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2019年5月16日 (木)

ガス田のプロパンガスを代謝して生きる微生物の存在。ガス田は地下生物生命圏か?

石油や天然ガスは、石炭と同様に遠い過去の生物の化石の資源であり、すぐ枯渇すると言われていましたが、実際は採掘され続けています。
化石というのは仮設で、実はどうやって出来たのか不明です。

一方で、地下には大規模な生物生命圏が存在する可能性があり、石油や天然ガスは現在進行形の地下生物生命圏あるいはその産物ではないかとも考えられます。

プロパンガスを代謝(呼吸や食事)して生きる微生物の研究が進んでいますので引用します。

「東工大ニュース」
リンク
より引用

●ガス田の天然ガスを微生物が食べていた
未知の大規模微生物生命圏の存在示唆

●要点
•
プロパンガス分子の中心の炭素と末端の炭素の安定同位体比を別々に計測
•
観察と微生物培養実験で安定同位体比の異常を検証
•
大気へのプロパン放出量の推定など地球環境の影響評価にも適用可能性

●概要
東京工業大学 理学院
地球惑星科学系のアレキシー・ジルベルト(Alexis Gilbert)助教(東京工業大学
地球生命研究所、以下ELSI、アフィリエイトサイエンティスト)、上野雄一郎教授(ELSI 主任研究者)、物質理工学院 応用化学系の吉田尚弘教授(ELSI
主任研究者)らの研究チームは、天然ガス田で微生物にプロパンが代謝されていたことを発見した。
プロパン
(C3H8)は3つの炭素が直線上に並んだ分子だ。ELSIでは、この3つのうち、中心の炭素と末端の炭素の安定同位体比[用語1]をそれぞれ別々に計測する新たな手法を開発し、北米とオーストラリアのガス田から産出されたプロパンガスを分析した。
このうち、いくつかの場所で産出されたプロパンでは、分子末端の炭素の同位体比はあまり変動がないのに対して、分子中心の炭素の同位体比が大きく変動することが判明した。この特徴は、プロパンガスが熱分解によって作られる際の傾向とは一致しない。一方、無酸素環境下でプロパンを分解する特殊な微生物を培養し、残ったプロパンの同位体分子計測を行ったところ、このガス田の傾向と一致することがわかった。これは、いくつかのガス田では、嫌気的な微生物が地下でプロパンを消費しており、その規模は、従来想定されていたよりも大きいことが予想される。
本研究成果は、2019年3月18日付の「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」オンライン版に掲載された。

●背景
プロパンなど天然ガスの形成過程や、それが保存されている過程を理解することは、地球上の限りある資源の分布を理解する上で大変重要である。近年、天然ガス田には、プロパン等の天然ガスを代謝する微生物が生息していることが明らかになってきている。地下での微生物活動で、どの程度、天然ガスが消費されるのか、どのような条件で天然ガスが消費されずに保存されるのかということは、まだよくわかっていない。
一方、これら天然ガスの形成過程は、地層中に埋没した有機物(過去の生物の遺骸)が熱により分解することで生じる熱分解起源ガス、無機的な反応で生じる非生物起源ガスの2種類に大別されていた。この起源が異なる2種類のガスを区別するために、プロパンなどの炭化水素ガスは従来、炭素および水素の安定同位体比を用いて計測が行われてきた。しかしこの方法では、この2種類を大まかに区別できるが、微生物などが天然ガスを消費した場合の同位体比の変化については明確に区別できず、新たな計測手法が求められていた。

●研究成果
研究チームは今回、分子内同位体分布計測という新たな計測手法を開発した。プロパン
(C3H8)は3つの炭素が直線上に並んだ分子であるが、このうち中心炭素と末端炭素の安定同位体比(13C/12C)を別々に計測することが可能になった。この新手法を用いて、北米大陸(五大湖周辺)とオーストラリアのガス田から産出するプロパンガスを分析したところ、いくつかのガス田のプロパンでは、末端の炭素の同位体比はあまり変動がないのに対して、中心の炭素の同位体比は大きな変動を示すことが判明した。天然ガスの起源として想定されている熱分解過程を考えると、プロパン分子の末端の炭素が大きな同位体変動をすると予想されるが、実際は中心の炭素の変動が大きいという異常な同位体分布を呈していた。
そこでプロパンを代謝する特殊な微生物を酸素のない嫌気条件で培養し、残ったプロパンの分子内同位体計測を行ったところ、いくつかのガス田で見られた異常な傾向、すなわち中心の炭素の同位体比が変動するという特徴を持つことがわかった。これらの観察と実験の結果を総合すると、ガス田の地下に広がる無酸素環境で特定の条件が整った場所では、プロパンを代謝する微生物が活発に活動していることが推測できる。場所によっては、ガス田から産出されるプロパンの半分以上が微生物に食べられていることがわかった。

●今後の展開
今回の発見で、予想以上にガス田の地下では微生物が活動していることが明らかになった。今後、開発した新たな計測法を用いて研究を進めることで、地下での微生物活動がどの程度まで広範に及んでいるかがわかる可能性がある。
また、天然ガスは温室効果ガスの一種であり、大気への放出量を予測する際にもこの新手法が活用できそうだ。また、分子内同位体分布計測法では、非生物的にされた天然ガスを検出することも可能だ。無機的に形成される有機物がどこにどのように分布しているのかについても、全く新しいコンセプトで調べることができる。これは無生物から生物を構成する有機物が創られるという、生命起源の研究にも波及効果があると考えられる。

 

 

 

 

田村正道

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