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2018年8月

2018年8月24日 (金)

生物の世界と鉱物の世界

これまで生物の世界と鉱物の世界は別々に動いていると考えてきたがどうやら違うのかもしれない。
リンクより引用します。
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鉱物を解析することで太古の地球に関する数多くの情報が得られることからわかるように、生物学と地質学は密接に絡み合っている。それにもかかわらず、地質学は生物学とはほとんど関係ないとされ、鉱物学はなぜか長い間、壮大な地球の歴史と切り離されて教えられてきたという。しかし鉱物は生物を変え、逆に生物も鉱物を変えるという共依存関係にあり、岩石圏と生物圏は共進化を遂げてきたとする。
地球上の生命の起源において、鉱物は大きな役割を果たしたと考える。太古の時代、生命の素材となるアミノ酸、糖類、脂質といった分子は、炭素を持つ分子とエネルギー源のある環境ならどこでも、ある程度の量が生産されていた。その中で脂質以外の合成された有機分子はほとんど自己組織化されないが、それらは鉱物の表面に付着している。個体の鉱物には分子を選択、凝集、組織化するといった力があり、そのような力を持つ鉱物が、生命の発生に中心的な力を果たしたのではないかと考える。
地球が生まれてまだ間もないころ、酸化還元反応でエネルギーが生じていたが、そのペースはゆっくりしたものであった。誕生した生命体は、こうした酸化還元反応をより効率よくおこなうようになった。微生物はその後次第に反応のスピードを上げていく。地球誕生から20億年が経過しても、地表あるいはその近くで生命体が存在したために鉱物に何らかの影響が生じたという現象は見られなかったが、微生物は、生命が生まれていなかった場合よりも多くの酸化鉄、石灰岩、硫酸塩、リン酸塩を生み出し、こうして次の段階への準備が進んでいく。こうして起こったのが、大酸化イベントである。
25億年以上前の地球には、基本的に酸素(O2)はなかった。酸素発生型の光合成をおこなう細菌(シアノバクテリウム)の出現により、24億年前から22億年前の間に大きな変化が起こり、大気の酸素濃度は現在のレベルの1%以上にまで増えた。この不可逆的な変化により、岩石と鉱物も含む地球の地表近くの環境は大きく変わり、さらに劇的な変化に道を開いていった。
鉱物の世界は生物の世界とは別に動いていると、何百年にわたり誰もが暗黙のうちに考えていた。それに対して著者は、地上に存在する大半の鉱物は生命体が生じた結果できたものであり、「岩石圏と生物圏の共進化」 という説を提唱した。地上に存在するおよそ 4500 の鉱物のうち、約3分の2は、大酸化イベント以降に酸素を多く含む水と前から存在していた鉱物の相互作用により、地殻の浅い部分で形成されたからである。
大酸化イベントの後の10億年(18億5000万年~8億5000万年前)は、目覚ましい生物の進化も見られず、地球史上退屈な時代といわれている。その理由を、以下のように説明する。大気中の酸素が1%に増加しても、それが海洋に反映するまでには長い時間を要した。その一方で、陸地では酸素により風化と酸化が進み、大量の硫黄が海へと流入。海洋は酸素と鉄が乏しく硫黄(硫化水素)が多い状態で安定し(キャンフィールドの海)、その状態が10億年続いた。しかし逆に、この10億年間は、気候や生物のフィードバック、すべてが完璧な、調和のとれたバランスを保っていた、地球史上まれな安定した時代でもあった。
しかし、8億5000万年前にいくつかの変化が始まってバランスが崩れ、気候が変わる転換点を超え、7億4000万年前には、地球は空前絶後の気候不安定な時代に突入した。新原生代(原生代の末ころ)に、氷河が赤道まで広がる全球凍結(スノーボール)がおそらく3回発生。スノーボール現象の終わりには反動で灼熱(しゃくねつ)のホットハウス状態に豹変(ひょうへん)し、両者が繰り返すサイクルが始まった。極端な暑さと寒さを繰り返す中、海岸では風化が進み、リンなどの栄養素が大量に生成し、浅海では藻類が繁殖。その結果大気中の酸素濃度は上昇した。
風化によって形成される粘土鉱物は、新原生代に大幅に増加したことが考えられる。さらに沿岸部での微生物の増殖は粘土の形成を大幅に増加させ、有機物と結合して炭素の埋設が進むことで大気中の酸素量の増加をもたらした。その結果、およそ6億5000万年前には現代に近いレベルまで酸素濃度が増加。複雑な多細胞生物が生まれ、6億年前ころには動物にとって有利な生態系に変化し、カンブリア紀の進化の大爆発へと続いた。
(引用終了)
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やはり鉱物の世界と生物の世界は別々ではなく関係している。
しかも共依存関係とみて良いと考えられる。




尾崎大翔

2018年8月19日 (日)

