【科学の本質を探る】生物進化論の未解決問題(その6)化学進化による生命の起源説 阿部正紀
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光大 |
病原体外部侵入説:ウイルスは外から人体内に侵入して増殖し、病気を引き起こすのか?
病原体内部要因説:それとも、元々体内にあるものが、体がある状態になった結果として発生してくるのか?
最近の研究では、ウイルスの本体がDNA(あるいはRNA)であり、人体のDNAを書き換えor書き加えor書き足しが行われている事がわかってきましたので、参考記事を紹介します。
一方、人体のDNAはその9割がジャンクDNAと呼ばれる人体を形成するために使われないDNAで、ここには他生物が侵入or他生物から取得したDNAが蓄積されている可能性があります。
そうでれば、
ウイルスのDNAは、既に体内に蓄積されているものと新たに加わるものがあるという事になり、内部要因(+外部侵入)が病気を引き起こすと考えらえます。
「生物と無生物の間」
リンク
より引用
~前略~
ウイルスが単なる物質から一線を画している唯一の、そして最大の特性は、ウイルスが自らを増やせるということだ。ウイルスは自己複製能力を持つ。
ウイルスは単独では何もできない。ウイルスは細胞に寄生することによってのみ複製する。
ウイルスは宿主となる細胞の表面に付着し、その接点から細胞の内部に向かって自身のDNAを注入する。そのDNAには、ウイルスを構築するのに必要な情報が書き込まれている。
宿主細胞は何も知らず、その外来DNAを自分の一部だと勘違いして複製を行う一方、DNA情報もとにせっせとウイルスの部材を作り出す。
細胞内でそれらが再構築されて次々とウイルスが生産される。それら新たに作り出されたウイルスはまもなく細胞膜を破壊して一斉に外に飛び出す。
ウイルスは生物と無生物のあいだをさまよう者である。ウイルスを生物とするか無生物とするかは長らく論争の的であったが、いまだに決着していない。
~後略~
田村正道
毎年インフルエンザは流行し、冬の到来を知らせてくれるような風物詩になってきましたが、夏にかかる人はあまり見ません。毎年どこからやってくるのか調査してみた。
以下引用リンク
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インフルエンザ・ウイルスは普段、どこにいるのでしょうか。夏はほとんど流行せず、冬だけ流行るのも不思議です。
石:普段はシベリアやアラスカ、カナダなどの北極圏の近くで、凍り付いた湖や沼の中にじっと潜んでいます。春になって渡り鳥のカモやガンなどの水鳥が繁殖のために戻ってくると、ウイルスは水鳥の体内に潜り込んで腸管で増殖します。
渡り鳥は年に二回、繁殖地と越冬地の移動の途中でふんといっしょにウイルスをばらまきます。
――つまり、インフルエンザ・ウイルスは渡り鳥が運んでいるということですか。
石:そうです。渡り鳥が運び役を担っています。渡り鳥の中には北極圏から南極圏まで、長距離移動するものもいますから、ウイルスを地球規模でばらまいているというわけです。
――その渡り鳥自体は感染しないのですか。
石:初期には鳥も感染してたくさん死んだと思います。しかし、長い長い年月をかけて共生してきたので、今では宿主を発病させることはありません。
共生というのは珍しいことではありません。たとえば恐ろしい病原体と人間でも長い年月の間にはしだいに共存するようになります。病原菌の方が強すぎると宿主を殺してしまい、共倒れになって子孫を残せなくなってしまいますから、平和共存を目指さなくてはならないのです。
――水鳥のふんに潜むインフルエンザ・ウイルスが人間にたどりつくまでにどのような経路をたどるのでしょうか。
石:豚が重要な仲立ちをしています。豚の呼吸器の細胞は、多くのウイルスが感染できるようになっていて、ここに水鳥の持つウイルスが来ると、人に感染する型が生まれるのです。豚は新型インフルエンザ・ウイルスの『製造工場』ともいえるのです。
豚でできた新しい型のインフルエンザ・ウイルスが、ヒトに広まっていくわけですが、その世界的な流行の起源と考えられているのが中国の南部です。
中国南部では、アヒルやガチョウが豚といっしょに飼われていることが多いのですが、家畜化されているアヒルやガチョウは、水鳥が運んでくるウイルスに容易に感染します。アヒルやガチョウが豚から新亜型のウイルスに感染し、ヒトに伝わっていくと考えられています。過去 100
年間に発生したインフルエンザの世界的流行の多くは、中国南部に起源があったと考えられています。
インフルエンザ――人類を最も殺した病気
――水鳥が運んだウイルスが、アヒルやガチョウ、豚など、家畜をとおしてヒトに感染すると言っていいのでしょうか。
石:そうです。記憶にも新しいと思いますが、2001
年には鳥インフルエンザというのがありました。世界で 4 億羽を超えるニワトリやアヒルが処分され、日本でも 182 万羽が処分されました。人間にも広がり、2013
年の世界保健機関(WHO)などの調べでは、世界で 630 人が発病し、374 人が死亡しました。死亡率は 6
割近くになります。これらの死者はほとんど、ニワトリとの接触で感染したことが明らかになっています。
2009
年には豚インフルエンザがメキシコやアメリカで発生し、世界 199 か国・地域で感染者は 6100 万人、死者は 1 万 8000
人を超えた、と米国室病予防管理センターは発表しています。日本でも原因が確定できない人も含めて 203
人が亡くなりました。
――今ではタミフルやリレンザで一週間もすれば治りますから、御しやすい病気と考えてしまいますが、とても怖いのですね……。
石:14~15
世紀には、スペインのある都市そのものが消滅したという記録が残っていますし、1977
年のソ連かぜでは約10万人が死亡しました。
戦争を止めたこともあります。第一次大戦は 1914
年にアメリカがドイツに宣戦布告して始まりましたが、緊急動員された兵舎はどこもごった返しており、感染が一気に拡大しました。
大流行したインフルエンザでアメリカは
5 万 7000 人、ドイツは 20
万人の将兵を失い、戦争どころではなくなってしまったのです。さらに感染した兵士が本国にウイルスを持ち帰り、インフルエンザのグローバル化まで起きました。人類史上最大の死者と感染者となってしまいました。『スペインかぜ』と呼ばれる大流行です。
長い歴史を見て、人類を最も殺した病気がインフルエンザなのです。
おぬこ
生物の視界の見え方に迫る実験
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生まれて初めて、赤と緑のセロファンが張られたメガネをかけて3D映像を見た時、どんな反応をしたか覚えているだろうか?
