割り当てることを可能にしたのかもしれない。
 あるいはウミヤツメという新たな脅威に適応するためのものである可能性もある。ウミヤツメは1930年代頃に図らずもミシガン湖に導入されてしまった生物で、ヒルのように魚に食いつき、大きな傷跡を残す。これによって死んでしまう魚もたくさんいる。
 淡水で傷を負った場合、海水で負った場合よりも細胞の断裂が速いため、より重い傷となる。
 3つ目の変化はこれに対応するためのものだったのかもしれない。ミシガン湖では海の本来の環境に比べると、ウミヤツメの密度が非常に高い。このため単純に選択圧に晒されたとも考えられる。



匿名希望

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