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2019年12月 2日 (月)

卵は、恐竜から受け継いだものだった(2)

 

〇恐竜から鶏へ、卵もバトンを受け継いだ

 だが、たしかに卵の外見がいくら鶏のものに似ているといっても、その卵は恐竜のものであるから、冒頭の命題の「卵」とはいえないような気もする。

 しかし、すでにご存知の方も多いだろうが、現在の鳥類は恐竜の生き残りなのである。分子系統的には約1億7000万年前の中生代ジュラ紀中期に、恐竜の獣脚類のうち「マニラプトル形類(けいるい)」というグループから現在の鳥の祖先が分岐したことが分かっている。

 実際、約8000万年前の白亜紀後期に存在したマニラプトル形類の一種「オヴィラプトル類」には、卵を守るような体勢の化石が発見されており、現在の鳥と同じように抱卵していたのではと考えられている。そして抱卵するということは、羽毛を備えていた恒温動物であった可能性も高い。想像図を見てのとおり、鳥類と同じ二足歩行である。

 また、化石に微量に含まれていた色素の分析から、卵は青緑色をしていたとも推測されている。現生の生物で、殻に色素を含んだ卵を産むのは鳥類のみだ。もし、想像図のような生物が庭にうろついていたら、ほとんどの人は動物園から七面鳥みたいのが逃げてきたと思うことだろう。

 栄華を極めた恐竜のほとんどは中生代末に絶滅してしまうが、わずかに生き残った種が鳥類として現在も繁栄しており、鶏もその中のひとつである。つまり、鶏の卵も中生代の恐竜から生命のバトンを代々受け継いで現在に至っているわけで、私たちは日々恐竜の卵を食べているといっても間違いではないのである。

〇原始的な鳥は動物園に、しかも美味

 とはいっても、中生代が終わってからずいぶんと時が経ってしまったので、鶏から恐竜を想像するのは難しいかもしれない。そんなときは動物園に行こう。より原始的な形質を残す鳥、エミューに会いに行くのである。

 エミューはオーストラリアに棲息する鳥で、ダチョウなど同じ走鳥類の仲間だ。その祖先はなんと中生代末期には分岐したと考えられている。その精悍な顔つきと3本の鋭い爪は、恐竜を彷彿とさせるに十分である。しかも卵はかなり大きく深緑色で、これまた恐竜の卵のようだ。

 食の観点でいえば、エミューは卵も肉も美味しいのである。こういった“進化の証人”の食材があるなら、「賞味するなら鳥が先か卵が先か」のほうが気になってくる。もちろん、「親子丼にする」という解決策もあるが、エミューで試したことがないのでどうなるかは分からない。

 さて、地球環境は動物だけでは維持できない。事後処理をしてくれる生物も必要である。

 

 

 

津田大照

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