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2019年11月17日 (日)

人類の祖先は、毒を食べてエネルギーを得るモンスターだった!?~環境破壊によって再び酸素の少ない地球になりつつある~

元々は生物にとって毒だった酸素。
実に数億年もの歳月をかけて、酸素に適応し、生物は生き残ってきた。
しかし、この100年ほどの短い時間で人類は環境を破壊し、生物が滅びようとしている。

以下(リンク)引用
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■シアノバクテリアという「ニュータイプ」の登場

地球に生命が生まれた38億年前。
当時の地球には酸素は存在しておらず、おそらくは金星や火星などの惑星と同じように、大気の主成分は二酸化炭素だったと考えられている。
酸素のない地球に最初に誕生した小さな微生物たちは、硫化水素を分解してわずかなエネルギーを作って暮らしていた。微生物たちにとって、つつましくも平和な時代が続いたのである。
ところが、である。その平和な日々を乱す事件が起こった。光を利用してエネルギーを生み出すこれまでにないニュータイプの微生物が現れたのだ。彼らこそが、光合成を行うシアノバクテリアという細菌である。
シアノバクテリアが持つ光合成は、脅威的なシステムである。
光合成は光のエネルギーを利用して、二酸化炭素と水からエネルギー源の糖を生み出す。
この光合成によって作り出されるエネルギーは莫大である。まさに革新的な技術革命が起こったのだ。
ただし、光合成には欠点があった。どうしても廃棄物が出るのである。光合成の化学反応で糖を作り出すとき、余ったものが酸素となる。酸素は廃棄物なのだ。こうしていらなくなった酸素は、シアノバクテリアの体外に排出されていったのである。
もちろん、公害規制もない時代だから、酸素は垂れ流し状態だ。当時ほとんど酸素がなかった地球だったが、大繁殖したシアノバクテリアの活動によってしだいに大気中の酸素濃度は高まっていったのである。

■毒を食らわば皿まで

ところが、である。酸素の毒で死滅しないばかりか、酸素を体内に取り込んで生命活動を行う怪物が登場した。まさに毒を食らわば皿まで、である。
酸素は毒性がある代わりに、爆発的なエネルギーを生み出す力がある。酸素は諸刃の剣なのだ。危険を承知で、この禁断の酸素に手を出した微生物は、これまでにない豊富なエネルギーを生み出すことに成功した。それが、ミトコンドリアの祖先である。
そして、ある単細胞生物は、この怪物のような生物を取り込むことによって、自らもまた酸素の中で生き抜くモンスターとなる道を選択した。
これが私たちの祖先となる単細胞生物である。後に、このモンスターは豊富な酸素を利用して丈夫なコラーゲンを作り上げ、体を巨大化することに成功する。そして、猛毒の酸素が生み出す強大な力を利用して、活発に動き回ることができるようになるのである。

■人類が争うようになった理由も「酸素」にあった!?

光合成を行う生物たちは、酸素を放出し、それまでの地球環境を変貌させていく。
シアノバクテリアによって産出された酸素は、海中に溶けていた鉄イオンと反応して酸化鉄を作る。そして酸化鉄は海中に沈んでいったのである。
その後の地殻変動によって、酸化鉄の堆積によって作られた鉄鉱床は、後に地上に現れる。そして、はるか遠い未来に、地球の歴史に人類が出現すると、人類はこの鉄鉱床から鉄を得る技術を発達させるのである。人類は鉄を使って、農具を作り、農業生産力を高めた。やがて、鉄を使って武器を作り、争うようになった。すべてはシアノバクテリアのせいである。
さらに、大気中に放出された酸素は地球環境を大きく変貌させる結果を招いた。
酸素は地球に降り注ぐ紫外線に当たるとオゾンという物質に変化する。シアノバクテリアによって排出された酸素は、やがてオゾンとなり、行き場のないオゾンは上空に吹き溜まりとなって充満した。こうして作られたのがオゾン層である。まさに地球環境を大改変してしまったのだ。

■古代の微生物たちの復讐が始まった?

植物は、酸素を排出し地球環境を激変させた環境の破壊者である。
しかし現在、その地球環境が今、再び変貌を遂げようとしている。今度は、人間が放出する大量の二酸化炭素がその原因だという。
人類はものすごい勢いで石炭や石油などの化石燃料を燃やして大気中の二酸化炭素の濃度を上昇させている。そして私たちの放出したフロンガスは、かつて酸素から作られたオゾン層を破壊している。遮られていた紫外線は再び、地表に降り注ぎつつある。そして、人類は地上に広がった森林を伐採し、酸素を供給する植物を減少させている。
生命38億年の歴史の末に進化の頂点に立った人類が、二酸化炭素に満ち溢れ、紫外線が降り注いだシアノバクテリア誕生以前の古代の地球の環境を作りつつあるのである。
酸素のために迫害を受けた古代の微生物たちは、地中の奥深くで再び時代が巡ってきたことをほくそ笑んでいるだろう。

■数億年の変化が100年単位で進んでいる

38億年の地球の歴史の中で、地球環境は大きく変化してきた。それに比べれば、人間のやっている環境破壊など、ほんの小さなことかも知れない。
シアノバクテリアが出現する以前、地球の歴史で、最初に光合成を行う微生物が生まれたのは、35億年前と言われている。やがて、古代の海に生まれたシアノバクテリアが、酸素を撒き散らし、オゾン層を作り上げるまでに生命の最初の光合成から30億年の歳月を費やした。さらに地上に進出した植物が酸素濃度をあげるまでに6億年の歳月が必要だったのである。
人類による環境破壊は、たかだか100年単位で引き起こされている。これは、光合成による地球環境の変化の100万倍以上のスピードだ。この変化のスピードでは、生物たちの進化が環境の変化に追いつけることはないだろう。そして多くの生命が滅ぶことだろう。
たとえ、いくらかの生物が地球に生き残るとしても、人類はこの地球環境の激変に耐えられるのだろうか。
もし、遠くの星から、宇宙人たちが地球を観測しているとしたら、人類のことをどう思うだろうか。自分たちを犠牲にしてまで、本来の古代の地球環境を取り戻そうとする健気な存在だと思うのではないだろうか。

 

 

 

 

真鍋一郎

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