飛び出して見える物体に、おもわずビクついてしまったという人もいるだろう。ではイカはどうだろう?コウイカに3Dメガネをかけさせ3D映像を見せるという興味深い実験が行われたようだ。
あくまでも真面目な研究である。優れた目を持つコウイカが、狩りをするときに立体視を行っているのかどうか探るためのものだ。
3Dメガネをかけたコウイカは3D映像の獲物に飛びついた
アメリカ・ミネソタ大学のトレバー・ワーディル氏らが行ったのはこんな実験だ。ヨーロッパコウイカに青と赤のフィルムを貼った3Dメガネをかけて、水槽の前に設置した画面で大好物のエビの3D映像を見てもらうのだ。
これを目にしたコウイカは、触手を伸ばして画面のエビ目掛けて攻撃を仕掛けたのだそうだ。それはまさに自然の中で捕食をするときの姿と同じだった。
コウイカは立体視ができ、遠近感の認識に優れている
角膜、レンズ、虹彩、網膜で構成されているコウイカの目はカメラに似ており、立体視ができる。その脳は両目から届く信号の違いを解釈することができ、距離を認識できるのだ。
3Dメガネの実験では、画面に対する自分の位置を調整するコウイカの姿が観察された。「コウイカは私たち以上に深さの認識に優れています」とワーディル氏は話す。
またワーディル氏らは、コウイカの脳が両目からの情報を用いて距離を算出できることも実証している。しかし、その立体視は「人間とは違うアルゴリズムによる可能性が高い」のだそうだ。
3Dメガネは生物の視覚を知るのに最適
しかし、なんでまた頭足動物に3Dメガネをかけるなんて奇抜な実験を思いついてしまったのだろうか?
じつはワーディル氏は15年近くも昆虫の視覚を研究してきた人物だ。そして2012年からは頭足動物の研究にも乗り出し、感覚認識に使われる皮膚の乳頭状突起(papillae)など、脳と体の機能の神経学的なつながりを解明してきた。
そんなある日、イギリスの研究者がカマキリに小さな3Dメガネをかけて実験を行ったことを知る。この研究は、無脊椎動物の立体視をつかさどる神経細胞を初めて特定したほか、ロボット工学の分野からもその応用可能性が注目された。
これをきっかけにワーディル氏はコウイカで同じ実験を行ってみようと思い立ったのだとか。
立体視はいくつかの経緯で進化した
ワーディル氏によると、立体視は脳のさまざまな部分がかかわり、さまざまな方法で計算されているのだという。そのために、カマキリには何か特別なところがあるのではと考えられた。
しかし、今回コウイカにも同じことができるのだと証明された。このことは、立体視という能力が進化する経緯は、時期や種に応じて、いくつか存在する可能性が高いということらしい。
土偶
腸内細菌の系統樹なるものが見えてきたらしい。
今後、腸内細菌から人類の進化過程を見通すことも加納なのかもしれない。
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有用な細菌はヒト科宿主とともに進化した
リンク
新たな研究から、現生人類と類人猿の腸内細菌は単に環境から獲得されたわけではなく、ヒト科生物と共に何百万年にもわたって進化し続け、人類の免疫系の形成を助けてきたことが示唆されている。
この知見は、人類と微生物との独自の共生関係の基礎にある進化のプロセスについて情報をもたらす研究への道を拓くものである。人類の腸内に住み着いている細菌が、どのようにして腸内に留まるようになったのかは、依然として明らかでない、特に科学者にとって、腸内細菌叢の構成が形成される上で共生関係が果たした役割が不明確であった。
今回、この問題にさらなる大きな洞察を提供するため、Andrew
Moellerらは急速に進化する細菌の遺伝子配列を便検体において比較する方法を開発し、これをタンザニアのチンパンジー、コンゴ人民共和国のボノボ、カメルーンのゴリラ、そして米国のヒトの間の比較に用いた。これにより、いくつかの細菌系統の系統樹が明らかになり、その結果、それらが宿主の進化パターンと密接に対応していることが分かった。
さらに、ある宿主に特有の細菌種が他の種に移行ることはまれであることが明らかになった。このことから、細菌は宿主の進化と共に特有の進化を遂げたこと、また現在の人類の腸内に生息する細菌は、人類の祖先の共生細菌の子孫であることが示唆される。
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匿名希望
生物はクラゲやイソギンチャクのような腔腸動から、タコ等の軟体動物、エビ、カニ、昆虫といった外骨格を持った動物、と体の中心部に内骨格を持つ動物に、と3方向に枝分かれしていった。
最初の生物は先カンブリア紀の5億7500万年前に登場した「ランゲルオモフ」と呼ばれる水草のような生物であるが、動物か生物かもわかっていない。リンク
先カンブリア紀で明らかな動物と思われるのは5億3500万年前の地層化石として見つかった「ヴシッタツシヴァーミス」と呼ばれ、ミミズのような動物である。
リンク
ヴシッタツシヴァーミスは海底で、穴を掘って生息していたとみられている。
続いて5億2000万年前には「ハルキゲニア」と呼ばれる動物が登場する。ハルキゲニアは眼も口も葉も足もあるし、背中に棘もある。リンク
またオパビニアという動物は眼に加えてヒレもあれば口先には鋭い突起物を備えている。
リンク
こうした多様化は、既に多くの投稿があるように、眼の獲得に伴う進化競争の激化であろう。
中には巨大な目を持ったカンブロパキコーペという動物も登場する。
リンク
その頂点に立ったのが巨大化したアノマロカリスだ。
リンク
カンブリア紀の動物進化をまとめると以下のようになる。
リンク
>カンブリア紀以前、生き物といえば水中の微生物であったが、次第にこうした微生物を捕食する小さな生き物が現れました。しかし、この小生物は海底を移動するにとどまっていました。およそ5億4100万年前、まだ虫のようだった小生物が単純な「筋肉」を獲得し、海底に穴を掘る能力を得ると同時に、海底に酸素が供給されるようになりました。これにより、新たな生息地、食料、捕食動物が生まれ、一気に新たな生物が増加。その中で生まれた節足生物の多くは、かみつくための歯のような器官が脚部についていました。彼らは生き残るために戦いを繰り広げ、その結果、さらに生物は多様で複雑な姿を取るようになり、不思議な見た目の生き物も誕生することになりました。それがハルキゲニアやオパビニア、アノマロカリスのような生き物だったというわけです。
しかし、アノマロカリスは固いものを砕くことはできなかったという指摘もあり、実質的な覇者は固い殻をもつ三葉虫だったといえるだろう。つまり眼の獲得によって、攻撃力としては触手が、防御力としては棘や殻が進化し、進化競争が激化し、多様化と巨大化が進んだということだ。
