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2019年5月13日 (月)

頭形成と左右対称性

私たちの顔のみならず体全体の外形が左右対称形であることも、すでに触れたように頭形成(頭化)と密接に関係している。
  生物の体の「前後」とは、直線的な移動運動を行うものについてのみ定義できる言葉で、もともと「前」と「後」があるわけではない。これはクラゲなど、上下は区別できても前後・左右は区別できない動物を思い浮かべればすぐにわかる。
また、一般に、アメーバや放散虫、ゾウリムシなど、水中に漂う微小な単細胞生物は重力の影響をあまり受けないので、ほとんど上下の区別がない。ただ、上下・左右の区別はなくても、回転しながら進行するゾウリムシのような動物には前後の区別はある、といってよいかもしれない。

  いつの時代かは不明であるが、おそらく上下の区別は体の大型化(多細胞化)によって水の粘性よりも重力の影響を強く受けるようになってから、そして、前後の区別は直線的な移動運動を行うようになって生じたと考えられる。上下・前後が区別されれば左右は必然的に決定される。
もちろん、左右が決定されても、体が左右対称であるか否かは別の問題である。進行方向の右にある餌も左にある餌も同じように捕食するには左右対称の体が好都合である、という説もあるが、おそらく、それよりも水という流体の中で餌のある場所に前後・上下軸は固定したまま最短距離で到達するには左右対称の外形と左右対称的な運動が流体力学上もっとも効率がよかった、と考える方がよいのではないかと思われる。
ちなみに、上下が区別されるくらいにまで大型化した動物で、ゾウリムシのように回転しながら水中を直進する動物は知られていなさそうなので、おそらく、そのような運動様式は大型化した動物では物理的あるいは生理的に難しかったのであろう。   

また、体の左右対称性はゴカイやバッタなどの無脊椎動物にも認められるので、背骨があるか否かは左右対称性とは直接関係がない。最近のリボソームRNAに基づく系統分類学的研究によれば、脊索動物(原索動物と脊椎動物)全体の祖先としては、ゴカイ・ヒルなどを含む環形動物やギボシムシなどの半索動物の方が、これまでしばしば候補に挙げられてきたウニ・ヒトデなどの棘皮動物よりも有力な候補であるらしい。
少なくとも現生の環形動物は一般に左右対称の外形と、進行方向の側に口と眼などの感覚器官をもつ。おそらく、私たちの体の左右対称性と顔の基礎(口と感覚器官)も、このような無脊椎動物の時代に直進的移動運動という行動様式を採用することによって同時に獲得されたものと推測される。


引用元:リンク

 

 

匿名希望

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