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2019年11月17日 (日)

逆境が進化をつくりだす1~真核生物の誕生

生物学の常識では「進化は遺伝子のランダムな突然変異による」とされ、環境の影響や生命体の主体的な意志はないものとされている。これは明らかに生命は神がつくった。よって意志あるものは神のみであり、生命に意志などないとする、奴隷の思想を反映したものである。

しかし「ピンチこそチャンス」「逆境が人を強くする」といった事実は、なにも人間の専売特許ではない。事実、生物史を振り返ると、逆境が進化をつくりだしたとしか理解しようがない事実がたくさんある。その事実を知ることは、地球の歴史を知ることでもあり、生物史を通して「自然の摂理」を学ぶということでもある。それらが紹介された稲垣栄洋著「敗者の生命史38億年」から紹介していこう。

第1回は、真核生物の誕生について。生物は核を持たない原核生物(大腸菌や乳酸菌のようなバクテリア)から、核をはじめとする多様な細胞内小器官を持つ真核生物(アメーバーやゾウリムシ等の単細胞生物)へと進化したが、それはなぜか?

この謎を解き明かいしたのが、リン・マーギュリスが提唱した「細胞内共生説」である。

真核生物はDNAを収納した核の他に、酸素呼吸を行うミトコンドリアという小器官や、光合成をおこなう葉緑体といった小器官を持っている。そしてミトコンドリアは酸素呼吸によって、葉緑体の祖先は光合成によって、大きなエネルギーを排出する。

マーギュリスは、大きな原核生物は、ミトコンドリアや、葉緑体等の小さな原核生物を飲み込んで、消化せず、細胞内で生かしておくことで、消化するよりも、恒常的に高いエネルギーをえたのではないかと考えたのだ。

生命体は、外部から体を構成するための部材を取り込まなければ大きくなることができないが、部材を取り込んで大きくなることができれば、この部材獲得競争の勝者となることができる。逆に大型化できなければ、常に部材獲得競争の敗者、つまり食物連鎖の弱者となってしまう。つまり弱肉強食という生物史を貫く「自然の摂理」である。

しかし、生物史を貫く「自然の摂理」は「弱肉強食」だけではない。実は、「共生」も自然界において代表的な「自然の摂理」であり、現在でも「細胞内共生説」を連想させる現象が観測されている。

例えばミドリアメーバと呼ばれるアメーバの仲間は、体の中にクロレラという単細胞生物を共生させている。またコンボルータと呼ばれる扇型動物は体内に藻類を共生させ、藻類が光合成で作り出す栄養分を利用して暮らしている。そして私たち人間も、腸内に腸内細菌を宿して、病原菌の侵入を防いだり、分解しにくい食物繊維を分解したり、ビタミンの代謝物を生産したりしている。進化の頂点にいるとされる人間も単細胞生物と共生しているのだ。

では、何故、どのようにして原核細胞同士の「共生」は始まったのだろうか?

仮説として考えられているのは真核細胞誕生当時に起こったとされている「全球凍結=スノーボールアース」である。大気温度はマイナス40℃にもなり、地球全体が凍結したといわれている。この激しい環境変化=逆境が、原核生物が共生の道を選ぶきっかけとなり、真核生物が誕生したのではないだろうか。

 

 

 

山澤貴志

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