ただし外骨格を持つ動物は大きくなるには脱皮が必要で、そこで捕食されるリスクを持つ。こうした中、棘と触手の進化競争には背を向けていたのが脊椎動物類だ。彼らは当時は逃げるしか能のない食物連鎖の「下位層」に位置していたが、次第にスピードを武器とする生物として進化し、食物連鎖の上位に立つことになる。
参考:海洋生命5億年全史(土屋健)
山澤貴志
深海魚ハダカイワシについて自ら光る仕組みが明らかにされたようです。
「発光生物を調べることは、別の角度から進化をみることにつながる」(中部大学大場教授)
日経サイエンスリンクより、以下転載。
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「光って身を隠す」深海魚ハダカイワシ
深海と聞いて思い浮かべるのは、ほとんど光の届かない暗闇の世界だ。実はそこに、様々な種類の光る魚たちが生息している。「ハダカイワシ」もそんな魚の一種。腹がぽつぽつとスポット状に光る不思議な魚だ。2019年11月、中部大学の大場裕一教授らは彼らが光る仕組みについての論文を発表した。
なぜ彼らは暗闇で光るのだろうか。目立ちたいから? 実はその逆で、隠れるために光っている。この現象は「カウンターイルミネーション」と呼ばれ、種を超えて様々な光る魚で観察されている。
深海はほぼ真っ暗とはいえ、わずかに太陽光が差し込んでいる。ハダカイワシを食べる捕食者が海底から頭上を見ると、太陽光でほのかに明るい海をバックにして泳ぐハダカイワシの影が浮かび上がる。これでは見つかってしまうが、腹を光らせれば影をかき消すことが可能だ。深海に暮らす生物の多くは視力が弱く、影が薄くなるだけで魚の動きを追いづらくなる。まさに「光る隠れみの」だ。
だが、この隠れみのにも欠点がある。斜め方向に光が漏れてしまうと、今度は一転、真っ暗な海の中で目立ってしまうのだ。そこでハダカイワシは斜め下から見上げた場合には発光が見えないように、自分の真下にだけ光を放つ仕組みを磨き上げた。
大場教授らはハダカイワシの腹に並ぶ発光のための特殊な器官「発光器」の構造を解析した。発光器の中には鏡のような組織が存在する。たんぱく質の酵素反応で光る「発光細胞」から出た光は、一度発光器の中で反射してから出て行く仕組みになっていた。発光細胞から出た光は電球のように満遍なく様々な方向を向いているが、反射させる角度を少しずつ変えることで狙った方向に光線の向きをそろえていた。実に巧妙な仕掛けだ。
実は、ハダカイワシ以外の魚たちもユニークな発光器を持っている。カラスザメと呼ぶ深海性のサメのなかには、発光器を自分自身に向け、自分の体のトゲをライトアップするものがいる。これは、捕食者へのアピールだと考えられている。身を守るためではなく、仲間とのコミュニケーションに光を使う魚もいる。たとえばヒカリキンメダイは目の下に大きな発光器があり、光を点滅させる。
海の中では魚にイカ、エビ、二枚貝。陸上を見渡せばホタルにキノコ。実は地球上にはたくさんの発光生物がいる。その多くは光る仕組みや、光る仕組みを獲得した過程が謎に包まれている。ハダカイワシだけでなく、深海から陸上まで様々な発光生物の研究に取り組む大場教授は「発光生物を調べることは、別の角度から進化をみることにつながる」と話す。不思議に満ちた発光生物たちの生態は、まだまだ私たちを楽しませてくれそうだ。(日経サイエンス編集部 出村政彬)
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転載終了
立川久
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北村浩司 |
下記,リンクより引用
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私たちには生まれた時から,誰に教わらなくてもできることがたくさんある。顔の認識はその1つだ。赤ちゃんがまわりの大人の顔をじっと見つめるのは,目に映る景色の中から顔を検出できている証拠だ。顔認識のプログラムを内蔵したスマートフォンのように,私たちの脳にも「顔の認識プログラム」が生まれつき備わっているのだろうか。もしそうだとすれば,このプログラムはいつ獲得されたのだろうか。近年の研究から,その謎を解くカギを魚類が握っていることが明らかになってきた。
魚の顔認識は,長らく反射的な行動だと思われてきた。捕食者の顔の情報が,逃避行動とセットであらかじめ脳にプログラムされているという考え方だ。しかし,私たちの顔認識には特定の顔への反応だけでなく,人の顔を覚えて見分ける学習能力や,相手の表情を読み取る能力も含まれている。魚類にはヒトのような認識能力は存在しないというのが定説だった。
この定説を覆したのが,大阪市立大学教授の幸田正典らだ。アフリカのタンガニーカ湖で30年以上魚類の研究に携わってきた幸田は2015年,この湖に生息する淡水魚,プルチャーで顔の認識能力を調べた結果を発表した。プルチャーを選んだのには訳がある。なんと,プルチャーは1匹ずつ異なる顔を持つ魚なのだ。
私たちの顔認識の起源が魚類にあるとすれば,長い歴史の中で魚類のほかにも様々な動物が顔認識をするようになるまでに,はたしてどんな経緯があったのだろうか。そもそも私たちの「顔」はどのように生まれ,魚たちの顔認識を経て私たち人類の認識能力へと繋がったのか。長年の解剖学の蓄積からは,その道のりを理解する,1つのストーリーが浮かび上がってきた。
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引用終わり
我妻佑磨
植物は太陽光で光合成をおこなうので、背が高い方が有利です。実際にアメリカカリフォルニア州には115mを超えるセコイアがあります。ビルで言えば30階建てといったところでしょう。しかし光合成には有利でも、土からの水をポンプもない状態で上にどうやって運んでいるのでしょうか? 実は水の特性を生かしているのです。(リンク)
・・・・・・以下引用・・・・・
(前略)
なぜ植物がこんなに高く生長できるのかは昔から不思議に思われていた。なぜなら、どうやって水をそんなに高いところまで運べるのかが、わからなかったからである。
一番考えやすいのは、大気圧によって水を持ち上げる方法だ。コップを水に沈めて、コップの中を水で満たす。それから、コップを逆さまにして、コップの底を水面の上に出す。すると、コップの中の水面は、外側の水面よりも高くなる。これは、コップの外側の水面を大気が圧しているからだ。この水面を圧す力を大気圧といい、これが結構強い。ものすごく細長いコップで同じことをすると、コップの中の水面は10.3メートルまで上がる。
