« 生命・細胞・血球の起源⑧-4 | トップページ | 永久凍土の地中の中にいた、4万年前の線虫が復活『ジェラシックパークの世界』 »

2018年10月28日 (日)

生命・細胞・血球の起源⑨-1

( リンク )より引用
-----------------------
○高等動物の消化と微生物
①反芻獣の胃内消化と微生物
家畜のなかでブタは比較的単純な消化器をもっていますが、ヒツジやウシなどの反芻動物は膨大な第1胃をもち、これが食物の発酵槽としての重要な役割を演じることは一般にもよく知られています。ホフマンによると、食物とともに入った細菌は第1胃中で急激に増殖し、発酵を起こし、糖分、デンプン、その他単純な物質はまず最初に利用され、繊維質は後には消化れますが大部分の消化は12時間以内に行なわれます。発酵の際には有機酸が合成されますがその4分の3は醋酸です。このほかにプロピオン酸、乳酸、酪酸も相当に生成されます。
この過剰ともいえる酸を中和するために、ウシは毎日、120ポンドという唾液を分泌しなければならないといいます。またウシの第1胃はグルコース、各種薬物、短鎖型脂肪酸などを吸収する役目もあります。反芻動物の第1胃内では多数の有用細菌が酵素を分泌して飼料を分解しています。これらの細菌は体外では生活できないためによく研究されていませんが、千島はこれらの細菌が第1胃以外で生存できないというのは、第1胃の内容中でだけ自然発生、いわゆる新生した細菌だという推定も可能だといっています。ホフマンは「第1胃内の細菌は単純窒素化合物を有用なタンパク質に変化させる。細菌によって利用される窒素はアンモニア態のみであり、タンパク質その他すべての窒素化合物を細菌が利用しうるために、アンモニア態に分解する酵素が必要である。この酵素は第1胃中に多量に存在している。反芻動物のウシは消化管中で体内に必要な様々なビタミン、ミネラル類を合成している。第2次大戦中、実験のなかで3頭の乳ウシの第1胃に瘻管をつくってみたところ、第1胃のなかに空気が入り込むようになって食欲を失くし、赤血球も異常型をしめすようになり遂には死に至った。この事実は第1胃の発酵というものが如何に重要かを示している」と述べています。反芻動物に非タンパク窒素である尿素を飼料中に混ぜ、微生物を増殖させ、それらを消化・吸収させることによって成長を促進することができるとして、日本でも桧垣、今井の両氏が子牛の飼料の3%にあたる尿素を添加して成長を助長することができたと報告しています。
ホフマンはウシにコバルトを微量与えると胃腸内細菌の増殖を高め、栄養効率をよくするといっています。この場合、胃内細菌は食物とともに摂取されたものが、胃内で分裂増殖したものとホフマンも一般的にも考えられていますが、これらの細菌類は千島の考えでは食物を母体として胃内で自然発生したものと考えられます。
この他の反芻動物であるウマ、ハムスター、モルモット、類人猿などの胃腸内には各種の繊毛虫や細菌が存在し、これらが食物中のセルローズを分解する役目を果たしていることは広く知られています。高等動物の新生児の消化管内にも細菌が存在していて、これが植物の菌根と同様に生存に不可欠であるという説もあります。
②デンプン消化と腸内バクテリア
ベーカーの研究によりますと、生デンプンの消化はデンプン粒の種類と、消化管の構造とによって変わってくるといいます。即ち、トウモロコシのデンプンはネズミ、ウサギ、モルモットなどでは主として小腸で消化され、馬鈴薯デンプンは盲腸に多量に蓄積され細菌によって分解されますが、ウシやヒツジでは第1胃で細菌によって分解されるといいます。デンプン消化に関わる腸内細菌はヨード反応に陽性を見せることからみて、細菌による多糖類の合成が行なわれているらしいとベーカーはいっています。反芻動物の第1胃には大小及び巨大連鎖状球菌が多く、ブタの盲腸には連鎖状になった桿菌が多数見られ、またこれらの細菌は腸内で必須アミノ酸やビタミン類を合成するといっています。このように高等動物の腸内細菌によるデンプン質の消化、微量栄養物質の合成が行なわれていることからみて、昆虫類の場合と等しく、消化管内微生物の栄養に対する重要な役割が分かります。
③鳥類その他の消化管内の細菌叢
ニワトリ、ガチョウ、七面鳥といった鳥類の腸内にも幾種類もの共生細菌が棲んでいます。共生菌の棲息について結腸内細菌が主だというものと、大腸菌が主なるものという意見がありまだ決着はついていないようです。ハリソンは七面鳥の盲腸内の糞を調べて20種以上の細菌を分離し、そのなかで主要なものは嫌気性乳酸菌、続いて嫌気性連鎖状球菌だったと報告しています。これら腸内共生菌の研究はこれからの動物生理の探求に大いに役立つことでしょう。
④草食動物の盲腸内消化
草食動物の盲腸は人間のそれとは違って良く発達しているために、消化に際しては重要な役割を演じているものと考えられてきました。ナンツは盲腸の容積の大なること、食物がかなりの時間ここに留まっていて、その間に酵素や共生微生物の作用でセルローズ分解が行なわれることをウサギで実験し、盲腸は消化吸収のために必要不可欠な器官であると結論しています。
(略)
⑤高等動物の盲腸内消化
鳥類の盲腸内には多数の細菌が存在していること、食物が長時間そこに停留しているなどという事実から、盲腸が消化に対して重要な働きをしていることは当然のこととして考えられることです。ニワトリ、ハト、スズメにおいても、盲腸内細菌が食物中のセルローズ分解に大きな働きをしているが、肉食鳥にはそれがないというマンゴルドの実験もあります。最近、鹿児島大学の安川教授はニワトリの盲腸の切除を行なったところ、赤血球数が減少する傾向が見られたと報告しています。千島やデュラン・ジョルダの腸造血説と関係があるかもしれず、興味深い研究です。
⑥栄養源としての細菌・藻類その他の微生物
ちかごろは細菌やクロレラを食物として利用しようとする傾向が現れてきました。
(略)




本田友人

« 生命・細胞・血球の起源⑧-4 | トップページ | 永久凍土の地中の中にいた、4万年前の線虫が復活『ジェラシックパークの世界』 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1761227/74456338

この記事へのトラックバック一覧です: 生命・細胞・血球の起源⑨-1:

« 生命・細胞・血球の起源⑧-4 | トップページ | 永久凍土の地中の中にいた、4万年前の線虫が復活『ジェラシックパークの世界』 »

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ お勧めサイトランキングへ
2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カウンター

最近のトラックバック

無料ブログはココログ