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2019年5月

2019年5月22日 (水)

カンブリア大爆発の捉え方、そして、雌雄分化の進化との関係

地球上に存在する38の動物門すべてが一気に誕生したとされる「カンブリア大爆発」は、イギリス、ウェールズのカンブリア山麓の5.4~4.9億年前の地層から発見された化石、その後のカナダ南部ブリティッシュ・コロンビア州ヨーホー国立公園で発見された「バージェス頁岩の動物群」の化石を根拠にした説。
ところが、南オーストラリアのフリンダース山脈のエディアカラ丘陵で発見された「エディアカラ紀の微小な硬外殻動物(クラウディナ等)の動物群」の化石により、カンブリア大爆発以前の先カンブリア時代(6~5.5億年前)に、すでに38の動物門が誕生していたらしいことがわかってきた。

Q.「カンブリア大爆発」という捉え方?
カンブリア紀に現在に至る動物“門”が存在し、爆発的に変異促進の進化を遂げたのは事実としても、カンブリア紀に捕食性の硬外殻生物が“突如として登場”したのではなく、また先カンブリア紀の動物は絶滅したのではなく、エディアカラ紀とカンブリア紀は繋がった連続した進化。(進化積層態)

Q.そのうえで、カンブリア紀に、“大型化”した捕食性の強い硬外殻生物に急速に進化(変異)したのは、なんで?
その原因として、
343092>カンブリア大爆発は眼の登場→種間闘争の激化が生み出した>。
この説は納得度が高い。そのうえで2点。

ひとつは、眼の進化の捉え方。
「眼」は、眼球というレンズや光彩という絞り、それを映し出すスクリーンである網膜、そしてそれを具体的なイメージとして脳内で映像化させるための高度な神経組織と脳、これらすべての機能がそろって初めてシステムとして成立する。
それゆえ、急激に高度化したのは事実としても、カンブリア紀に眼の機能が“突如として登場”したのではなく、カンブリア紀以前の機能と繋がった連続した進化の捉え方。(進化積層態)

もうひとつは、大型化や急激な“変異”を可能とした基盤として、「雌雄分化の3段階の進化の塗り重ね構造」。
1】7.3億年前:体細胞と生殖細胞が分化した「殖産分化」
→万能細胞による子孫を残す分裂から、生殖細胞のみが子孫を残す分裂を行う。
2】5.7億年前:精子と卵子が分化した「精卵分化」 (※エディアカラ紀に重なる)
→生殖細胞が、栄養を溜めた卵子と運動能力の高い精子に分化。
3】5.1億年前:雌雄が別躯体に分化した「躯体分化」 (※カンブリア紀に重なる)
→雌雄同体のなかから、精子をもたないメスが登場し、雌雄同体とメスの2種類。さらに、雌雄同体のかなから、卵子を捨てたオスが登場し、雌雄同体とメスとオスの3種類の個体が登場。

この「雌雄分化」への3段階の進化の塗り重ね構造が、「カンブリア大爆発」を可能にした実現基盤としての捉え方。

Q.あと、カンブリア大爆発を引き起こした環境変動(外圧)は?
これには、
1)344919>カンブリア爆発の要因~「陸地面積の増大」説>
2)343093>カンブリア爆発の引き金は、地磁気の衰弱にともなう放射線の増大か?>
それ以外にも、
3)酸素濃度の急激な増加(→生物の大きなエネルギー利用)
4)地表から溶け出したリン酸カルシウムの増加(→生物の骨格の発達)
5)地軸の変動や太陽活動の変動で、地球に降り注ぐ太陽光の増加
6)太平洋プルーム活性化(5.4億年前)による気温上昇による大気中の成分変化で、海水への太陽光の増加
など諸説があるが、どれも推測の域を脱しておらず、はっきりしていない。

 

 

 

 

麻丘東出

2019年5月16日 (木)

ガス田のプロパンガスを代謝して生きる微生物の存在。ガス田は地下生物生命圏か?