しかし、高さが10メートルを超す樹木はいくらでもある。100メートルを超す樹木だってある。そんな高い樹木のてっぺんまで水を運ぶのは、大気圧には無理である。
樹木の中を水が高く上がるしくみは、実はいくつかあるのだが、もっとも重要なものは、水の凝集力である。
水分子は、2つの水素原子と1つの酸素原子が結合したものである。その形は、ちょうどミッキーマウスの頭に似ている。耳が水素原子で、顔が酸素原子だ。そして、水素原子の持っている電子は、酸素原子の方にいくらか引きつけられている。そのため、水分子では、プラスの電気はミッキーマウスの耳の方に少し多く、マイナスの電気は顔の方に少し多く分布することになる。
水分子は、全体としてはプラスとマイナスの電気が相殺して電気を持っていないのだが、プラスとマイナスの電気の分布が片寄っているのである。そのため、水分子と水分子は、そのプラスの部分とマイナスの部分で引きつけ合う。この、水分子同士がくっつき合う力を、凝集力という。この凝集力は非常に強く、細いパイプに入った水を、理論的には450メートルも持ち上げることができる。そのため、木の上の葉から水が蒸発すれば、水分子はお互いに離れないように、上から水を引き上げるのだ。
ただし、この凝集力で水を樹木の梢まで引き上げるためには、細い管の中を、水が下から上までつながっていなくてはならない。途中で水の柱が切れてしまったら、上側の水が下側の水を引っ張ることができない。これは植物にとって困った問題で、実際に水の柱が切れてしまうことがある。その多くは、水が凍ったときだ。水が凍ると、それまで水に溶けていた空気が、氷の結晶の中に入れなくなり、結晶から追い出される。そうすると、氷の中に、空気の泡(気泡)ができてしまう。この気泡が、氷が解けて水に戻ったときに残り、水柱を分断してしまうのだ。
ここで簡単に、植物の分類について説明しておこう。植物は、コケ植物とシダ植物と種子植物の3つに大きく分けられる。さらに種子植物は、裸子植物と被子植物に分けられる。
進化的にもっとも新しく出現したのは被子植物で、現在もっとも種数が多く、繁栄しているのも被子植物である。しかし、背の高い植物は、被子植物ではなく裸子植物に多い。先ほど紹介した世界一高いセコイアも、日本一高いスギも裸子植物である。これには理由がある。
水を引き上げるために、多くの被子植物が使っているのは、導管である。導管の細胞は中身が空っぽで、上下に穴が開いている。つまり、1本のパイプになっている。
一
方、裸子植物の多くは、仮道管で水を引き上げている。仮道管の細胞も中身は空っぽだが、細い細胞がたくさん集まっていて、それぞれの細胞の横に穴が開いている。そして水は、横に開いた穴を通って、たくさんの細胞の中を曲がりくねりながら進んでいくのである。
導管は太くて真っすぐなので、水をたくさん運べる。しかし、太い管は気泡ができやすい。気泡のできた導管はもう使えない。一方、仮道管は細くて、水は曲がりくねって進んでいくので、運べる水の量は少ない。
その代わり、細胞が細いので気泡ができにくいし、水の通り道がいくつもあるので、気泡がいくつかできても、仮道管は使い続けられる。
つまり、導管に比べて仮道管は、性能は劣るけれど、安定性では優れている。非常に背の高い樹木は、生長するのに時間がかかるし、水を運ぶパイプも長くなる。そのため、性能のよい導管よりも、安定性の高い仮道管の方が向いているのだろう。いわゆる巨木といわれるものに裸子植物が多いのは、そのためだと考えられる。
(後略)
・・・・・引用おわり・・・・・
孫悟空
「6600万年前、恐竜を絶滅させた小惑星の衝突直後に起きたことがわかった」
リンク
より引用です。
巨大な小惑星が6600万年前に現在のメキシコに落ちた。その影響で恐竜を含む当時の地球上の生物の75%が絶滅した。
小惑星のクレーターの奥深くにある岩石を分析することで、科学者たちは衝突直後に起こったことを再現することができた。
サンプルを分析したところ、小惑星の衝突によって数百メートルの高さの津波や山火事が発生し、大量の硫黄が放出されたことが明らかになった。それが太陽を隠し、地球を寒冷化へと導いた。
もちろん衝突現場の近くで多くの恐竜が死んだが、全体としては気温の変化のために絶滅した可能性が高い。
科学者は、6600万年前に地球に衝突した小惑星が恐竜の絶滅に導いたことを長い間受け入れてきた。
しかし、衝突後に地球と生物に何が起こったのかについては議論が分かれている。恐竜が絶滅した理由としては、太陽を消し去って地球を冷やした粉塵や煤の雲が原因だという説や世界的な火山噴火による有毒ガス、大規模な疫病だという説もある。
「米国科学アカデミー紀要」に掲載された最新の研究によると、地球の冷却が原因だという。
メキシコのチクシュルーブ・クレーター(Chicxulub
crater)を作った直径10kmの小惑星は衝突の際に、数百km四方に及ぶ火災と数百メートルの高さの津波を引き起こし、数十億トン単位の硫黄を大気中に放出したことが、研究で分かった。そのガスが太陽を遮って地球を冷やし、恐竜を絶滅させた。
論文の主執筆者であるショーン・グリック(Sean
Gulick)氏はプレスリリースで、恐竜はフライにされてから凍ったと述べた。
■チクシュルーブ・クレーターを調査
この日、地球に何が起こったのかをより深く理解するために、科学者たちはチクシュルーブ・クレーターの徹底的な調査を実施した。クレーターがメキシコ湾の深さ20kmまで達していることを考えると、これはやりがいのある仕事だ。
グリック氏と同僚のジョアンナ・モーガン(Joanna
Morgan)氏は2016年、衝突直後に岩石や破片が堆積したであろうクレーターの内部から岩石のサンプルを採取した。その地域の岩石はこれまで採取されたことがなかった。
その後、グリック氏とモーガン氏は3年間かけてサンプルを分析し、衝突後に何が起きたかを地質学的に再現した。
「これはグラウンドゼロ内から取り出した、このイベントの記録だ」とグリック氏は言う。
■小惑星は原子爆弾100億個分の威力があった
彼らが導き出したタイムラインによると、衝突から1分もたたないうちに、チクシュルーブ小惑星は海底に約160kmの穴を開け、溶岩と超高温ガスの噴出口を作った。燃えさかる内容物は急上昇して、山のように高いプルームを作り出した。
プルームは数分以内に崩壊し、溶岩と岩石が波状に固まった。その後、これらの峰はさらに多くの岩、焼け跡、そして波によって運ばれた炭で覆われた。
