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2019年12月 8日 (日)

天然原子炉のもとで真核生物が誕生した

生物史において、重大な出来事の一つである原核生物から真核生物への進化。体積が100万倍も増加するというこの大進化はいかなる環境下で起こったのか。

1972年、アフリカ・ガボン共和国のオクロ鉱床内で、天然原子炉が先史時代に作動していた証拠が公表された(リンク)が、この天然原子炉という特異な条件のもとで真核生物への進化が起こった可能性がある。

以下、「天然原子炉周囲の地質と真核生物誕生場(地学雑誌・2019)」より。
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現在の地球表層で行われている生命活動の根源は太陽光であり,すなわち独立栄養生物が行う光合成は光エネルギーを駆動体とする光化学反応である。この反応は無機的な化学平衡反応とは異質で,太陽エネルギーに駆動された非平衡な場をつくりだす反応である。水の光化学的な分解反応を金属タンパクによる酵素反応と巧みに関与させたのが光合成で,H2
がCO2と結合してCH2Oとなり,余剰のO2が大気に放出される。還元物質であるH2は酸化物質であるCO2とは熱力学的に平衡共存できない非平衡の組み合わせである。このような非平衡の組み合わせを外部エネルギー,すなわち太陽エネルギーを利用して強制的に反応を連続的に継続させるのが生命という現象の本質である。(P.550)

(中略)

 最後に天然原子炉と真核生物の関係に関して推測を述べる。図10
はソコバ鉱山において原生代前期に天然原子炉によって駆動された熱水循環の様子を予察的に図示したものである。上述の通り,生命とは非平衡な場に起こる連続的な反応現象である。平衡になると反応が停止して生命という現象は存在不可能であり,つねに外部からの駆動力を必要とする。生命の起源は原始的な第一次生命体に遡るが,この時は弱すぎる太陽光エネルギーに代わって,天然原子炉から連続的にしかもはるかに高いエネルギー密度をもつ電離放射線のもとで非平衡な場がつくられ,生命はそこで反応を継続させていた(Ebisuzaki
and Maruyama,
2017)。前述のように,真核生物化石と解釈される構造(FB2bユニット)の下位の層準には天然原子炉(FAユニット)が存在する(図2)。天然原子炉が駆動した時は最大で500°C
に達し,周囲の水を温めた結果,局所的に熱水系が形成された(図10)。原子炉に加熱された流体は上昇し,まずは直上の黒色頁岩を熱し,有機物を炭化させていく。有機物の熟成度は
meta-anthracite gradeである(Mossman et
al.,1993)。粘土鉱物等も再結晶し,これらと反応した流体がさらに上昇を続ける。この時の流路がオクロ鉱山やソコバ鉱山に石英脈として残っている。断続的に駆動された熱水は地表に噴出し,黒色頁岩由来の有機分子を海洋に供給する。生命にとってとり込みやすい構成要素が供給され,濃度が高まったことにより,より高次の有機分子がつくられるように図10ソコバ鉱山で原生代初期に天然原子炉によって駆動された熱水循環を図示した予察的なモデル.Fig.10
Speculated model illustrating hydrothermal circulation promoted by natural
reactors at Socoba mine in the early Proterozoic. ― 565 ―
なった。一方で天然原子炉から放たれる高密度の電離放射線は非平衡反応の駆動力というだけではなく,ゲノム進化の加速といった意味でも真核生物の出現に作用したかもしれない。ガボンの前期原生代堆積盆地が真核生物の誕生場となりえたのはフランスヴィル層群特有の環境が天然原子炉を胚胎させたことに由来する。(P.564~565)
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リンク

 

 

 

竹村誠一

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