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2018年9月 5日 (水)

生命・細胞・血球の起源⑦-1

( リンク )より引用
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第2編 細胞の起源と微生物との共生
○昆虫消化管内の共生原生動物及び酵母
①鞭毛虫、オーチストなどとの共生
 木材を食べるシロアリやアリマキの腸内には鞭毛虫が、木材のセルローズを分解するために共生しています。千島もイエシロアリの中腸内に数種の鞭毛虫、螺旋菌、桿菌が多数共生しているのを観察しています。
②酵母
 中島氏は毒アサリの肝に球形をした酵母状の細胞を見出しています。これは寄生性のものか共生者であるかについては明らかにしていませんが、彼が示している写真では共生者と考えられます。
 あの小さなノミの胃壁や直腸内面に繊毛虫が付着していることもよく観察されます。なぜそのような状態が生じるのか明らかにされていませんが、千島は細菌→原生動物→退行変性による消化管壁への分化過程をしめしている像をシロアリで観察したことがあります。ただし、この経過は病的状態でないことが条件です。病的な場合には全く違う分化方向があるように思えます。昆虫の菌節は必ずしも細菌だけを含むものではなく、シバンムシのように腸壁に多数の酵母を有する菌節細胞から構成されているものもあります。このことは細菌から酵母への発展が考えられるという千島の考えからすれば、多分、細菌から酵母様芽胞に移行中の状態であると思われます。
 また、パイロットはアリマキの菌節に酵母が充満しているのは、アリマキに見られる普通の細菌に由来するものだと考えています。これもまた千島の説に賛同する結果だといえそうです。酵母には核があるというもの、ないというもの等があり、諸説には一致がありませんが、千島は定型的な核は存在していないといっています。そして細菌の観察中に細菌から酵母に移行している経過を見ています。
③共生者の実験的駆除と昆虫の栄養
 ライズは共生体を含む菌節を実験的に切除したり、或いは遠心力によって除去したりすると昆虫のメスの場合は産卵しなくなったり、術後死んでしまうことを観察しています。またアリマキにペニシリンを混ぜたエサを与えると、脂肪体中にある共生菌が著しく減少し、または完全に消失し、処理後ニ、三日で死んでしまったとブルースたちはいっています。
 ウイギースは吸血昆虫やカブトムシの消化管内にいる共生菌はビタミンを合成してその共生体の消化作用を助けているという報告をしています。
 一方、コーチはカブトムシについて次のような面白い実験を行なっています。生活環境の気温を摂氏36度に高めると、体内にある4個の菌節中にいる細菌状の共生者は退行萎縮し遂には消失してしまうといいます。このカブトムシの生存可能限度は摂氏38度であるのに共生菌のそれは32~33度だから36度まで上昇しては生きていけないわけです。しかしこのように、共生菌を失くした菌節をもつ個体は食性や繁殖に何の支障もないようだったが、このことが共生菌の有用性を否定することはできないと結果について付記しています。
 さらに興味ある実験はクリーブランとハングレイの次のような実験です。
温度による法…クリーブランはシロアリを36度に設定した所で24時間生活させておくと、その腸内に共生している鞭毛虫のほとんどが死滅するが、少数のものは生存していました。ある種のシロアリにおいては、腸内共生菌は35度では2日で死滅するが、他種のシロアリに共生する菌は8~10日、生存することを確認しました。そして各種シロアリとも腸内共生菌のすべてが死滅すると、シロアリ自体も3週間前後で死んでしまうといっています。
飢餓による法…またシロアリを飢餓の状態にしておくと、やはり腸内共生菌は死にます。この場合も共生菌が死ぬとアリ自体も死にます。そのおり、アリの腸内に棲息する共生菌のうち大型の菌のほうが小さな菌よりも速く死滅するといっています。
 実験の経過では大型の菌は6日以内に消滅し、8日目には次に大きいものが死に、続いて小さい細菌が著しく減少していました。しかし、シロアリが餓死する限度と考えられる25日になるまえに、すべての腸内共生菌が死滅してしまうようなことは飢餓の状態においては起きないといっています。クリーブランはこの他にも興味ある実験をしています。それはシロアリを6日間絶食させ、腸内共生菌である鞭毛虫を死滅させたあとで、そのシロアリに普通の食餌(木材)を与えても一定の期間は生き永らえることができました。この場合、最も多かった鞭毛虫が消滅すると、他の共生菌が盛んに増殖して鞭毛虫の代わりをしていました。このような共生菌の交替によってシロアリは60~70日間生存しましたが、この交替していた細菌も死滅すると、シロアリは3日から4週間で死にました。この実験結果から、シロアリは2~3種の細菌と共生することで生活しているとクリーブランはいっています。
酸素による法…クリーブランは食餌のほかに酸素供給の量や方式による腸内細菌除去の実験もしています。これは前述したような高温環境法や飢餓法よりも一層完全な実験法といえます。まず、高い酸素圧の下にシロアリをおくと、酸素の混合値や共生細菌の種類などによって、現れる結果が異なったものになります。
 普通の大気圧下では約20%の酸素があります。ある種のシロアリはこの状態から95%~98%という高濃度の酸素を含む所に移すと、シロアリの腸内共生菌はたちどころに消滅してしまいました。酸素張力をさらに高め、3~4気圧にすると死滅速度は一層に速まるといっています。これ以上に数値を上げても効果には変わりが出ませんでした。クリーブランによると、共生菌を殺す最適酸素張力は上記の3~4気圧であり、これは温度とも関係するといい、山崎氏もシロアリに行なった酸素張力と共生菌除去の実験で、クリーブランと似た結果を得たと報告しています。
 このほかの昆虫の共生菌が含窒素物の廃棄産物からタンパク質を合成したり、無菌的刺激によって昆虫の発育停止や死に至らしめることは周知のことです。




本田友人

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