研究者たちによると、木炭の存在は、山火事が衝突後に発火した証拠だという。火口から何百kmも離れたところから火災が発生した可能性が高い。
その小惑星の破壊力は原子爆弾100億個分に相当すると著者らは見積もった。
グリック氏によると、この隕石は周囲の陸地を蒸発させ、衝突現場から海水をジェット機の速度で運んだはずだという。その水は高さ数百mの津波を引き起こし、現在のイリノイまで到達していた可能性があるという。
グリック氏がニューズウイーク(Newsweek)に語ったところによると、この隕石は秒速20km以上の速度で突入したはずなので、衝突現場から1500km離れたところにいた恐竜でも、それほど長くは生きられなかっただろうという。
「1500km以内では、焼かれてしまうまでほとんど何も見えなかっただろう」
■大量の硫黄が大気中に放出された
チクシュルーブ小惑星の衝突後に絶滅した生物は地上にいた恐竜だけではない。空を飛ぶ翼竜やプレシオサウルスのような海に住む捕食者も姿を消し、地球上の生物の75%が姿を消した。
もちろん、多くの生物が衝突現場付近で死んだが、小惑星に関連した大量絶滅は、衝突後に大気中で起こったことの結果である可能性が高い。
グリック氏のチームによると、衝突によって付近に豊富にあった硫黄が気化し、ガス状の硫黄の霧が大気中に放出されて太陽を遮り、地球を冷却したという。
科学者たちがこの結論に達したのは、彼らが発掘したサンプルには多くの砂岩、石灰岩、花崗岩が含まれていたが、衝突地点の近くの岩石は硫黄が豊富であるはずなのに、硫黄に富んだ岩石がなかったからである。そのため、彼らは少なくとも3250億トンの硫黄ガスが大気中に放出されたと推定した。
一方でインドネシアのクラカトア火山の1883年の噴火では、恐竜が絶滅の危機に瀕した小惑星の約4分の1の硫黄が大気中に放出され、5年の間、地球を約1℃冷やした。
チクシュルーブ小惑星の影響は、クラカトアよりもはるかに長く続いたことはほぼ確実だ、とグリック氏はニューズウイークに語った。
「チクシュルーブの場合、硫酸塩の煙霧が地球を取り囲んだため、地球全体の気温は急激に下がり始めただろう」
また「地球はもはや、宇宙でおなじみの青い大理石のようには見えないだろう。完全にきれいになるまでにはおそらく20年以上もかかる」と話した。
小川泰文
以下リンク
ヘビの進化は、これらの複雑な脊椎動物がかつて手足を持ち、時間をかけて順応して劇的な形で生きることを知っていたため、長年科学者を魅了してきました。
しかし、限られた化石の記録は、1億6300万から1億7400万年前のジュラ紀中期上部にヘビが最初に現れて以来、その移行がどのように起こったかを反映していませんでした。
長年にわたって、これらの手足は、ヘビが現在の手足のない形に素早く適応する前の単なる一時的な段階であると理論が示唆してきました。
科学者は翼竜の新しい部分骨格を発見し、すぐにそれを「Butch」と名付けました
しかし、Science
Advances誌に水曜日に発表された新しい研究によると、新しく発見され保存されたヘビの化石、特にヘビの頭蓋骨は、長い間背中に足があったことを示唆しています。
ナジャシュ・リオネグリナは後肢を持つ初期のヘビの一種でした。研究者は、アルゼンチンのパタゴニア北部のラ・ビトレラ古生物学地域にある他の化石と同様に、ほぼ完全に無傷であるものを含む、8つの頭蓋骨を発見しました。
ほぼ完全に保存された、新たに発見されたナジャシュの頭蓋骨。
ほぼ完全に保存されている、新たに発見されたナジャシュの頭蓋骨。
ナジャシュは、頬骨のアーチなどのトカゲに似た原始的な特徴と、頭蓋骨から頬骨につながる骨のアーチがないことを含む、よりヘビのような特徴を有していました。また、顎関節の一部のように、ヘビとトカゲの中間の何かを所有していました。
頬骨とも呼ばれるその頬骨は、ほぼ1億年前にこれらの初期のヘビに存在していましたが、現代のヘビでは明らかではありません。
「私たちの発見は、現代のヘビの祖先は、以前考えられていた小さな穴を掘る形ではなく、大きくて口が大きいという考えを支持しています」と、フェルナンド・ガルベロリオは声明で述べました。ブエノスアイレス、アルゼンチン。
「この研究はまた、初期のヘビが大部分が完全に手足のない現代のヘビの起源の前に後肢を長期間保持したことを明らかにしています。」
ヘビには一連の骨の紋章もありませんでしたが、これは長い間「ヘビネス」の特徴と考えられていました。
ナジャシュのヘビは、7000万年にわたって、安定して安定した方法で後足で生きていました。これは、後肢がヘビにとって有用であり、後肢が彼らなしで生きることに適応する前の移行期の一部ではなかったことを示唆しています。
光学顕微鏡とトモグラフィーのスキャンにより、研究者はナジャシュを3Dで見ることができ、現代のヘビに至る進化の初期段階をよりよく理解することができました。これにより、研究者はヘビの骨格内の神経と血管の経路を詳しく見ることができました。
「この研究は、ヘビと非ヘビのトカゲの頸骨の理解に革命をもたらしました」と、アルバータ大学の研究共著者で教授のマイケル・コールドウェルは述べました。「160年にわたって誤解した後、この論文では、推測ではなく経験的な証拠に基づいてこの非常に重要な機能を修正しています。」
全体として、彼らの研究は、ヘビの体のプランの詳細な調査を提供しました。前肢がないため、研究者たちは後肢よりもずっと早く姿を消したと考えています。
「この研究は、現代のヘビと古代のヘビの頭蓋骨の進化を理解するために重要です」
直永亮明
以下引用
(リンク)
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カナダ東部、ノバスコシア州のケープブレトン島。今は典型的な北方林が広がるこの島は、3億6000万年前から3億年前ごろの石炭紀と呼ばれる時代、太古の巨大植物が茂る亜熱帯の湿地だった。
化石になって残るそれらの幹や根の中からは、当時このあたりに生息していた動物の化石が数多く見つかっている。よくわからない化石も多いが、なかには保存状態の良いものもある。
今回、この島で石炭紀の生物の新種が見つかったほか、当時から「複雑な子守り」が行われていた可能性も浮上している。12月23日付けの学術誌「Nature
Ecology & Evolution」に論文が発表された。
寄り添うようにして見つかった