生命・細胞・血球の起源⑥-2

( リンク )の続き
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 ⑥クロレラと動物細胞の共生と融合
 各種の無脊椎動物の細胞内にクロレラが共生していることはよく知られていることです。この現象は今日においてもその真の意義が十分に理解されていないようです。古典的な説の一つに共生しているクロレラが下等動物の赤血球の起源だとする説がありましたが、今は既に忘れられ顧みられなくなっています。ここでは千島の観察を基礎として内外の研究者たちの成果も総合して、新しくそして重要な千島の見解を述べることにします。
①クロレラの細胞内共生
 クロレラは原藻類に属する単細胞緑藻類の一種とされていますが、主として淡水中に棲み動物細胞中に共生している藻類です。クロレラは共生生活に入る前の自由生活のある相では鞭毛をもっていて活発に水中を運動する時代があります。そのため、時には鞭毛虫に分類されたりすることがありますが、今日では一般に緑藻類であると考えられています。
 シェンコスキーは放射虫類の細胞質中にクロレラが共生しているのを発見しましたが、クロレラの動物細胞との共生の意義や細胞への進化に関連する報告は残念ながらありません。
②クロレラ共生の意義
 コーレイによると、元来クロレラは単細胞でセルローズの被膜に被われ、細胞質の大部分は有色体で占められ1-10ミクロンと大きさには変動がある球体です。葉緑素を含むものは緑色ですが、黄褐色のものもあります。クロレラ細胞中に核があるという説とないという説があり今も統一されていないようです。千島はクロレラに定型的な核が常に存在するという証拠も、また分裂によって増殖するという証拠も確認していないと述べています。
 このようなクロレラが腔腸動物や繊毛虫類、その他の原生動物細胞内にほとんど常に共存していることは確かであり、アメーバやミドリムシがクロレラで充満しているのを千島は観察しているといっています。コーレイの記載では、諸原生動物とクロレラが常に共生いるとは限らず、インド産の夜光虫にはいるが、フランス海岸のものにはなく、ノルマンディ海岸近くのラッパ虫には存在しても、十数キロ離れた地域のものには見られないという。しかし、細胞内のクロレラは時間の経過とともに融合して変化するから、全生活史を調査し観察しなければ、誤った判断を下す虞があると千島は注意を促しています。
 クロレラと共生動物細胞との栄養的関係は、クロレラが太陽光によって炭素同化作用を行い、酸素を遊離させて動物細胞に与え、動物細胞からは炭酸ガスを与えられて相互に共生するものだと考えられています。このことについて千島は『クロレラの共生動物細胞は元来、クロレラ集団から発生したものだから或る時代は動物細胞とクロレラ集団とは区別できない一体のものだと考えねばならない。 随ってこの場合、これまでの意味での共生という語をそのまま適用することは妥当ではない』といっています。
 ⑦共生発光菌
 各種発光動物の発光が発光バクテリアによるものであることは古来から知られています。しかしそれらの発光が凡て共生菌によるわけではなく、腐敗を始めた魚の発光や、或る種の昆虫が発光菌の寄生により発光する場合等は偶発的な寄生によるもので、生理的な発光ではないとされています。
 一方、ホタルや頭足類の或る種のものなどのように発光器官をもっているが、発光菌の共生なのか或いは単なる化学的作用の結果であるのか未解決のまま残されているものもあります。
 ここでは共生菌の働きだと考えられている主なものだけを紹介しましょう。
①ホタル及び頭足類
 発光現象の共生菌説主張の第一人者であるイタリアのペラントニはホタルの発光器官がアリマキの細菌器官と構造的に酷似していること、また発光器官も細菌(球菌・桿菌)と全く等しい形態と染色性をもつもので充満した細胞から構成されていることなどから、ホタルの発光現象は共生菌によるものだと考えました。しかし、ノビコフは化学作用による発光だとしてペラントニの説に反対しています。ペラントニは又頭足類のマイカの発光器官細胞内に発光細菌が共生し、卵子を通して次世代への移転をしており、その発光菌の培養に成功したと述べています。さらにメッシナ海の深海頭足類の発光現象も共生菌によるものと主張していますが、同じイタリアのパントニやモルトーラはこれに反対しており、頭足類やホタルの発光体についてはまだまだ論争が続きそうです。
②発光ホヤ類
 ホヤは海洋性の被嚢動物で間歇的に明るい光を発する生物です。発光器は鰓の両側にあり、発生学上では卵の周囲を包む特殊な細胞に由来し、この細胞は内部に多数のソーセージ型をした小体で充満しています。ジュリンはこれをミトコンドリアと考えましたが、ペラントニは発光菌を含んだ細菌でありこれは細胞を形成し、血液によって体の各部に運ばれると発光菌の共生説を主張しています。
③魚類
 大洋の珊瑚礁に棲む魚の発光器は眼の周囲にあり連続的に発光します。発光器は腺様の構造になっており、管腔内には細菌が連鎖状になって充満しており、これは外部で培養することができます。
 ジャバの或る魚も同様に発光器をもっており、この発光器は胃の入口及び食道の周囲を取り巻いていて反射装置もついているといい腺腔には桿菌が充満しているといいます。日本のマツカサウオもこれと同様の発光共生菌をもっていると岡田要氏が報告しています。
④千島喜久男の見解
 『上記のような様々な説に対し反対、疑問視、又賛同といった論争が続いているが、発光菌様細菌は細胞内で変化してミトコンドリア様体に変化する可能性もあり、又化学的発光物質を生成する可能性も十分にあるから、細胞内共生菌が発光に関与し、時には細胞質に全く同化してしまう場合もあることだろう。だから発光菌の共生を完全に否定することは妥当でない』



本田友人

2018年8月17日 (金)

ヒトを含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内(その1)

