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2019年12月13日 (金)

体と頭はどのように繋がっているか?~自律神経と魚類時代の適応進化の過程~

 

現代人に多い、体がだるい、夜に眠れない、朝起きられないetc.の自律神経失調症の症状は、原因も治療法も不明で、「リラックスする」「ストレスをなくす」「朝日を浴びる」といった断片的な対症療法が伝承されているばかりです。

●自律神経とは?
体と脳は、意識的に動かせる運動神経系統と、「発汗」「血行」「心拍」「胃の運動」「免疫」「緊張状態」「反射」など意識的に動かせない自律神経の系統で繋がっています。

自律神経は、「緊張」「闘争」「逃走」を交感神経系が担い、逆に「弛緩」「消化」「睡眠」を副交感神経(迷走神経)系が、相互補填して担うという2重構造をしているので、もし、交感神経系が「闘争」の信号を出して、副交感神経系が「弛緩」の信号を出したり、逆に、どちらの信号も出さなかったりすると、体は混濁状態になってしまう訳です。
さらに、副交感神経(迷走神経)系統は、脳からの信号もありますが、数多くの神経が「腸」と繋がっており、脳からではなく、逆に「腸」からの信号が脳に送られる割合も多い事が分かっています。

なぜこのような複雑な神経系なのでしょうか? 機械の設計でいうなら、誤作動の多いシステムではないでしょうか?

その理由は、これら神経ができた、魚類の時代の適応進化にあります。
現在の魚類を見ると、初期の神経はナメクジウオなどの脊索動物類以降に、自律神経は硬骨魚類以降に見られます。

●魚類時代の適応進化の過程
脊椎動物の祖先は、遠い昔に管型の動物から、魚型の動物へ(そこから四足型の動物へ)と進化しました。

5億年前の、カンブリア大爆発と呼ばれる多種多様な形状の動物が出現した時期に、魚型の動物の化石(ピカイア)が見つかっています。
この段階は、まだ目や脳が無く、体の先端の口と触覚部分から、体の背中側に神経が伸びているので脊索動物と呼ばれています。

カンブリア大爆発の多様な生物の出現は、「眼」を持つ種が出現したため、すべての種が捕食と防御機能を高めるべく「眼」と「運動機能」「殻」を獲得していった過程です。それらを調整する「脳」も出現しました。
節足動物の系統や、オウムガイの系統が「目」「運動」「殻」を進化させて弱肉強食の覇者になって繁栄していったのに対し、魚の系統は、まず体を伸ばして神経を通すことで、弱者として「逃げる」という運動機能を特化したものと思われます。
これが神経の出現で、この段階ではニューロンではなくグリア細胞が神経を形成しています。

魚の系統は、その後、レンズ型の優れた眼を形成し、運動機能を洗練させて覇者となっていきますが、その中でも汽水域に追いやられた弱者の系統が、「硬骨魚類」として、俊敏な運動機能をさらに高め、サメなどの軟骨魚類を凌駕して繁栄していきます。

自律神経の複雑な系統は、瞬間的に、何より優先して、闘争・逃走モードに体を切り替える(他の働きを抑える)ためのもので、逃げ回りつつ、汽水域での泥に埋もれないよう跳ね回った挙句にようやく獲得したシステムだったのではないでしょうか?
たいへんだったと思います

この働きは、なんと、現在の私たちにも引き継がれ、現在形で作動しています。
危機を察知した瞬間に体が緊張状態になって心拍があがるのはこのためです。


●なぜ自律神経失調になるのか?
問題は、「脳」にあるものと思われます。
脳は、新しい感覚器官である視覚を基に体全体を制御(調整)する働きがありますが、私たちの脳は、更に前頭葉を発達させて「観念機能」を獲得しました。

観念機能は、本能ではキャッチできない未知の対象をキャッチしていく事が可能です。
したがって、本能ではキャッチできないような危機も察知する事ができる、一方で、固定観念によって「これは危機ではない」と決めつけてしまうと、体がキャッチした危機さえ頭で捨象する事が可能になってしまうのです。
こうなると、自律神経の働きは無茶苦茶になる!

しかし、自律神経失調の原因が、脳(固定観念)と特定できるなら、有効な対策も明確になっていく事と思われます。

 

 

 

田村正道

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