論文によると、今回出土したのは約3億900万年前のバラノピド科の化石。見た目はトカゲのようなバラノピド科は、哺乳類の祖先に当たる単弓類に属すると考えられてきたグループだ。今回の化石の足の後ろには、尻尾で取り巻いた状態の小さな頭骨も見つかった。成体と同じ種の幼体のものに見える。
「このグループの動物では、これまで見つかった中で最古の子守りの例だと考えています」と、論文の共著者で、カナダ、カールトン大学の古生物学者であるヒラリー・マディン氏は話す。
化石から子守りのような行動を推定するのは、少し飛躍しすぎと感じるかもしれない。しかし、バラノピド科の生物が大小寄り添うようにして見つかった化石は、これが初めてではない。以前に南アフリカで見つかった化石では、成長した個体が前足で複数の子どもたちを覆い、まるで子どもを守ろうとしているように見える。今回カナダで見つかった化石もそれに似ているが、4000万年ほど古い。
オーストラリアのタスマニア大学でトカゲの子守りについて研究している進化生態学者のジェフリー・ホワイル氏は、「もちろん直接見ているわけではないので、複雑な行動を推測する場合は十分注意する必要があります」と述べる。「しかし、この化石は親子の交流の証拠と解釈できます。また、こうした交流がなければ、子守りがさらに複雑な形態に進化することはありません」
子守りの進化解明へのカギ
ただし、大小の個体が親子かどうか、また成長した個体がメスかどうかはわからないという。それでも、論文の著者らは、「木」と「面倒を見る母親」という意味のギリシャ語と、先住民ミクマク族によるケープブレトン島の名前にちなみ、この新種にDendromaia
unamakiensisという学名をつけた。
恐竜の子守りに関する証拠を発見したことがある米モンタナ州立大学の古生物学者デビッド・バリッキオ氏は、「化石に残された記録から複雑な行動を証明するのは、とても難しいことです」と言う。しかし、この化石はとても保存状態がよく、隠れ家のような場所に一緒にいる成体と幼体のものであるという点には、同氏も賛同している。そのため、子守りの「証拠となる可能性が高い」という。
「この化石から、哺乳類の祖先における子守りの起源は早かったらしいことがわかります。恐竜でも子守りをしていた証拠が増えつつあり、それが鳥にも引き継がれました。両グループの子守りの起源は数千万年、ひょっとすると数億年さかのぼることになるかもしれません」
ホワイル氏は、親と子どもが一緒に過ごし始めたことは、複雑な子守りへと進化するために欠かせないステップだったのかもしれないと言う。現在の鳥や哺乳類、爬虫類は、卵や子どもを守ったり、子どもに食べものを与えたり、食べものの探し方を見せたりと、さまざまなレベルの子守りを行っている。
「ある種のなかでこうした交流が習慣になれば、親が子どもを守ったり食べものを与えたりといった、さらに高度な子守りに向けて進化する可能性があります」とホワイル氏は話す。ただし、今回発見された新種でこういった子守りが行われていたかどうかは、化石からはわからない。
ホワイル氏によると、トカゲは従来、子どもの面倒見が良いとは考えられてこなかったが、「今では、100種近くのトカゲやヘビで、親子の交流を示す証拠が見つかっています」と言う。こういった交流は証明しづらいために現在は100種にとどまっているが、今後は徐々にその数が増えると、同氏は見ている。
穴瀬博一
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アンテキヌスは体長が10センチメートル程度しかない。彼らは小さなネズミのような有袋(ゆうたい)類である。有袋類というのは、カンガルーのように袋の中で子どもを育てる仲間だ。
有袋類は未熟な胎児を産み、袋の中で子どもを育てる。一方、一般的な哺乳(ほにゅう)類は、有胎盤類と呼ばれている。有胎盤類は胎盤が発達しており、母親のお腹の中で子どもを十分な大きさにまで育てることができるのである。
有袋類と有胎盤類とは、もともと共通の祖先を持つが、1億2500万年以上前に枝分かれして、それぞれの進化を遂げたと言われている。
世界では有胎盤類が多様な環境に適応して、多様な進化を遂げたが、オーストラリアでは、有袋類がさまざまな進化を遂げた。
たとえば、有胎盤類のネコのように、有袋類ではフクロネコが進化した。また、有胎盤類のオオカミに対して、有袋類のフクロオオカミ、有胎盤類のモグラに対して、有胎類のフクロモグラ、有胎盤類のモモンガに対して、有袋類のフクロモモンガというように、その進化はよく似ている。
有胎盤類も有袋類も環境に適応してよく似た進化をしているのである。ちなみに有袋類のカンガルーは、有胎盤類ではシカ、有袋類のコアラは有胎盤類のナマケモノに相当すると考えられている。
アンテキヌスは、有胎盤類ではネズミによく似ている。
ネズミは弱い生き物で、さまざまな動物たちの餌にされる。そのため、ネズミは1年程度の短い寿命の間に、たくさんの子どもを産んで生き残るという戦略を選んでいる。
アンテキヌスもネズミと同じ戦略である。
彼らの寿命も短い。アンテキヌスのメスは寿命が2年程度である。オスの寿命はさらに短く、1年に満たないとされている。
彼らの一生は忙しい。
アンテキヌスは生まれて10カ月で成熟し、生殖能力を持つ。つまり、大人になるのだ。
人間が20歳で大人になるとすれば、それまでに240カ月かかっている計算になる。アンテキヌスは、この24倍もの速さで大人になるのだ。
アンテキヌスは冬の終わり頃の2週間程度が繁殖期になる。そして、大人になったアンテキヌスのオスは、メスを見つけては、次々と交尾を繰り返していくのである。
哺乳類のメスは、オスを選り好みする例が多く見られる。1回に産むことのできる子どもの数が限られている哺乳類では、いかに優れたオスの遺伝子を子どもに託すかが重要なのだ。そのため、交尾相手のメスをめぐって、オスどうしが戦い、強いほうのオスだけがメスと交尾をするというルールを持つ動物も少なくない。
ところが不思議なことに、アンテキヌスのメスは、どんなオスでも受け入れるという。おそらくは、それだけ繁殖をし、子孫を残すことが難しいということなのだろう。選り好みをしている余裕がないのだ。
交尾に明け暮れて死ぬ
もちろん、オスのほうもメスを選ぶことはない。手当たり次第に、と言えば言葉は悪いが、オスも出会ったメスと次々に交尾を繰り返していく。
強いオスだけが子孫を残すことができるというルールであれば、オスたちは体を大きくして闘争能力を高めていく。しかし、アンテキヌスにとっては、強いことには何の意味もない。どんなオスでもメスは受け入れてくれるのだから、少しでもたくさんのメスと交尾したオスが、より多くの子孫を残すことができる。そうなれば早い者勝ちだ。アンテキヌスにとっては、他のオスと戦っているような暇はない。