表題のあるような驚くべき研究発表がありました。
IN DEEP(リンク)より
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[特報]ダーウィンの進化論が崩壊 : かつてない大規模な生物種の遺伝子検査により「ヒトを含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内」だと結論される。つまり、ほぼすべての生物は「進化してきていない」
【ダーウィンの進化論の全否定】
それは、10万種以上の生物種の DNA と、アメリカ政府の遺伝子データバンクにある 500万以上の DNA の断片を「徹底的に調査した」というものなのです。
そこからいろいろとわかったのですが、最も衝撃的だったのは、
現在地球にいる大半の生物(人間を含む)が地球上に登場したのは、10万年〜20万年前の間だとわかった。そして、「中間種は存在しない」。
ことでした。
その部分を記事の翻訳から抜粋しますと、次のようになります。
おそらく、この研究の最も驚くべき結果は、人間を含む現在地球上に存在する生命種のうちの 10種のうち 9種が 10万〜 20万年前に出現したことが明らかになったことだろう。
これはつまり、この地球の生物の 90%以上は「それ以前への遺伝子的なつながりがない」ということでもあり、もっといえば、
【地球のほとんどの生物は 20万年前以降に「この世に現れた」
のです。】
これがどういう意味かといいますと・・・。たとえば・・・「現行の科学で言われている人類誕生までの地球の歴史」というものは下のようにされています。
46億年前から始まり、35億年前くらいの最初の生物が誕生し、そこから「徐々に」進化してきた……というものです。
しかし、今回の大調査の結果からわかることは、
「徐々に」進化していない
ということなのです。
つまり、20万年より前の部分は、「現在の地球の生物とほとんど関係ない」としか言いようがないのです。
とにかく、ほぼすべての生物種が 10万年から 20万年前に地球に登場しているという可能性が極めて強くなったのです。
何しろこれだけの内容が提示されているニュースなのに、日本語の報道がほぼないのです。
その2へ




岸良造

ヒトを含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内(その2)

その2
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米ニューヨーク・ロックフェラー大学のマーク・ストークル(Mark Stoeckle)氏と、スイス・バーゼ生物種の全面的な大規模遺伝子調査により、生物進化の新しい側面が明らかに
実際に行われたのは「 DNA バーコード(DNA barcodes)」の全調査プロジェクト、というものだ。
これは、アメリカ政府が運営する遺伝子データバンク(GenBank)にある、世界中から数百人の科学者たちによって集められた 10万種の生物種の DNA と、500万の遺伝子断片である DNA バーコードと呼ばれるマーカーが徹底的に調べ尽くされたのだ。
その内容は「生物の進化がどのように展開されたか」についてのこれまでの定説を揺らがせるものだったのだ。
 定説とは何か? 現在の生物学の教科書では、たとえば、アリでもネズミでもヒトでもいいのだが、大規模な個体群を持つ生物種は時間が経過するほど遺伝的多様性が増すとされている。このように時間の経過と共に、生物が進化してきたというのが定説だ。
しかし、それは本当なのだろうか?
その問いに対して、今回の研究の主任著者であるマーク・ストークル氏は次のように述べた。
「いいえ、それは違います」
ストークル氏は、地球上に住む 76億人のヒトも、5億羽生息しているスズメも、あるいは、10万羽生息しているシギたちも、その遺伝的多様性は「ほぼ同じくらいなのです」と AFP に語った。
おそらく、この研究の最も驚くべき結果は、人間を含む現在地球上に存在する生命種のうちの 10種のうち 9種が 10万〜 20万年前に出現したことが明らかになったことだろう。
何しろ、この調査によれば、この地球上にいる生物種の 90%は「ほぼ同じ頃に地球に現れた」ことになるのだ。
これをどう説明すればいいのだろうか?
その 20万年前に何かそれまでの生物種をすべて消し去るようなカタストロフ的な事象が何かあったとでもいうのだろうか。
(中略)
今回、研究者たちは、10万種の生物において、このような DNA バーコードを解析したのだ。
その結果として、ほとんどの動物がヒトとほぼ同時期に出現したことを示す明確な証拠を発見したのだった。
そして、研究者が目にしたものは、いわゆる「中立」な遺伝子変異にばらつきがないことだ。
この「中立変異」は、世代を超えて生じる DNA の微小な変化で、生物個体の生存可能性に対しては有利にも不利にもならない。言い換えれば、進化を後押しする自然淘汰は中立変異が無関係であることを意味する。
この中立突然変異が、互いにどれほど類似してるかは樹木の年輪を見るようなもので、これにより一つの種のおおよその年齢が明らかになる。
その結果、こんにち地球上に生存しているうちの圧倒的多数の種が、ほぼ同じような時期にこの地球に出現したとなると、その理由は一体何なのだろう。
【ダーウィンは困惑している】
環境的な大きな外傷がこの一つの可能性であるかもしれないとロックフェラー大学人間環境プログラムの代表であるジェッセ・オースベル(Jesse Ausubel)氏は説明する。
「ウイルスの蔓延、氷河期、新しい競争相手などを含め、これらはすべて動物の人口数が急激に減少する時期をもたらす可能性があります」と氏は AFP に語った。「これらの時期に、遺伝的イノベーションが生物種を消し去り、新しい種の出現に寄与することは十分にあり得ます」
このような種の人口減をもたらす環境要因等を「ボトルネック効果」というが、これは部分的な説明にしかならないだろう。
知られているところでは、最後の地球での大量絶滅事象は、6550万年前に小惑星だと思われる巨大天体の衝突によって発生した。この時の大量絶滅では、地球上の恐竜と、すべての生物種の大半が消滅した。
今回の研究者のひとりであるタラー氏は以下のように述べた。
「最も簡単な解釈は、生命は常に進化しているということです。進化の過程の中では、いつでも、その時点で生きている動物が比較的最近出現したものであるという可能性が高いのです」
この見解では、ある種が持続するのは一定の期間でしかなく、その後、新しいものに進化しなければ絶滅するということになる。
今回の種の研究からは、予期せぬ別の発見も得られている。
それは、「生物種には非常に明確な遺伝的境界があり、2つの間に位置する中間種は何もなかった」ということだ。
タラー氏は「中間にあるべきはずの種がない」ことについては、ダーウィンも困惑しているのではないか述べた。




岸良造

2018年8月16日 (木)

