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2018年8月16日 (木)

「世界最古の色素」という明るいピンクが発見される、地球の歴史の謎を解く手がかりに

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アフリカ、サハラ砂漠の地下深くから採取した岩石から、オーストラリア国立大学のNur Gueneli氏らの研究チームが、約11億年前の「世界最古の色素」を抽出しました。この色素は明るいピンク色をしているそうです。
アフリカ北西部にあるモーリタニアという共和国にあったマリン・ブラックシェシェールから採取された色素は、これまでに見つかっていた「最古の色素」よりも5億年ほど古いもの。色素は古代の海に生息した藍藻が光合成によって産生した葉緑素の分子化石だとのことです。この分子化石は密度が高いと血のような濃い赤色や紫色になりますが、希釈された状態だと明るいピンク色に見えます。
もちろん、この世界の全ての物は「色」を持っていますが、この分子化石の色素は「生物学的な最古の色」にあたる点が特殊といえます。例えばティラノサウルスの骨の化石は灰色や茶色味を帯びていますが、これは、当時のティラノサウルスの肌が何色だったのかを語りません。「世界最古の色素」の発見は、当時の肌の色がそのまま保存されたティラノサウルスの化石を発見するようなものとのこと。分子化石は大きな生物ではありませんが、大きな生き物がまだ存在しない、ティラノサウルスよりも10倍古い時代の「色」を抽出したということになります。
世界最古の色素は、10億年前の岩石を粉状にし、そこから採取した有機体の分子を分析することで発見されました。学位論文のテーマとして同研究を行ったGueneli氏は「古代の色素の精密な分析は、10億年前の海の食物連鎖の基礎において藍藻が支配的だったということの確証となります」と語っています。
また、オーストラリア国立大学准教授のJochen Brocks氏はGueneli氏が色素を発見したと報告した時、にわかに信じられなかったといいます。「ラボで叫び声を聞いた時のことを覚えています。彼女は私のオフィスに走ってきて、手に明るいピンク色のものを持ちながら『これを見てください』と言いました」「その後、それが本物の、11億年前の色素だとわかったのです」とBrocks氏は語っています。Brocks氏によると、この発見は単に「ピンク色の物質を発見した」ということではなく、「地球の歴史において、なぜ大きな生物の登場が遅くなったのか」という謎を解くことに役立つのだそうです。
現代の海では食物連鎖の一番下に存在するのは藻類です。微細藻類は非常に小さいのですが、それでも藍藻の1000倍のサイズとなります。大きな生物が進化するためには食物源としての大きな粒子が必要になるため、今回の発見によって「地球の歴史において、なぜ大きな生物の登場が遅くなったのか」という謎を解く説明の1つとして「大きな粒子の食物源がなかったから」ということが言えるわけです。




鎌田華菜

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