石油や天然ガスは、石炭と同様に遠い過去の生物の化石の資源であり、すぐ枯渇すると言われていましたが、実際は採掘され続けています。
化石というのは仮設で、実はどうやって出来たのか不明です。

一方で、地下には大規模な生物生命圏が存在する可能性があり、石油や天然ガスは現在進行形の地下生物生命圏あるいはその産物ではないかとも考えられます。

プロパンガスを代謝(呼吸や食事)して生きる微生物の研究が進んでいますので引用します。

「東工大ニュース」
リンク
より引用

●ガス田の天然ガスを微生物が食べていた
未知の大規模微生物生命圏の存在示唆

●要点
•
プロパンガス分子の中心の炭素と末端の炭素の安定同位体比を別々に計測
•
観察と微生物培養実験で安定同位体比の異常を検証
•
大気へのプロパン放出量の推定など地球環境の影響評価にも適用可能性

●概要
東京工業大学 理学院
地球惑星科学系のアレキシー・ジルベルト(Alexis Gilbert)助教(東京工業大学
地球生命研究所、以下ELSI、アフィリエイトサイエンティスト)、上野雄一郎教授(ELSI 主任研究者)、物質理工学院 応用化学系の吉田尚弘教授(ELSI
主任研究者)らの研究チームは、天然ガス田で微生物にプロパンが代謝されていたことを発見した。
プロパン
(C3H8)は3つの炭素が直線上に並んだ分子だ。ELSIでは、この3つのうち、中心の炭素と末端の炭素の安定同位体比[用語1]をそれぞれ別々に計測する新たな手法を開発し、北米とオーストラリアのガス田から産出されたプロパンガスを分析した。
このうち、いくつかの場所で産出されたプロパンでは、分子末端の炭素の同位体比はあまり変動がないのに対して、分子中心の炭素の同位体比が大きく変動することが判明した。この特徴は、プロパンガスが熱分解によって作られる際の傾向とは一致しない。一方、無酸素環境下でプロパンを分解する特殊な微生物を培養し、残ったプロパンの同位体分子計測を行ったところ、このガス田の傾向と一致することがわかった。これは、いくつかのガス田では、嫌気的な微生物が地下でプロパンを消費しており、その規模は、従来想定されていたよりも大きいことが予想される。
本研究成果は、2019年3月18日付の「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」オンライン版に掲載された。

●背景
プロパンなど天然ガスの形成過程や、それが保存されている過程を理解することは、地球上の限りある資源の分布を理解する上で大変重要である。近年、天然ガス田には、プロパン等の天然ガスを代謝する微生物が生息していることが明らかになってきている。地下での微生物活動で、どの程度、天然ガスが消費されるのか、どのような条件で天然ガスが消費されずに保存されるのかということは、まだよくわかっていない。
一方、これら天然ガスの形成過程は、地層中に埋没した有機物(過去の生物の遺骸)が熱により分解することで生じる熱分解起源ガス、無機的な反応で生じる非生物起源ガスの2種類に大別されていた。この起源が異なる2種類のガスを区別するために、プロパンなどの炭化水素ガスは従来、炭素および水素の安定同位体比を用いて計測が行われてきた。しかしこの方法では、この2種類を大まかに区別できるが、微生物などが天然ガスを消費した場合の同位体比の変化については明確に区別できず、新たな計測手法が求められていた。

●研究成果
研究チームは今回、分子内同位体分布計測という新たな計測手法を開発した。プロパン
(C3H8)は3つの炭素が直線上に並んだ分子であるが、このうち中心炭素と末端炭素の安定同位体比(13C/12C)を別々に計測することが可能になった。この新手法を用いて、北米大陸(五大湖周辺)とオーストラリアのガス田から産出するプロパンガスを分析したところ、いくつかのガス田のプロパンでは、末端の炭素の同位体比はあまり変動がないのに対して、中心の炭素の同位体比は大きな変動を示すことが判明した。天然ガスの起源として想定されている熱分解過程を考えると、プロパン分子の末端の炭素が大きな同位体変動をすると予想されるが、実際は中心の炭素の変動が大きいという異常な同位体分布を呈していた。
そこでプロパンを代謝する特殊な微生物を酸素のない嫌気条件で培養し、残ったプロパンの分子内同位体計測を行ったところ、いくつかのガス田で見られた異常な傾向、すなわち中心の炭素の同位体比が変動するという特徴を持つことがわかった。これらの観察と実験の結果を総合すると、ガス田の地下に広がる無酸素環境で特定の条件が整った場所では、プロパンを代謝する微生物が活発に活動していることが推測できる。場所によっては、ガス田から産出されるプロパンの半分以上が微生物に食べられていることがわかった。