「世界最古の色素」という明るいピンクが発見される、地球の歴史の謎を解く手がかりに

(リンク
アフリカ、サハラ砂漠の地下深くから採取した岩石から、オーストラリア国立大学のNur Gueneli氏らの研究チームが、約11億年前の「世界最古の色素」を抽出しました。この色素は明るいピンク色をしているそうです。
アフリカ北西部にあるモーリタニアという共和国にあったマリン・ブラックシェシェールから採取された色素は、これまでに見つかっていた「最古の色素」よりも5億年ほど古いもの。色素は古代の海に生息した藍藻が光合成によって産生した葉緑素の分子化石だとのことです。この分子化石は密度が高いと血のような濃い赤色や紫色になりますが、希釈された状態だと明るいピンク色に見えます。
もちろん、この世界の全ての物は「色」を持っていますが、この分子化石の色素は「生物学的な最古の色」にあたる点が特殊といえます。例えばティラノサウルスの骨の化石は灰色や茶色味を帯びていますが、これは、当時のティラノサウルスの肌が何色だったのかを語りません。「世界最古の色素」の発見は、当時の肌の色がそのまま保存されたティラノサウルスの化石を発見するようなものとのこと。分子化石は大きな生物ではありませんが、大きな生き物がまだ存在しない、ティラノサウルスよりも10倍古い時代の「色」を抽出したということになります。
世界最古の色素は、10億年前の岩石を粉状にし、そこから採取した有機体の分子を分析することで発見されました。学位論文のテーマとして同研究を行ったGueneli氏は「古代の色素の精密な分析は、10億年前の海の食物連鎖の基礎において藍藻が支配的だったということの確証となります」と語っています。
また、オーストラリア国立大学准教授のJochen Brocks氏はGueneli氏が色素を発見したと報告した時、にわかに信じられなかったといいます。「ラボで叫び声を聞いた時のことを覚えています。彼女は私のオフィスに走ってきて、手に明るいピンク色のものを持ちながら『これを見てください』と言いました」「その後、それが本物の、11億年前の色素だとわかったのです」とBrocks氏は語っています。Brocks氏によると、この発見は単に「ピンク色の物質を発見した」ということではなく、「地球の歴史において、なぜ大きな生物の登場が遅くなったのか」という謎を解くことに役立つのだそうです。
現代の海では食物連鎖の一番下に存在するのは藻類です。微細藻類は非常に小さいのですが、それでも藍藻の1000倍のサイズとなります。大きな生物が進化するためには食物源としての大きな粒子が必要になるため、今回の発見によって「地球の歴史において、なぜ大きな生物の登場が遅くなったのか」という謎を解く説明の1つとして「大きな粒子の食物源がなかったから」ということが言えるわけです。




鎌田華菜

2018年8月13日 (月)

生命・細胞・血球の起源⑥-1

( リンク )より引用
第1編 細胞と生物学
【10】細胞の起源と微生物との共生現象
 ⑤ 豆科植物と細菌との共生、融合と細胞の起源
①豆科植物と根瘤菌
 土壌バクテリアが豆科植物の根瘤を形成且つ共生し、空中窒素を固定して植物に栄養として与えることは1888年にウイラートによって発見されました。こんにち一般に土中の根瘤菌は始め根毛中に入り、根はその刺激によって表皮の一部が膨大して根瘤となり根瘤菌は後には老化変形して大型叉状の仮細菌となり豆科植物に吸収されると考えられています。
  ボースによると、スカンジナビアのあるクローバーに共生する細菌は抗生物質を分泌して根がカビに侵されるのを防止する役割をもっていると報告しています。これらの報告に対して千島は、その研究と観察結果から『土中の細菌が根毛の内部へ自分の運動によって侵入するといった過程は見ることができない。根に接する土中の有機物中に発生したバクテリア集団が、根毛部と融合して遂には根瘤の形成にいたるものと考えられる。しかもバクテリアは根瘤内で分裂によって増殖するなどといった証拠はまったくない。有機物を母体とて自然発生した細菌は遂には退行して仮細菌となり、最後には植物の栄養として同化吸収されるものと判断される。従ってこの場合にも、細菌は共生体というよりは寧ろ集団的に根毛と融合して一体となるもので、寄生とか捕食と解すべきではなく、下等生物の根本的性質の一つと観るべき集団の形成→融合→同化と有機体制化という現象だと私は考える』と述べています。また、インドのバカランは、エジプトのクローバーの根瘤細胞を研究中、そこに根瘤菌以外の緑藻類の一種も共生していることを発見しました。これは多分、豆科植物の根瘤中に藻類の共生を見出した最初のものでしょう。この緑藻類は最初、根瘤細胞の細胞間隙に現れていたが、次第に細胞内へ侵入して球状のコロニーを形成するといっています。
②菌根
 大部分の多年生植物、樹木その他の根に菌類が絡みついて菌根を形成する現象は一種の共生と考えられ、広く植物界に見られる現象です。19世紀の初め以来この現象について多くの例が知られています。フランクは『森林の樹木の多くは根の周囲を菌糸がもつれるように根を囲み、根の細胞中にも侵入して共生し、いわゆる菌根を形成する。これらの菌類は根毛の組成部分であり、菌類は土中から有機物を摂り、根に運び、根は炭水化物を生成して菌類に与えるが、最後には菌類は根に吸収され窒素源になる』と考えました。
 またコーレイは菌根の作用はフランクが説くほど明解な共生現象ではなく、根毛に対して発育を抑制するほどの害もなく、根も根毛への付着を黙認している程度のものだといっています。しかし、マキの菌根では根瘤内の細胞は菌糸で充満していて空中窒素の固定を行うといわれています。
 根の周囲の菌糸は本質的には根毛の母体であるか、根毛と不可分な関係にあると考えるのが妥当かもしれません。従って根瘤菌等の根に寄生しているかのように見える細菌は、植物体の栄養吸収に役立つことから共生といえます。ただし植物体が病的であるときには、菌類は植物にとって寄生的な存在になる可能性は否定できません。
③ランと共生菌
 ランの根に菌糸が共生していることは古くから知られています。そしてこの共生菌が種子の発芽にとって不可欠なものであるとベナードはいっています。即ち『ランの種子は非常に小さく、数も無数にあってなかなか発芽させることは困難だと考えられていましたが、自然の状態ではこのランの花の柄が地面に向かって曲がり、種子が地面に接すると土中にいる共生菌類が種子の内部に侵入して始めて発芽することが分かった』といい又『種子の内部に侵入した菌糸は種子中の食細胞によって捕食され細胞内で完全に消化されてしまう』と述べ、同様のことをマグナスも確認したといっています。
 これに対してコーレイは『食菌作用は生物体の自己防御作用であるから菌糸が侵入したものを捕食し、その免疫性を働かせて菌糸を細胞内でコイルのようにして発育を抑制し、消化してしまう。
 結局ランとその菌根中の菌類とは固定的な共生関係でもなく、また相互扶助的な関係でもない一種の寄生現象であり、慢性的な疾病がランにとって不可欠なものとなったのだ』と説明しています。
 コーレイが共生現象を動的に観ていることについて千島は『共生現象を動的に観ていることには賛同する。しかし彼は植物の根が細菌や菌類その他の微生物と生理的に深い関係をもち、むしろ不可欠な相互関係を保っているものであることを理解していない。私はこの場合、決して病的原因だとは考えない。コーレイは菌糸がランの種子に入り、食細胞に捕食されていると解しているが、これは種子内部で菌糸の塊が種子細胞に分化し発展している状態であると判断する。このような見解はウイルヒョウ的細胞観に固執する人々からは奇怪の説と見なされるかも知れないが、近き将来、かならず私の見解の妥当性が認められるときが来るだろう』と見解を述べています。