他の動物たちは、ライバルと競い合ってパートナーを選び、甘い鳴き声やスキンシップで愛を育みながら、愛の結晶を宿す。しかし、アンテキヌスのオスは、恋だの愛だの言うことは一切なく、ただ交尾相手を探しては交尾をし、また次の交尾相手を探すことを繰り返す。
それも無理のない話だろう。何しろ、アンテキヌスに許された繁殖期間はわずか2週間しかない。それが、アンテキヌスにとって生涯で1度にして最後のチャンスである。この期間を過ぎれば、オスは寿命が尽きてしまう。そのため、アンテキヌスのオスは、この間、不眠不休でメスを探し続け、ひたすら交尾を行っていくのである。
匿名希望
単細胞真核生物が細胞内で葉緑体を利用する機構は、共生が成立するよりも遙か前の、捕食・被食の段階から漸進的に準備されてきたようです。
国立遺伝学研究所リンクより、以下転載。
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単細胞生物の藻食―毒まんじゅうは光合成生物への進化の素―
真核生物による葉緑体つまり光合成能の獲得は、真核細胞内へのシアノバクテリア(光合成を行うバクテリア)の一次共生(紅藻、緑藻、植物の共通祖先)の他、それによって生じた真核藻類の二次共生により(褐藻、渦鞭毛藻、ミドリムシなどのそれぞれの祖先)様々な系統で独立に何度も起きたことが知られています。また、細胞内に取り込んだ単細胞藻類を数週間から数ヶ月間、葉緑体のように利用した後に消化する単細胞生物(盗葉緑体性生物)、長期にわたって任意共生させる単細胞生物が多くの系統で見つかっており、葉緑体の成立は、単細胞真核細胞による単細胞藻類の捕食、一時的保持、恒久的保持という順の進化の結果だと考えられています。
光合成装置は有害な活性酸素種を生じるため、藻類および植物は光合成酸化ストレスへの様々な対処機構を発達させていること、対処しきれない場合は死んでしまうことが知られています。同様に単細胞藻類を共生させるまたは捕食する真核生物も、単細胞生物の場合、細胞内に取り込んだ藻類細胞に光が届くので活性酸素種が生じ、光合成酸化ストレスに曝されると予想されますが、単細胞の捕食性生物にとって藻類えさが毒まんじゅうであるのかについての研究例はこれまでありませんでした。
そこで、日当たりの良い湿原から単離した系統の大幅に異なる3種の藻食アメーバを用いた解析を行いました。その結果、以下のことが3種のアメーバに共通して起こることが明らかとなりました、
(1)藻食アメーバは餌の光合成性と光特異的に強い酸化ストレスに曝される。光合成酸化ストレスが上昇する強光下で光合成生物を補食すると死ぬこともある。
(2)昼間にはアメーバの酸化ストレス対応遺伝子群の発現が上昇し、一方でアクトミオシン等ファゴサイトーシス関連遺伝子群の発現が抑制される。
(3)アメーバは昼間には餌の取り込みを抑制する一方で、それでもなお取り込んでしまう餌の消化速度を速める。つまり、細胞内の光合成性えさの数を減少させることで活性酸素種の発生を抑えていると予想される。これに似た現象として、光合成酸化ストレスが高まる環境下で、細胞内の共生藻類を消化または吐き出すことが、ミドリゾウリムシ、サンゴなどで知られている。
(4)アメーバは、これまで藻類・植物でのみ見つかっていたクロロフィル(光合成色素;光合成装置から遊離した状態で光を受けると活性酸素種を生じる)の分解・無毒化遺伝子を、それぞれ独立に、光合成生物からの遺伝子水平転移により獲得している。これらの遺伝子は、光または酸化ストレスにより発現誘導される。
これらの結果、光合成生物を細胞内に共生させ、さらには葉緑体として利用するための機構は、捕食・被食の段階から漸進的に準備されてきたことが示唆されます。これまで、葉緑体タンパク質をコードする核ゲノムの遺伝子群の多くは、恒久的な細胞内共生の確立後、共生体ゲノムから宿主核ゲノムに移行することで獲得されたと考えられてきました。しかしながら、今回の研究の結果、それらの少なくとも一部は、共生が成立するよりも遙か前の、捕食・被食段階から(例えば光合成性えさゲノムから捕食者の核ゲノムへの)水平転移によって順次獲得されてきた可能性も示唆されます。
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転載終了
立川久
以下引用リンク
地球におい茂る木は3兆本を超えると言われており、その数は天の川の星々ですら凌駕する。
これらの木々は、大気から二酸化炭素を吸収し、土壌を侵食から守り、水を生態系の中で循環させ、無数の生命を育む、私たち人間にとってもかけがえのない存在だ。
幹から広がる根は、いわば植物の消化管のようなもので、周囲の土から水と栄養を交換している。また文字通りいかりとして植物を固定し、地上で高く広く成長する幹や枝葉を支えている。
しかし、それは地球に登場した最初から今のような姿をしていたわけではなく、木がどのようにして地下の配管システムを進化させてきたのか、これまでずっと謎だった。
だが、アメリカ・ニューヨーク州カイロ郊外で発見された3億8500万年前の森の化石がその謎を解き明かしてくれるかもしれない。
3億8500万年前のデボン紀の森
『Current
Biology』(12月19日付)に掲載された研究によると、アメリカ・ニューヨーク州カイロ郊外で発見された世界最古の森の化石は3億8500万年前のデボン紀のもので、今のほとんどの植物がそうである種子植物が台頭した時期よりも前のものだ。
この森に残されている根の名残は、現代の木々のものとよく似ているという。つまり、根は相当に早い段階から進化し、今にいたるまで使い続けられてきたらしいということだ。
根の化石は幹を中心に5.5メートルほど広まり、土の奥深くに潜っている。しっかりと頑丈で、複雑に枝分かれし、その先端からは繊細な細根が伸びている。
研究グループの一員であるニューヨーク州立大学ビンガムトン校のウィリアム・スタイン氏曰く、その見た目は「驚くほど現代的」だという。
植物の世界に登場した革命的な種
この根は知られる限り最古の木「アーケオプテリス」のものであることが判明している。
この木は、現代のオークやメープルのような日光を浴びるにはぴったりの平べったい緑の葉を茂らせ、高く成長しやすい太く立派な幹を持っていた。
今回はさらに、リソースを有効に使える効率的な根が備わっていたことまでが明らかになった。これら三つの特徴を駆使して、デボン紀の終わりにかけて世界中に勢力を広めたのではないかと推測されている。