●今後の展開
今回の発見で、予想以上にガス田の地下では微生物が活動していることが明らかになった。今後、開発した新たな計測法を用いて研究を進めることで、地下での微生物活動がどの程度まで広範に及んでいるかがわかる可能性がある。
また、天然ガスは温室効果ガスの一種であり、大気への放出量を予測する際にもこの新手法が活用できそうだ。また、分子内同位体分布計測法では、非生物的にされた天然ガスを検出することも可能だ。無機的に形成される有機物がどこにどのように分布しているのかについても、全く新しいコンセプトで調べることができる。これは無生物から生物を構成する有機物が創られるという、生命起源の研究にも波及効果があると考えられる。

 

 

 

 

田村正道

2019年5月13日 (月)

頭形成と左右対称性

私たちの顔のみならず体全体の外形が左右対称形であることも、すでに触れたように頭形成(頭化)と密接に関係している。
  生物の体の「前後」とは、直線的な移動運動を行うものについてのみ定義できる言葉で、もともと「前」と「後」があるわけではない。これはクラゲなど、上下は区別できても前後・左右は区別できない動物を思い浮かべればすぐにわかる。
また、一般に、アメーバや放散虫、ゾウリムシなど、水中に漂う微小な単細胞生物は重力の影響をあまり受けないので、ほとんど上下の区別がない。ただ、上下・左右の区別はなくても、回転しながら進行するゾウリムシのような動物には前後の区別はある、といってよいかもしれない。

  いつの時代かは不明であるが、おそらく上下の区別は体の大型化(多細胞化)によって水の粘性よりも重力の影響を強く受けるようになってから、そして、前後の区別は直線的な移動運動を行うようになって生じたと考えられる。上下・前後が区別されれば左右は必然的に決定される。
もちろん、左右が決定されても、体が左右対称であるか否かは別の問題である。進行方向の右にある餌も左にある餌も同じように捕食するには左右対称の体が好都合である、という説もあるが、おそらく、それよりも水という流体の中で餌のある場所に前後・上下軸は固定したまま最短距離で到達するには左右対称の外形と左右対称的な運動が流体力学上もっとも効率がよかった、と考える方がよいのではないかと思われる。
ちなみに、上下が区別されるくらいにまで大型化した動物で、ゾウリムシのように回転しながら水中を直進する動物は知られていなさそうなので、おそらく、そのような運動様式は大型化した動物では物理的あるいは生理的に難しかったのであろう。   

また、体の左右対称性はゴカイやバッタなどの無脊椎動物にも認められるので、背骨があるか否かは左右対称性とは直接関係がない。最近のリボソームRNAに基づく系統分類学的研究によれば、脊索動物(原索動物と脊椎動物)全体の祖先としては、ゴカイ・ヒルなどを含む環形動物やギボシムシなどの半索動物の方が、これまでしばしば候補に挙げられてきたウニ・ヒトデなどの棘皮動物よりも有力な候補であるらしい。
少なくとも現生の環形動物は一般に左右対称の外形と、進行方向の側に口と眼などの感覚器官をもつ。おそらく、私たちの体の左右対称性と顔の基礎(口と感覚器官)も、このような無脊椎動物の時代に直進的移動運動という行動様式を採用することによって同時に獲得されたものと推測される。


引用元:リンク

 

 

匿名希望

2019年5月11日 (土)

カンブリア爆発の要因~「陸地面積の増大」説

カンブリア爆発における地球史的要因―流行に左右される要因論
リンク より

生物進化の歴史において、今からおよそ5億年前に、急速に動物が多様化・複雑化を遂げた時期がありました。その爆発的進化を、「カンブリア爆発」あるいは「カンブリア紀の爆発」と言います。
その特異な現象の引き金を引いたのは、何であったのか。その要因論に関しては、諸説があります。その要因論の変遷について、今回は考察します。

カンブリア爆発の概要
地質年代区分において、5.4億年以降、2.5億年前までが、古生代という時代です。その古生代の開始年代を境にして、地層から、肉眼で見える程度の大型の化石がよく見つかるようになります。
その古生代の最初の時代下位区分が、「カンブリア紀」です。
問題の急速な爆発的進化は、その時代の中でも、5億2900万年前から5億1400万年前までの、およそ1500万年の間で起こったようです。

(中略)
 