本田友人

脳の記憶能力や認知機能はウィルス由来!?

記憶能力や、認知機能をウィルスから来ているそうです。生物とウィルスの関係は、時として生命の危機にひんしてしまいますが、それを乗り越えたら、生物にとってプラスに働くことになりそうです。
リンクより引用
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■二つのグループによる大発見
 米・ユタ大学とマサチューセッツ・メディカル・スクール大学の二チームからそれぞれ別々に発表され、今月11日付で「Cell」に掲載された二本の論文は、記憶や認知に関わるArcというタンパク質に関わるものだった。このタンパク質は大脳前頭皮質や海馬や扁桃体などといった記憶関連領野で、記憶の形成時にニューロンやシナプスの活性化に伴い発現することがすでに知られていた。また、Arcを人為的に作れなくしたマウスは長期記憶の形成に問題を起こすことが知られている。
二つのチームはそれぞれマウスとハエの神経細胞を使い、ニューロンから放出される細胞膜でできた袋(小胞)について詳細な解析を行った。するとこの小胞にはArcタンパク質が含まれており、中身にはmRNA(タンパク質を作らせる設計図)が入っていた。ニューロンから飛び出した小胞は別のニューロンや細胞に取り込まれ、中に入っていたmRNAを送り届けたのである。研究者らはこの働きが記憶の増強や忘却にも深く関わっているとみている。
Arc遺伝子を解析したところ、このタンパク質はレトロウイルスの持つGagというタンパク質とよく似ていることが分かった。Gagは宿主の細胞の中で作られたウイルスの部品をパッケージングし、細胞外に放出するためのウイルス粒子を作る役割を担っている。Arcはウイルスと似たような仕組みを使って小胞を作り、細胞間の情報伝達を行っていたのである。これは全く新しい発見であった。
■ウイルスと進化
 生物のゲノムには遥か昔に感染したウイルスの痕跡が数多く残っている。ウイルスは宿主細胞のゲノムに自分の遺伝情報を書き込んで自身を複製させるのだが、極稀に生殖細胞に感染したウイルスの遺伝子が宿主の子孫にまで伝わることがある。そのような遺伝子は大抵無害化・不活性化されるが、時に重要な機能を担う遺伝子へと進化することがある。よく知られているのが哺乳類の胎盤で、胎盤の形成や機能に関わる遺伝子がウイルス由来だと判明している。
 今回、二つのチームはマウスとハエという二種類の生物でArcによる神経細胞の情報伝達の新しい仕組みを発見したのだが、さらに興味深い事実も分かった。二つの生物のArcはよく似ているものの、元となったウイルスの遺伝子を獲得した時期と元になったウイルスは違うようなのだ。つまりウイルス遺伝子からの進化はそれぞれの生物で独自に起きたということになる。ウイルス遺伝子の二次利用は我々が考えているよりも、難しくも珍しくもないということなのかもしれない。
 ヒトのゲノム内にもウイルス由来とみられる遺伝子は多数存在する。ウイルスによる感染は時に生存の危機を招くが、生物にはウイルスが残した使えるコードをちゃっかり再利用するしぶとさとしたたかさも持ち合わせているのだ。



匿名希望

2018年8月12日 (日)

