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2019年8月16日 (金)

細胞膜は、内側に代謝機能を制御する“膜骨格”がある「三重構造」!?

生命の代謝機能を司る細胞膜は、どのようにして球体状の形になったのか?
また、細胞膜には、様々な代謝機能の役割を担う様々な蛋白質が備わっているが、それはどのようなものでどのような構造、機能になっているのか?
現状、これらについてはっきりとわかっていないが、細胞膜が球体状になるのは、下記のように考えられている。

細胞膜は、球体に2本の足がついた形の「リン脂質」分子を主成分とし、球体状の頭の部分は“親水性”、2本の足のほうは“疎水性”の性質をもつ。細胞膜は、一つの分子の中に正反対の性質を持つリン脂質で形成されている。

リン脂質の分子群を水に入れると、水に落ちた油のように寄り集まり、親水性の球体状の頭の部分を外側(水側)に、水に触れないように疎水性の足を内側に向けた、塊(かたまり)をつくる。
そして、リン脂質の量が増えると、塊(かたまり)では納まりきらなくなり、外側に頭、内側に足を向けた、シャボン玉のような「球体」になる。
ここで重要なのは、シャボン玉の内側も水になっているので、シャボン玉の膜は、球体の外側も内側も親水性の頭を向ける構造になるために、リン
脂質分子同士が疎水性の足を向け合った「二重の構造」になる。

上記の説明では、なぜ、リン脂質の量が増えるとシャボン玉の球体になるのか、また塊(かたまり)からリン脂質が平面的に重なる二重構造になるのかもすっきりしないが、、、
この二重構造の細胞膜に対し、赤血球を素材とする研究で、細胞膜は二重構造の細胞膜を内側から裏打ちしている“膜骨格”がある「三重構造」である。そしてこの膜骨格が細胞膜の代謝機能の制御に関与している、という報告を紹介します。

「細胞膜を内側から眺める:膜骨格の機能とその調節リンク
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1. はじめに
生命の最小単位である細胞の内部環境の独自性を保つために細胞膜にはさまざまな装置が組み込まれている。その膜構造の基本は「流動モザイクモデル」(Singer
&
Nicolson,1972)であるが、現在では細胞膜を裏打ちしている膜骨格を含めて生体膜を三重層として捉えるのが妥当である。
膜骨格の研究は主に赤血球を素材として進められてきたが、全ての細胞に類似の構造が存在すると考えられる。
本総説では、細胞膜を内側から眺め、膜骨格の機能を縦軸(Y軸)、構造を横軸(X軸)にとり両者の相関およびその調節について、赤血球を例に解説する。

2. 赤血球は細胞膜研究のモデルとして適している。
赤血球は成熟の過程で核や細胞内小器官を失った袋状の細胞で、純粋な細胞膜を調製できる点で細胞膜研究の素材として適している。
実際、電子顕微鏡や原子問力顕微鏡を用いて赤血球膜を内側から眺めてみると、網目状の膜骨格が細胞膜に寄り添っている像を見ることができる。
SDS、PAGEや精製した蛋白質の解析から、膜骨格はスペクトリンspectrin
、アクチンactin、4.1蛋白質protein4.1などの「横のつながり」により網目状の平面的な構築を保ち、
アンキリンankyrinなどを介する「縦のつながり」により膜貫通蛋白質(バンド3band3、グリコフォリンCglycophorin
C(GPC))に結合して細胞膜を裏打ちしている。

膜貫通蛋白質は「縦のつながり」の足枷または膜骨格の網目により膜内可動性が制限されている。
実際、金コロイドを結合した抗バンド3抗体を用いてバンド3粒子の動きを経時的に追跡すると、あるものは殆ど動けず、動けるものもその範囲が膜骨格の網目の中に制限されている(フェンスモデル)。この結果、バンド3は赤血球膜に均等に分布し、陰イオン(HCO3-とCI-)を効率良く交換することで、二酸化炭素(CO2)の運搬に重要な役割を果たしている。

<中略>

終わりに
細胞膜には多数の蛋白質からなる複雑な装畳が備わっているが、本稿ではそれらを膜の内側(細胞質側)から眺め、主に膜骨格についてその構造と機能およびその調節について解説した。
細胞膜三重層の第3層にあたる膜骨格は細胞膜機能の制御に重要な役割を果たしているが、赤血球のような単純なモデルにおいてさえ不明な点も多い。
赤血球以外の全ての細胞にも赤血球に類似の膜骨格構造が存在し、それぞれの膜機能に重要な役割を果たしていると予想される。
今後、それぞれのファミリー蛋白質の解析を端緒として研究が進むと思われる。
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麻丘東出

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