カンブリア爆発の要因論
では、そのような生物の歴史上きわめて特異な事象が、なぜその時期に、どのようなメカニズムで、生じたのでしょうか。
2000年頃までの生物学では、カンブリア爆発の引き金を引いた主要因として、「捕食者の出現」と「眼の誕生」が挙げられていました。

(中略)

その過程に伴って、外界の光を感知する器官、「眼」が出現しました。ピントを合わせて周囲の状況を確認できるようになれば、捕食者側も、被捕食者側も、生存にとても有利になるでしょう(カンブリア紀の化石からレンズ眼をもつ動物がかなり見つかります)。

このように、20世紀までは、カンブリア紀の要因論の説明は、生存競争と自然選択、環境への適応、といった、「ダーウィニズム」の枠組内でなされるのが通例でありました。
また、1990年代には、形態の多様化をもたらす遺伝子の多様化がいつ頃に起こっていたのか、というDNA解析に基づく探究も見られるようになりました。そちらの研究も含めると、「ネオ・ダーウィニズム」の図式でカンブリア爆発を理解しようとするのが、研究者たちの基本姿勢であった、といえましょう。

ところが、その説明様式は、2000年頃を境に変化が見られるようになってきます。
1990年代頃に、全地球史解読計画が始まったり、スノーボールアース仮説が登場したりしたことを背景として、カンブリア爆発という特異的事象が、なぜ地球史のその特定の時期におこったのか、を説明する仮説が提起されるようになりました。
スノーボールから回復後の地球環境の諸様相、酸素濃度の上昇や、海水中のリン酸塩の増加などが注目されました。
その系統の仮説の中でも、とりわけ説得力があると思われるのが、丸山茂徳氏の「陸地面積の増大」説です。
 
「最も重要な事象は、地球表層の海水がマントルへ移動して、海水準が約数千万年という短期間に約600m下がり、巨大陸地が出現したということです。このイベントが、カンブリア紀の生命進化の出発原因です」(丸山茂徳『地球史を読み解く』NHK出版、2016年、p.155)
 
上記のように、丸山氏は断言しています。この仮説の要点をまとめてみます。
6億年前頃に、陸地面積が急速に増大しました(海水準の急激な低下や堆積岩の急速な形成の証拠あり)。現在の8割程度の面積になったそうです(原生代初期には現在の2割程度でした)。
その結果、河川を通じての栄養塩類の供給量が増加します。また、大陸棚に太陽光が届くようになります。その養分と太陽光を利用して、植物と動物が多様化・大型化・複雑化を遂げていった、という筋書きです。
この仮説には、当時の大陸の海岸線に記録された海水準の低下が、なぜ原生代末のその時期におこったのかを説明する「水漏れ地球」説が伴っています。そのため、仮説全体として、地球の歴史における様々な応答の必然的結果として、カンブリア爆発を位置づけることができます。

このように、2000年代以降、カンブリア爆発に対する説明図式に変革が生じたのです。
かつては、生物学の範囲内、あるいはダーウィン流の説明枠組内での考察にとどまっていたのですが、近年ではそれに加えて、当時の地球表層や地球内部の変動と結び付けて、その特異的事象を理解していこうとする視点が普及してきました。

大げさかもしれませんが、カンブリア爆発の要因論に関する説明図式に、「パラダイムの変革」が訪れたのです。
以前は、なぜ「急速に」進化が達成されたのかが議論の焦点でした。それに加えて今日では、なぜ「その特定の時期に」起こったのか、を問題にするようになったのです。
したがって、この枠組の変化は、「転換」ではなく、「拡大」あるいは「補充」といった意味合いの変動であったとみなせます。新たな視点が付け加わり、より包括的に、カンブリア爆発を理解できるようになったのではないでしょうか。
 
よって、どちらの説明が正しく、どちらかが誤り、というような事柄ではなく、両者の説明図式は相補的と捉えればよい、と私は考えます。
そして、旧来の説明様式を振り返ってみると、やはり、進化的事象を「ダーウィニズム」の枠組内で説明すべき、という暗黙の了解事項に縛られていた、と思われます。20世紀を通じて支配的であった、ダーウィン流、またはネオ・ダーウィニズムの進化論のパラダイムが、いかに強固であるかを認識させられます。

(引用終わり)

 

 

 

 

中村英起

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