酸素は猛毒!?猛毒の酸素から進化した生物①

私達が生きていくために必要な酸素!実は地球が誕生した当初はこの酸素が猛毒だった。
地球が誕生した当初、生物は酸素がない状態で生きていた。
当時の生き物の呼吸は、現在の嫌気呼吸バクテリアの様に、酸素に頼らない方法で行っていたと考えられている。
だが、そこに光合成をする生き物が登場し、光合成生物は、太陽という今までに無いエネルギー源を使い、爆発的に増えた。これにより大気はみるみるうちに、酸素で覆われていった。
嫌気呼吸をする生物にとって、酸化力の強い酸素は猛毒だった。その時に死滅した生物の数は、恐竜絶滅を引き起こしたメキシコの隕石落下とは比べものにならなかったと言われている。
我々が普段生きて行くために必要な酸素が当時の生物にとって猛毒なのは納得できたが、光合成に必要な要素は「水」「日光」「二酸化炭素」だと今まで習ってきた。しかし、酸素に頼らない生物がいたとき、二酸化炭素は無かったのでないかと思った。




匿名希望

2018年8月11日 (土)

地球上の生命はなぜ未だに絶滅しないのか?学者が解明

表題、スプートニクの記事より。リンク
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『地球上の生命はなぜ未だに絶滅しないのか?学者が解明』
英国の生物学者らは、それによって生命が地球の気候や生態系の働きを安定させる性質を獲得したメカニズムを解明した。これは地球上の生命が30億年以上も生き続ける助けとなったという。
学者らの研究結果は、Trends in Ecology and Evolution誌リンクに掲載された。
化学者のジェームズ・ラブロック氏は1972年、温血動物の体が周囲温度の変化に反応するのと同様に、地球の気候や環境はその住民、緑色植物、その他の生物によって直接調整されていることを証明した。
だがこの自立システムはどのように形成され、生命と惑星の「共生」はどのように起こったのだろうか?
エクセター大学のティム・レントン教授をはじめとするチームは、この問いに答えようとした。学者らは、このようなシステムは「ゆっくりとした」進化過程のおかげで生まれたとの結論に達した。そのような穏やかな環境の中では、生命が新しい環境に適応するのに十分な時間があるという。
なお時に進化的「イノベーション」は、生態系全体を不安定にし、地球でくらす全生物の急速な絶滅を引き起こす可能性がある。
典型的な例が、最初のシアノバクテリアの出現と、それによって生じた最も激しい氷河期だ。この氷河期は、生命のこれまでのあらゆる発展を事実上「ゼロ」に戻した。この「安定性の進化」は、生命発展の次のステップである「生存率の選択」と密接に関係している。
同記事の著者の理解によると、生態系を不安定化させる生物は、他のタイプの微生物、多細胞生物、植物よりも速く消滅することになる。
これは最終的に、今日我々が暮らす完全に安定した、自己調整する地球の形成につながる。
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匿名希望

2018年8月 7日 (火)

生命・細胞・血球の起源⑤-3

( リンク )の続き
 ④地衣類における共生現象
 すべての地衣類は菌類と藻類との共生によって生じ、地衣類の白色の部分は菌糸でこれが緑顆層を構成しています。菌類の芽胞は発芽しますがその若い葉状体は、適当な藻類との遭遇がなければ発育を中止してしまいます。これは藻類が炭素同化作用によって有機物を合成し菌に与え、菌は水分及び水に溶解している無機塩類を吸収しその一部を藻類に与えるという共生生活ができないからです。
 地衣類の種類によって共生する菌と藻の種類は大体が一定ですが時には、同一の菌が種々異なる他種の藻類と適応して共生し、別種の地衣類を形成することもあるという報告があります。
 2種の地衣類が同一葉状体のように並んで生育し、或いは反対に同一藻類が種々な菌糸とともに別の地衣類を形成することも知られています。また地衣類は菌糸を従来のものと取り替えることにより他種の地衣類に種の転換を起こすこともあります。
 地衣類を構成している菌類と藻類が共生体の特性だとされる"相互に等しい利益を受けあっている"か否かは、一般に考えられている程はっきりしてはいません。今日においても、次の4説があって未解決のまま残されています。
  ①菌類は藻類を喰って生きていて一種の寄生性がうかがえる。
  ②藻類が菌類に寄生している。
  ③両者は互いに共生生活をしている。
  ④同等の利益交換はない。
 ①説を主張しているスゥエンドナーは菌類が主人であり、藻類は従者だといっています。クモがその巣で虫を捕らえるように、菌類が藻類を取り囲み、その栄養を吸い取るため藻類は数代後にはもはやその存在が認められなくなるといっています。ウオーニングも藻類は独立の生活を営むことができるが、菌類は藻類を必要とします。だから菌類と藻類は特殊な寄生であるとし、ダニロフも菌糸は藻類の内部に侵入して内容を吸収し藻類を死に至らしめるから寄生だと考えています。
 ②説は①説とは反対に藻類こそ寄生性をもち菌類は宿主だとするものです。ベジェリックは地衣類から分離した藻類を硝酸と糖分とで培養を試みましたが成功しませんでしたが、有機性のペプトンを加えたところ始めて培養に成功しました。このことから藻類は菌類から栄養を受けているから藻類こそ寄生性のものだと主張しました。
 ③説は前2説の中間説でバリーやリンクたちによって支持されている説です。リンクは藻類と菌類との関係は緑色植物における葉と根の関係に等しいもの、即ち藻類は自養性で空気中の炭酸ガスから炭水化物を光合成し、菌類からはナトリウムやアルブミン、水分、無機物などを与えられます。
 菌類は藻類の合成した炭水化物の助けをかりてアルブミンその他の物質を合成するから両者は正に共生であると主張しています。
 ④説はコーレイの主張する説で、菌類と藻類とは地衣類において相互に密接に適応していて独立性は失っていますがそのような場合でも藻類は菌類よりも独立生活をしやすい性質をもっています。
 コダッツやその弟子は研究結果から"藻類がペプトンを要求するということで、必ずしもそれを寄生虫のものだと判断することはできない。なぜなら他の下等藻類でも同様の性質をもっているから……。
 前述した4つの説に対し、千島喜久男は次のような意見を述べています。
 『私は地衣類を深く研究したことはないが、菌類その他についてはこれまでの自己の研究を総合して判断するとき、この4つの説は何れも一面の真理を語るものではあるが、どれも不十分な点があると考える。まず第一に共生現象はこれまでかなり固定的に考えられがちだった。なるほど地衣類の生活段階の一定時期においては、菌と藻は互いに等しい利益を交換している時もあっただろう。いわゆる定型的な共生の時代がそれである。…①説…しかし、環境の変化や時間の経過によって一方が他方を消費することで何れかが比較的優位を示すこともあるだろう。それは①や②説に該当する。
 ④説はかなり動的な見解であり、私の考えに近いものだが、コーレイは他の一般生物学者と等しく菌類と藻類とはまったく別種のものであるとしている。たしかにそれは今日の生物学的常識からはもっともなことである。しかし、"種"の概念には今日まだ多くの疑義が残されており、地衣類それ自体が種の転換を起こす場合もあるという説も唱えられている。そのうえ、菌類と藻類との関係は菌糸と胞子との関係に似ている。現に私はある種のカビにおいて、菌糸から生じたいわゆる胞子は藻類と近似的なものではないかと推測している。菌糸が膨大して生じた胞子または芽胞様体が地衣類の組織内では、いわゆる藻類になるのではないかということも推測できる。"菌糸が藻類を取り巻き或いはその内部に侵入している状態"と考えられているものは実は、菌糸の一端から藻類を形成しつつある状態だと考えられないこともない。地衣類において菌類と藻類が常に共存している理由を、両者が偶然に遭遇した結果であると考えるより、一定の環境条件と基質の存在とによって、その場所にバクテリアの発生を先駆として菌類や藻類の発生が可能であろうと私は考える。コーレイの主張する菌類と藻類とを純粋培養することがこの問題の解決策だという考えには賛同できない。なぜなら、地衣類の生育する自然的環境とはまったく異なる人工培地での実験結果は、この場合、正しい意味をもたないことになるからである。
 第二には、現代生物学では生物の発生、成長、進化をすべて細胞分裂を基調としているが、地衣類の場合、細胞分裂がその発生、成長、増殖の基礎となっいることを実証した人があることを私は知らない。恐らくそれは不可能であろう。私の主張している微生物の新生と、それらの融合と分化による新しい細胞、個体、新種への発展進化という観方からすれば、地衣類を構成する2種の生物の関係は時に共生と見られ、時には寄生と考えられる面があっても、それらは凡て時間、環境の諸条件を通じて生物が下次段階の単位からより高次の生物に進化する動的変化の一つの相を示しているものと解するのが妥当だろう。』




