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2019年11月 8日 (金)

過去の「大量絶滅」と現在の空恐ろしい類似点②

3. ペルム紀-三畳紀絶滅(2億5200万年前)
2億5200万年前、生命は地球史上最大の「大絶滅(Great Dying)」に直面していた。ペルム紀-三畳紀絶滅だ。6万年ほどの間に、海にすむ生物種の96 %、陸にすむ生物種の4分の3が死に絶えた。世界の森は消滅し、再生には1000万年もかかった。また、5回の大量絶滅のなかで唯一、多数の昆虫が絶滅している。海洋生態系の回復には400万~800万年を要した。

大絶滅の最大の原因は、シベリア・トラップという巨大火山の噴火だった。今日のシベリア一帯に300万立方キロもの溶岩を流出させたこの噴火で、少なくとも14.5兆トンの炭素が放出された。これは、地球に残っているすべての化石燃料を採掘して燃やした場合に放出される炭素の2.5倍の量である。さらに、これではまだ足りないとばかりに、シベリア・トラップのマグマは地表に出てくる途中で石炭盆地の地層と相互作用を起こし、メタンなどの温室効果ガスを余計に発生させたと考えられている。

こうして起きた地球温暖化は、まさに地獄だった。噴火から100万年後には、海水と土壌の温度は14~18℃上昇していた。2億5050万年前には赤道の海水の表面温度は40℃もあったため、赤道付近には魚はほとんど生息していなかった。

温度が上昇すると、陸上の岩石が風化するスピードが速くなり、火山からの硫黄による酸性雨がそれをさらに加速した。デボン紀後期の絶滅のときと同じように、速くなった風化は海の酸素濃度を低下させた。当時の海が76%の酸素を失っていたことと、ほとんどの種の絶滅は温暖化と貧酸素化により説明できることを、気候モデルは示唆している。

4. 三畳紀-ジュラ紀絶滅(2億100万年前)
「大絶滅」から生命が回復するには長い時間を要したが、ひとたび回復すると、みるみるうちに多様化していった。さまざまな造礁生物が繁栄し、陸地には植物が生い茂り、鳥類、ワニ、翼竜、非鳥類型恐竜の祖先にあたる主竜類が登場する舞台が整った。しかし約2億100万年前、生命は再び大きな打撃を被った。陸と海にすむ生物種の80%が突然、失われたのだ。

三畳紀の終わりに、大気中の二酸化炭素濃度は4倍に上昇し、平均温度は3~6℃上昇した。原因はおそらく、中央大西洋マグマ分布域から大量の温室効果ガスが放出されたことだった。中央大西洋マグマ分布域は、当時の超大陸パンゲアの中央部にあたる広大な火成岩岩石区で、その活動によって超大陸が分裂したため、現在は南米東部、北米東部、西アフリカにある。その溶岩の量は、米国本土を厚さ400メートルの岩石で覆い尽くせるほどだったと考えられている。

二酸化炭素濃度の上昇は三畳紀の海を酸性化させ、海洋生物が炭酸カルシウムから殻を作るのを難しくした。陸上では、最も優勢な脊椎動物はワニ類だった。今日より大型で、はるかに多様だったワニ類の多くが絶滅し、その後、初期の恐竜が急速に多様化していった。

5. 白亜紀-古第三紀絶滅(6600万年前)
白亜紀-古第三紀絶滅は最も新しい時代に起きた大量絶滅で、確実に巨大隕石の衝突によるとされる唯一の絶滅である。すべての非鳥類型恐竜を含め、地球上の生物種の約76%が絶滅した。

6600万年前のある日、直径約12キロの隕石が時速7万2000キロの猛スピードで、今のメキシコのユカタン半島沖に落下した。この衝突で、海底に直径約200キロのクレーターができ、大気中に大量の塵や岩石片や硫黄が撒き散らされた結果、深刻な寒冷化が起こった。衝突地点から1500キロ以内の陸地は炎に包まれ、海には津波が広がった。非鳥類型恐竜を支えていた生態系は、一夜にして崩壊に向かった。

同じ頃にインドのデカン高原で発生した激しい火山噴火による地球温暖化が、事態を悪化させた可能性がある。一部の科学者は、デカン高原での火山噴火は隕石の衝突によって誘発されたと主張している。

6? 現代の絶滅
今日の地球は生物多様性の危機にひんしている。最近の見積もりによると、主として人間による森林破壊、狩猟、乱獲により、100万種の動植物が絶滅の危機にあるという。また、人間の交易による侵略的外来種や病気の広がりのほか、環境汚染や、人為的原因による気候変動も深刻な脅威となっている。

現代の絶滅は、自然に起こる絶滅の数百倍の速さで進んでいる。もし現時点で近絶滅種、絶滅危惧種、危急種に指定されているすべての種が次の世紀に絶滅し、そのペースが続けば、今後240~540年で大量絶滅のレベルに達することになる。

気候変動は長期的な脅威だ。人間による化石燃料の燃焼は、巨大噴火を化学的に模倣しているのと同じだ。毎年数十億トンの二酸化炭素やその他のガスを地球の大気に送り込んでいるのだから。

総量で言えば、過去の火山噴火が放出した温室効果ガスは、今日の人間による排出量よりはるかに多い。例えばシベリア・トラップは、2018年に人間が化石燃料の燃焼により排出した量の1400倍以上の二酸化炭素を放出している。しかし放出のペースで言えば、人間はシベリア・トラップと同等か、それ以上の速さで温室効果ガスを排出していて、その結果、地球の気候は急激に変化している。

 

 

 

匿名希望

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