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2018年11月20日 (火)

なぜ哺乳類と鳥類は大きな脳を進化させることができたのか? -ビッグデータが解明する脳サイズ進化の謎①

■脳サイズ進化の謎
ヒトを含む哺乳類と鳥類は、同じ大きさの魚類や両生類と比べておよそ10倍~20倍大きな脳を持っています。哺乳類と鳥類のなかに高い学習能力や社会性を持つ動物が多く見られるのは、このように大きな脳を持っていることと関係しています。
体のわりに脳が大きく進化する現象は「大脳化」と呼ばれています。大脳化は高度な認知能力とそれに付随するさまざまな行動を可能とするため、いろいろな環境下で生存・繁殖上の利益をもたらすと考えられています。こういった適応的側面だけを考えれば、すべての脊椎動物に大脳化の機会があったと考えるのが自然です。しかし、大脳化はごく少数の例外を除いて哺乳類と鳥類でしか生じていません。なぜ、哺乳類と鳥類だけが大脳化に成功したのでしょうか?私たちはこの謎に迫りました。(リンク)
■アロメトリーと進化的制約
体の大きさはさまざまな生命の営みと密接な関係を持っています。体重をx、対となる指標をyとすると
y=axb
の式で寿命・行動圏・代謝の速さなど、さまざまな生命活動のサイズ依存性を記述することができます。この関係をアロメトリーと呼びます。アロメトリーは、本川達雄著『ゾウの時間ネズミの時間(中公新書)』でわかりやすく説明されているため、読者のなかにもご存知の方がいるかもしれません。
脳重量はアロメトリーを示す典型的な例です。この場合、xは体重、yは脳重、係数aは体重が仮に1gであったとしたときの脳重、指数bは一定の体重増加に対する脳重(以下、脳サイズとします)の増加率をそれぞれ表します。これまで古今東西の生物学者が、さまざまな動物で脳サイズのアロメトリーを記述してきました。その結果、どんな分類群で脳サイズのアロメトリーを求めても指数bはおよそ0.67から0.75の間の値を取ることがわかりました。
動物の住む環境が変わって大きな脳サイズが有利となる状況が生まれたとしましょう。この場合、自然選択の対象は脳サイズですから、体の大きさを変えることなく脳の大きさだけが進化するのが自然な帰結に思えます。ところが、実際はそうなっていません。脳サイズのアロメトリー指数がどんな動物でも似た値であることは、脳サイズ進化には決まったやり方があって、動物の脳サイズが進化するときは大抵体サイズも一定の割合で一緒に進化しているということを意味しています。
この現象を適応とは逆の視点から考察すると、もし大きな脳サイズが適応的となる状況が生じても、大きな体を進化させることのできない理由が他にある場合、脳サイズは進化しなかったのだろうと考えることができます。このように、適応進化を制限する要因は「進化的制約」と呼ばれています。
~②へ~




A.i

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