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2019年11月 5日 (火)

生物巨大化の謎~昆虫巨大化と酸素濃度の関係~

◆巨大昆虫と酸素濃度
今から約3億年前の「石炭紀」という時代には、その地球上には巨大な昆虫が多数存在していたことが分かっています。その中でも特に有名なのが、トンボのような生物であったとされる「メガネウラ」。このメガネウラは、翼を広げるとそのサイズは70cm-1mもあったとされ、今のトンボが約10cmなのと比較すると実に10倍。

かなり巨大であったことがわかります。他にも、「アプソロブラッティナ」という約50cmの史上最大のゴキブリや3メートルもある巨大ヤスデ(アースロプレウラ)等が闊歩していました。では、なぜこの時代に生きていた古代の昆虫たちはこれほどまでに巨大化したのかというと、その1つの理由として挙げられているのが、

◆昆虫が巨大化した時代は、酸素濃度が今よりも濃かったから
現代の大気には酸素が21%含まれています。3億年前はこれが30%以上もありました。小さな違いのようですが、このパーセンテージが1増減するだけでも人間は生きてゆけなくなるといいますから、10%も違えば異世界です。この違いが、昆虫を巨大化させたというのが定説です。それには昆虫の特殊な呼吸も関係しています。

昆虫は肺がありません。代わりに体の表面に「気門」があり、体内の「気管」と繋がっています。体のあちこちに呼吸するための穴が開いていると思って下さい。酸素は気門から気管に入り、細胞に直接送り込まれます。つまり、酸素を肺から心臓に送り、血液と一緒に各細胞に届けるという回りくどい方法じゃありません。これは体が小さいからできることで、酸素補給が直送で瞬発力、運動能力が効率よく発揮できる反面、外気の変化が直接ダメージになります。殺虫剤が虫にすぐに効くのもそれが理由です。

アリゾナ州立大学の実験で、酸素濃度30%の環境で育てたトンボが通常の15%大きくなりました。微妙な実験結果ですが、酸素濃度が昆虫を大きくするのは確からしいです。酸素の濃い大気が巨大化を促したというわけですね。

★またもう一つの理由として、近年の研究ではこれとは真逆の見解が出てきています。

◆昆虫が巨大化した理由は有毒の酸素に抵抗するため?
高濃度の酸素を長時間吸うと中毒を起こします。酸素は毒でもあるからです。外気の影響を大きく受ける昆虫には死活問題です。有毒な酸素の濃度が高い時代、昆虫はその影響を抑えるために大きくならざるを得なかったという説が最近提唱されました。小さいほど酸素が体に回りやすくなるのですから、デカくなって耐えようとしたというのです。

現在の小さな昆虫にも酸素はきついらしく、一部には無呼吸で数時間あるいは数日過ごすものもいます。実際、メガネウラなどは酸素濃度が下がった時代にも生息していたらしいので、酸素を吸引して大きくなったよりも、防ぐためにというほうが筋は通るかなと思います。

どちらが真相かはわかっていませんが、酸素30%以上の古代の大気が巨大昆虫を生み出したことは間違いないようですね。

◆巨大昆虫の絶滅
陸にも空にも巨大昆虫が溢れていた石灰紀~ペルム紀ですが、次の三畳紀への変わり目に大破局が起こります。「P-T境界の大絶滅」と呼ばれ、全生物種の9割が滅んだという地球史上最大のカタストロフィです。

2億5000年前、世界中で大規模な火山活動が起こります。火山性ガスがまき散らされ、温暖化が加速。さらに増加したメタンが酸素と化学反応を起こし、酸素濃度もガクッと低下します。大気の影響を受けやすい節足動物には致命的な変化です。ペルム紀まではどうにか生き残っていたメガネウラ、ウミサソリ、アースロプレウラなども、この大絶滅は乗り切れませんでした。ここで大昆虫時代もほぼ終わります。

◆巨大恐竜時代に大型昆虫が消滅
やがて恐竜が誕生しそこから鳥類も派生します。巨体で陸と空を支配していたような節足動物も、この頃には捕食される立場になり、大きいほど目立って淘汰されてゆき、小型昆虫が生き残ったのだと考えられています。

◆巨大哺乳類の時代到来
巨大生物の代表といえばその後に台頭してきた恐竜が有名ですが、巨大隕石の衝突によってその恐竜が絶滅して以降に台頭してきた哺乳類も、昔はかなり巨大な生物でした。この時、哺乳類が巨大化した理由も実は定かではありません、

〇身長3.5メートル体重1000キロのクマ。ショートフェイスベアは氷河期時代の北アメリカに生息。

〇頭胴長約8メートルのサイ。地球史上で最大の陸棲哺乳類である。

〇尻尾を含めて3メートル。体重700キロの巨大ねずみフォベロミス。

〇3mのゴリラ。史上最大の霊長類であるといわれるギガントピテクス。推定身長約3m、体重約300- 540kg。約100万年前後に出現し、30万年前あたり以降は存在を確認されていない。オランウータンに近い生態であったのではないかといわれる。

実は現在でも最大の※動物は哺乳類。全長33Mのシロナガスクジラです。不思議ですね。その時代、時代の「制覇類が巨大化する」といった自然界のルールでもあるのでしょうか?

※世界最大の生物となると、実はキノコ。オニナラタケ "Armillaria ostoyaeの地下茎の面積は東京ドーム206個分、推定重量約600t、推定年齢は約2400歳にもなる巨大キノコです。

 

 

 

匿名希望

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