本田友人

生き物たちは大量絶滅からすぐに立ち直っていた

約6600万年前の白亜紀末に起きた大量絶滅、実に恐竜など生物の約76%が大量絶滅しています。メキシコ・ユカタン半島への巨大隕石衝突が引き金こなって、この大絶滅が起こったと考えられています。
これまでは、生態系の復活には巨大隕石の衝突から30万年くらいかかったと考えられていましたが、最近の研究で直径200キロに及ぶ巨大クレーター内部を調べたところ、衝突後わずか2~3年で“爆心地”に生命が復活していたことが分かったようです。生命の力強さを感じます。
以下、「生き物たちは大量絶滅からすぐに立ち直っていた」リンク より転載
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地球が誕生してから46億年。ジュラ紀、白亜紀といった時代に陸上の王者だった恐竜たちは、6600万年前に急にいなくなった。それはたしかにそうなのだが、「億年」とか「千万年」という単位で時間を言われても、実感がわかない。ここまで時間のスケールが大きくなると、何十万年、何百万年くらいの違いは、まあどうでもよい誤差範囲のような気がしてくる。こんな大昔の話、細かいことなど、そもそもわからないのではないか……。
だからこそ驚きなのだ。東邦大学の山口耕生(やまぐち こうせい)准教授らの国際研究グループがこのほど発表した論文によると、恐竜を含む多くの生物が滅んだ「大量絶滅」の原因となった巨大隕石の衝突現場で、わずか2~3年後に生き物が復活していた可能性があるという。「年」の細かさで、話ができるというのだ。もちろん、隕石の衝突時期を推定する方法と、その後の環境変化を調べた今回の方法は別物なので、衝突の時期そのものが年単位で推定できるわけではないが、ともかくも、6600万年前の出来事について、こんなに細かい時間精度で話ができるのは、やはり驚きといってよいだろう。
今から6600万年前、現在のメキシコ・ユカタン半島付近に直径10キロメートルほどの巨大な隕石が、秒速20キロメートルくらいで激突した。当時は浅い海だったこの場所は、その衝撃で異常な高温となった。あまりに急激な昇温で、これはもう爆発といったほうがよいくらいだ。海底の堆積物などは吹き飛んで、直径200キロメートルほどの巨大な「チチュルブ・クレーター」ができた。海底堆積物の下の硬い岩盤も一部が溶けたが、すぐに流れ込んできた海水で固まって、クレーターの底に沈んだ。大津波も起きて大小さまざまな岩石片が水中にまきあげられ、大きなものから順に沈んだ。
衝突の中心地の近くでは、細かい泥の粒も大量に水中を漂っていて、それがどんどん沈んでいった。山口さんによると、海底に泥が降り積もる速さは、大きな海の真ん中だと数千年で1センチメートルくらいがふつうだ。つまり、地層をミリ単位で細かく調べたとしても、わかるのはせいぜい100年単位の変化だ。だが、ここではあっという間に1メートル近く積もった。ということは、きわめて短い時間に起きた変化を追究できるわけだ。
山口さんらの研究グループが利用したのは、国際深海科学掘削計画(IODP)で2016年に採取された試料だ。洋上の施設からパイプを縦に下ろして海底に突き刺し、チチュルブ・クレーター部分に積もった地層を800メートルほど貫いて採取した。今回の研究では、この柱状の試料のうち、巨大隕石の衝突が記録されている部分を分析した。
そうしてわかったのは、巨大隕石の衝突で生き物たちが完全に破壊されてから「あっという間」に、生態系が回復していたことだ。注目したのは、衝突のエネルギーで岩石が溶けて固まった部分の直上から、通常の海底の堆積が始まるまでの約80センチメートルの部分。海中に巻き上げられた泥などが積もっていったこの特殊な部分に、生き物が海底を動き回った跡が化石としていくつも記録されていたのだ。動き回った跡の上に泥が積もり、新たな海底にできた跡の上にふたたび泥が積もり……。これが繰り返されていた。生き物が復活していた証拠だ。
問題は、この80センチメートルが、どれくらいの時間をかけて積もったのかということだ。生物種の変化による推定法、泥などが水中で沈降する速さをもとにした物理的な推定法など、複数の手法で計算したところ、長く見積もって3万年、短ければ6年ほどで積もることがわかった。この論文では、海中の泥などをきわめて細かい粒子とみなして計算しているため「6年」の数字が出ているが、実際にはこれより大きな粒子も多いはずで、山口さんによると、その何十分の一の時間で積もった可能性もあるという。
つまり、巨大隕石で完全に破壊された生き物の世界が、早ければ数年、長くても3万年ほどのあいだに復活してきていたということだ。そして山口さんは、「『海底で動き回った跡』がみつかった点が重要だ」と指摘する。
太陽の光が届かない海底の生き物のえさは、海の浅いところで暮らす植物プランクトンなどが光合成で作る栄養分がもとになっている。したがって、海底を動く生き物がいたということは、太陽光で生き物の栄養分がまず作られ、それが他の生き物のえさになる「食物連鎖」ができあがっていたことを意味している。たんに、なにか生き物がいたというだけでなく、生き物どうしが関係しあう生態系というシステムが復活していたことを意味するのだという。研究グループでは、衝突から2~3年以内に生き物が復活し、遅くとも3万年以内には生態系ができあがっていたとみている。
これまでは、生態系の復活には巨大隕石の衝突から30万年くらいかかったと考えられていた。それに比べれば、2~3年、あるいは3万年でも、「あっという間」といってよいだろう。この衝突では、生物種の8割が絶滅したとされている。衝突の中心地でさえ、生き物たちはしたたかに、あっという間に復活し、新たな生態系を作っていたのだ。




