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2019年12月13日 (金)

大量絶滅を生き延びた最大の哺乳類でも、体重はたったの450グラムだった

 

【大量絶滅後の100万年を示す貴重な化石を発見】
~哺乳類は急激に大型化、植物の多様になったタイミングと一致~

恐竜の時代を終わらせた大量絶滅の直後、生命はどのように復活したのか。その概略が、米コロラド州で見つかった数百もの化石から明らかになり、10月24日付けの学術誌「サイエンス」に論文が発表された。

発掘された化石は、保存状態の良い少なくとも16種の哺乳類のほか、カメ、ワニ、植物など。大量絶滅から100万年後までに生息していたと見られる。

6600万年前、小惑星が地球に衝突し、地球上の生命は大打撃を受けた。衝突の余波で、ほとんどの恐竜をはじめ、全生物種のおよそ4分の3が絶滅したとされる。ただし、大量絶滅のすぐ後の時期については化石がほとんど見つかっておらず、多くの古生物学者がフラストレーションを抱えていた。

だが今回、新たな化石の大鉱脈が発見され、生命復活の過程が解き明かされつつある。論文には、大量絶滅から30万年で驚異的な成長を遂げた哺乳類に関して、新たな仮説が述べられている。

◆新たな化石の大鉱脈とは
北米西部の風が吹きすさぶ平野では、地面にあらわになった化石を掘り出すというのが通常だった。だが化石は、球状コンクリーションと呼ばれる岩(古代の骨などが核となって形成された岩、ノジュールとも)からも見つかる。

研究チームはこの球状コンクリーションに注目した。そこは、米コロラドスプリングスのすぐ東、デンバー盆地の岩盤が露出しているコラールブラフスと呼ばれる一帯で、以前の発掘調査では何も見つけられなかった場所だった。

ところが、いったん丸い岩に注意を払い始めると、すぐにそれが新たな鉱脈であることに気付いた。

「岩を割ると、哺乳類の頭骨が私にほほ笑みを返していたのです」と、論文の筆頭著者である米デンバー自然科学博物館の古生物学者タイラー・ライソン氏は振り返る。「そして、辺りを見回すと、同じような岩が無造作に散らばっている光景が目に入りました。哺乳類の頭骨が、数分で4、5個も見つかったのです」

研究室に戻って明白になった事実の1つは、大量絶滅後の100万年で、哺乳類が目覚ましい大型化を遂げたということだ。

大量絶滅を生き延びた最大の哺乳類でも、体重はたったの450グラムだった。だが、わずか10万年後、その子孫の最大の種は約6キロもあり、現代のアライグマと同程度にまでなった。その20万年後には、「最大の哺乳類の体重はさらに3倍に増え、約20キロにもなったのです」とライソン氏は話す。これはアメリカビーバーの体重とほぼ同じであり、大量絶滅前のどの哺乳類よりも、はるかに重くなったという。

この大型化は、哺乳類がもはや恐竜と競争する必要も隠れる必要もなくなったことを考えると、一応の筋が通る。だが、コラールブラフスで一緒に見つかった植物の化石から、はるかに豊かな物語が明らかになった。

◆植物からわかる豊かな物語
大量絶滅で、全植物種の半分が死滅した。生き延びた小型哺乳類は、おそらく雑食性で、昆虫を常食していたと考えられる。大量絶滅後、最初に再出現した植物は多くのシダ類だったが、それほど栄養はなかったからだ。

次に現れたのは、ヤシ科の木だった。しかし、哺乳類が大型化できた要因は、おそらくクルミ科の木が多様化したことにあるだろう。大量絶滅の30万年後に起きた哺乳類の体重増加は、クルミの花粉の化石が出現する時期と一致する。

デンバー盆地で見つかったこの時代の最大の哺乳類は、現代の有蹄哺乳類の遠縁の仲間Carsioptychusだった。

「その小臼歯はとても大きくて平らで、奇妙なヒダがたくさんあります。このため、クルミの木の実など、硬い物を食べていたのかもしれない、というのが定説です」とライソン氏は話す。

約40万年後、さらなる急成長が起こり、体重は45キロを超え、プロングホーンほどのさらに大型の哺乳類が誕生した。この時の急成長は、多くの草食動物が求める葉やタンパク質豊富な種子のさやを持つ、マメ科の初期種の化石の登場と重なる。

「すべてが、きれいに並んでいることに驚きました」と同氏は話す。

また、コラールブラフスで見つかった葉の化石を分析したところ、大量絶滅後の100万年間に顕著な温暖期が3回あったことがわかった。そのうちの少なくとも2回は、哺乳類の大型化をもたらす植生の大幅な変化に関わっていると見られる。

「大量絶滅から30万年ほど後に、哺乳類が大型化したという説は、新しいものではありません」と米コロラド大学自然史博物館の古生物学者ジェイリン・エバリ氏は話す。なお、同氏は今回の研究には関わっていない。「しかし、重要なのは、その理由です。今回の研究で明らかになった、体の大きさ、植物相の多様性、温暖化の相関関係により、理由の解明が進むでしょう」

「主な教訓は、地球のシステムの1つの要素だけを見ていても、絶滅や回復に関して理解することはできないという点です」と米フロリダ大学の地質年代学者コートニー・スプレイン氏は付け加える。

◆鳥を見つけたい
米サンディエゴ州立大学の古生物学者デビッド・アーチボルド氏は、今回の発見を真の偉業と呼び、著者の結論が核心を突いていると確信しているという。だが、同氏はこう警告する。「確かに驚くべき成果ですが、今回の結果は限られた地域から得られたものです。地球全体の話と考えたい誘惑に駆られるかもしれませんが、それは時期尚早です」

世界中の化石発掘現場で球状コンクリーションへの関心が高まっており、論文の仮説が強化されるかもしれない、とライソン氏は言う。(中略)

一方、同氏の研究チームは、特定された新種の一部(2種の哺乳類を含む)を分類学的に記載したり、まだ割ってもいない数百もの球状コンクリーションの中から化石を探したりするのに忙しくなるという。

「なんとしても鳥を見つけたいのです。この時期は、鳥にとっても重要な時期だったからです」とライソン氏は語る。

(引用元:ナショナル
ジオグラフィックweb)

 

 

 

志葉楽

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