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2018年10月17日 (水)

生命・細胞・血球の起源⑧-3

( リンク )続き
○葉緑体、血球及び細胞の起源と共生体
①細菌と緑藻類・菌類とアメーバとの関係
淡水産カイメンの大部分を構成しているクロレラはバクテリア(球菌、桿菌、ビブリオ、螺旋菌、長・短糸状菌など)自体又はそれらの融合によって新生されるものと判断できる過程を千島は確認しました。牛乳、馬鈴薯、オートミール、血球、ワラの滲出液その他の腐敗過程においても、前に述べたように細菌集塊→芽胞・酵母→菌糸へと変化していくとしか判断しようがない過程も観察しています。このように異種の有機物や細菌が集塊となって、それが様々な細胞を形成していくという千島の考えに対し今日の生物学者は狂気の沙汰と罵るかもしれません。
(略)
○細胞内の病原菌とその意義
前にも述べたことですが、共生と寄生との間には厳密な一線を引き得ない場合もありますが、高等動物、特に人類における淋菌、チフス菌、結核菌、癩菌などは病的な細胞内で増殖し、細胞がこれらの病原体で充満すると、遂に細胞の崩壊を招くというのが現在の定説になっています。この問題についてラフォードの見解を紹介しながらそれについての千島の意見を記述したいと思います。
①淋菌及びチフス菌の細胞内増殖
淋菌は多型核白血球の細胞質内に多数含まれ、そこで増殖するといわれています。グッパスはチフス菌が消化管内腔や血液中で増殖する証拠は見られないといっていますが、チフス菌に感染すると廻腸のリンパ組織が侵され、プラズマ細胞の増殖が起こり、廻腸のリンパ細胞や腸間膜中のプラズマ細胞にグラム陰性菌を見出したといい、それを彼は「細胞内環境によって変化した特別小型なチフス菌」と呼びました。
この菌はあたかも細胞内で活発に増殖したかのように嚢に覆われた塊になっていて生体消化管でよく見出されます。グッパスはこのチフス菌は宿主細胞(プラズマ細胞)内で保護され、栄養を与えられたものだと解しています。
しかしこの場合、細胞内のチフス菌や淋菌は何れも細胞内に侵入したという過程も、また分裂増殖したという証拠も確認されていません。推測ですが、この細胞の環境が病的なものになっていてウイルスや細菌を発生しやすい状態だったために、正常な細胞原形質がウイルスから細菌へ、或いは直接に細菌へ発展していく自然発生だったのだろうと千島はいっています。この千島の説を否定する人は少なくないかもしれませんが、否定するべき証拠は誰にもないことでしょう。なぜなら、千島は腐敗菌が血球内に侵入してもいないのにそのなかに桿菌が自然発生する事実を確認しているからです。事実を否定をすることは不可能なことです。
②結核菌の細胞内での増殖
結核病巣を取り囲んでいる上皮様細胞やランゲルハーン氏巨態細胞と結核菌との関係についてはこれまで種々論議されてきました。マキシモウやハーゲンたちはウサギの組織観察において、上皮様細胞と結核菌とは共生の関係にあると唱えました。
ハーゲンは中度に感染しているウサギの肺を組織培養したが、対照とした健康な肺と等しく正常に機能していることを認め、また結核菌は大食細胞によく捕食されるがその後結核菌が細胞内で分裂増殖するか否かについては不明だといっています。
このハーゲンの報告に対し千島は「大食細胞が菌をその内部に取り込むというより、赤血球の融合によって大食細胞が形成される際、周囲の一部の細菌がそのなかに埋没してしまう可能性があると推定される。また病巣部では細胞が腐敗に似た課程をたどり大食細胞内に結核菌或いは他の細菌が分裂ではない新生によって増加する可能性も十分に考えられる」といっています。
(略)
③癩菌の細胞内増殖
ラフォードの見解によると「癩菌は非常に細胞内生活に適した菌で、細胞外にこの菌を見出すのは稀であり、その病巣の周囲には上皮細胞や巨態細胞を形成させ、それらの細胞内には癩菌が充満している。病巣は次第に周囲組織を浸潤していく。これは大食細胞の有糸分裂ではない付加的増加である。癩菌に侵された正常細胞は崩壊して病巣は次第に拡大していく」といいます。
ビオーレンスカヤは「癩菌を正常および白血病患者の血液、人の胎児の肝臓、脾臓そして肺に組織培養を試みたが癩菌はこれらの細胞や血球に有害な作用はまったく見せず、また組織片から離れた大食細胞は活発に癩菌を捕食しその結果、5~7日後には大食細胞が癩細胞に変わるのを見た。これらの細胞は細胞融合の結果として多核になり多数の癩菌を含んでいる。細胞質は多数のリポイド性液をもち、しかも泡だったような外観をもち、間もなく細胞は崩壊する。貪食された癩菌は細胞内で増殖し、いわゆる「巻き煙草の袋」といわれる充実した形の細胞形態をつくる。癩菌のあるものは崩壊して黄色の色素顆粒になる」と述べています。
この報告に対し千島は「私の推測だが、癩菌は細胞に対して無害であったわけではなく、結局数日後には細胞が死滅過程(一種の腐敗又は化膿現象)をたどり、その結果、細胞を母体として細菌が新生したものだろう。
(略)
④病原体の細胞内侵入の方法
これまで細菌学者の殆どが、細胞内の病原菌は食菌作用によって捕食したものだと考えています。アメーバや白血球が細菌を捕食する様子を実際に観察したという研究者はメチニコフ以来、沢山います。しかし千島は細心の注意を払った観察でも、そのような過程を確認する機会には遭遇しなかったといっています。
(略)
千島は血球の腐敗現象を研究していた折、生体にある結核、癩、チフスその他の病原体が細胞内に見られるのは多分、外部から侵入したものなどではなく、血球の腐敗過程に見られるように、細胞内部にウイルス的前駆物体を経て自然に発生したものと推定しています。




本田友人

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