 
斎藤幸雄 

2018年8月 3日 (金)

海の魚がわずか120年で淡水に適応する遺伝的超進化を遂げた

リンク
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 太平洋に生息するサケ科のスチールヘッド・トラウト(ニジマス)は120年もしないうちにミシガン湖の淡水に遺伝的に適応したそうだ。
 ニジマスは1800年代後半にレクリエーションならびに商業漁業を促進する目的で、北アメリカ五大湖の一つ、ミシガン湖に導入された。
 カリフォルニアからロシアに生息するニジマスは、自然環境では淡水の川で産卵し、海に下り、また産卵のために淡水へと帰るというサイクルを送っている。
 このように降海するのも、海で餌を探した方が、一生を淡水で過ごすよりも大きく成長できるためだ。大きければ、それだけ多くの卵を残せるようになるからだ。
■淡水環境に適応していったニジマス
 ミシガン湖に導入されたニジマスは小さな淡水の支流で産卵を続けているが、今、湖の完全な淡水環境を海の代わりに生活している。
 導入後、ニジマスは自然に繁殖を続け、湖において自立的な個体数を確立するにいたった。
 ニジマスが新しい環境に適応した方法を調べるために、米パデュー大学のマーク・クリスティ氏は264匹の全ゲノムを解析した。
 それからミシガン湖のニジマスと、その祖先が暮らしていた本来の生息域のニジマスの結果を比較し、遺伝的適応に関連する異常値を探した。
 『Molecular Ecology』に掲載された結果によれば、ミシガン湖に導入された後、ニジマスの三つの染色体の領域が進化しており、それによって完全に淡水環境に適応することができたようだ。
■遺伝的に変化した染色体の3つの領域
 遺伝的に変化していた染色体の3つの領域のうち2つは、「浸透圧調整」という体内の膜を通過する塩分とイオンのバランスを維持するプロセスに不可欠なものだ。
 淡水魚は環境中から積極的にイオンを取り入れ、受動拡散による塩分の喪失を補う。一方、海水魚は体内に塩分が摂取されるために、イオンを排出してバランスを取る。
 染色体に起きた変化は、このプロセスに影響するもので、ニジマスが完全な淡水環境で生き延びた方法を説明する。
 もう一つの変化は、代謝と傷の治癒に関係するものだ。これはこれまでと違う餌を利用するか、新しい環境における活動にリソースを割り当てることを可能にしたのかもしれない。
 あるいはウミヤツメという新たな脅威に適応するためのものである可能性もある。ウミヤツメは1930年代頃に図らずもミシガン湖に導入されてしまった生物で、ヒルのように魚に食いつき、大きな傷跡を残す。これによって死んでしまう魚もたくさんいる。
 淡水で傷を負った場合、海水で負った場合よりも細胞の断裂が速いため、より重い傷となる。
 3つ目の変化はこれに対応するためのものだったのかもしれない。ミシガン湖では海の本来の環境に比べると、ウミヤツメの密度が非常に高い。このため単純に選択圧に晒されたとも考えられる。



匿名希望

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