「革命です。こうした特徴の多くはより高い代謝率のサインなのですが、それらすべてがほとんど奇跡のようにアーケオプテリスに現れたわけです」とスタイン氏は説明する。
カイロの森とギルボアの森
カイロから西に40キロの地点にあるギルボアには、これまで最古とされてきた森の化石がある。そこには現代のシダ植物に似た「エオスペルマトプテリス(Eospermatopteris)」が茂っていた。
エオスペルマトプテリスはカイロの森にも多く見られ、かなり適応力が高かったらしいことが窺える。しかし、その根は浅く、華奢なもので、1年か、2年程度で次の世代に入れ替わっただろうと考えられている。
一方、アーケオプテリスがギルボアの森に勢力を伸ばすことはなかった。ベリー氏によれば、その理由は、深く根を張る植物にとっては少々土壌の水分が多すぎたからであるようだ。カイロの場合は定期的な乾季があったようで、そのためにアーケオプテリスは根腐れの心配なく、根を深く張り巡らせることができた。
数十キロの距離と数百万年の隔たりがあるとはいえ、カイロとギルボアの森はかつてキャッツキル山脈をおおっていた同じ風景の一部だったのだろう、とスタイン氏は考えている。
しかし、この地域はときおり洪水に見舞われてきた。そして特に酷いものが数億年前に発生し、カイロの森は現代の形になってしまった。
森の登場が現代世界を創造した
アーケオプテリスがこのような効率的な根を進化させるにいたった理由は定かではない。だが、それがいつで、どのようなものであろうと、それまで地表をおおうだけだったちっぽけな植物からの劇的な出発を意味しているのは間違いない。
それは地球全体の風景をも一変させるほどの出来事だった。
木々が大気から二酸化炭素を吸収し、やがて枯れたときにその分子を土の中に堆積させ、これがまた新しい命を育んだ。生茂る葉は日陰を作り出し、容赦なく照りつける太陽から生き物を守った。
根は地下奥深くへと張り巡らされ、土壌の化学成分に変化を引き起こし、炭酸を海へと移動させた。そして木々が茂ることで、土地全体が洪水や風雨に対して強くなった。
二酸化炭素が吸収されたことで、大気は劇的に冷えて、地球は氷河期へと突入する。木々の中には絶滅した種もあった。しかし一方でまた違う種が進出し多様化した。
「こうした森の登場は、現代世界の創造でした」とベリー氏は述べる。
また今回の発見は、温暖化が進む現状についてハッとさせられる事実を突きつけてもいる。
世界中で森が切り倒され、太古の時代に木々が蓄えた炭素(つまり石炭)が掘り起こされている。「今起きているのは、デボン紀に起きたこととまったく逆のことです」とスタイン氏は話す。
井上智貴
■せきつい動物の特徴まとめ
リンク 先にある諸表の『きつい動物の特徴まとめ』が、わかりやすい。その中でも、魚類と両生類の違いを取り上げてみる。
魚類は、1心房1心室の心臓であるが、両生類は、2心房1心室の心臓。
魚類は、鱗に体表が覆われているが、両生類は、粘膜。
魚類は、水中でエラ呼吸だが、両生類は、幼生は水中でエラ呼吸で、成体は陸と水中で肺呼吸と皮膚呼吸。
という大きな違いがある。
また、両生類には、音を感知する鼓膜がある。リンク
四肢で、三本指(あるいは前肢)が必ずある。
リンク
リンク
カエルは、両生類の尾がない生きものの仲間の総称でカワズともいいます。両生類のなかでもっとも広く分布していて、南極大陸と北極圏を除く全世界に約3000種が生息し、体長は1~20cm程です。カエルの子どものオタマジャクシは、絶えず水を飲み、口から取り込んだ水はえらの表面を流れ、体の左側に開く呼吸孔から体外へ出るのが一般的です。口には餌をけずり取るための黒い角質のくちばしと唇歯があります。オタマジャクシは、親のカエルとは外見上の違いが大きく、また魚にも見えない独特の形です。魚類の仲間の「肺魚」や両生類の仲間の「山椒魚」の両方の特徴があります。魚類から両生類への進化の過程を見るようです。オタマジャクシは、頭部の後ろに内エラがあり、そこにエラの穴が開いています。左右一対のエラをもつ種類もありますが、日本にいるものは、全部が左側にだけエラ穴があり、エラ穴はやや管状に出ていて後ろ向きに開いています。
この左側の「エラ穴」から、左肢が先に出てくる形で、リンク
前肢が一緒にでてくるわけではない。
オタマジャクシの後肢は徐々に形作られていきますが、前足は皮膚の下で完全に形成され、皮膚を破って一気に外に出ます。この時、右肢は皮膚を突き破る必要がありますが、実は左肢は「エラ穴」から出るため、その分早く出ることになります。ちなみに日本のオタマジャクシのエラは、全て左側だけです。
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以下、リンク より転載。
オタマジャクシは、成長(せいちょう)すると尾(お)がなくなり、足(あし)が出てきて私(わたし)たちと同(おな)じ「肺(はい)」で呼吸(こきゅう)をする子ガエルとなるんだ。これを「変態(へんたい)」と言(い)うんだよ。親(おや)のカエルは、「肺(はい)」のほかにも、「皮ふ(ひふ)」でも呼吸(こきゅう)をしているんだ。カエルは、呼吸(こきゅう)の多(おお)くを「皮ふ(ひふ)」を使(つか)っているから、「皮ふ(ひふ)」が しめっていないと生きていけないんだ。また、「肺(はい)」での呼吸(こきゅう)は、口をふくらませて入(はい)ってきた空気(くうき)を肺(はい)に送(おく)っているんだけど、そのやりかたは、空気(くうき)を「飲(の)みこむ」と言(い)ったほうが わかりやすいかな。ちょっとむつかしいけど、これはね、空気(くうき)の入(はい)る袋(ふくろ)である「気嚢(きほう)」や胸(むね)をふくらませる「横隔膜(おうかくまく)」といったヒトのような体(からだ)のしくみがない ためなんだ。
カエルは、肺(はい)でも息(いき)をしているけど、寒(さむ)くなると土の中にもぐって、「冬みん(とうみん)」をするだろう、そのときには、土の中には空気(くうき)がないから 肺(はい)を使(つか)わないで 皮膚(ひふ)で息(いき)をしているんだ。
日出・真田十勇士
『恐竜が絶滅する前から地球は不安定な状態だった。貝殻の分析で海の異変が明らかに(米研究)(リンク)』からの転載です。
恐竜は、現生鳥類につながる種を除いて約6550万年前に突如絶滅したと言われている。これは、5回目に起きた大量絶滅によるものだ。その原因は、小惑星の衝突したとする隕石説が最も有力で、これにより、種のレベルで最大約75%の生物が絶滅したと言われている。
だが仮にこの隕石説が正しかったとしても、その前から地球はすでに不安定だったという。
南極の貝殻から得られた新たなる科学的知見によれば、大量絶滅が起きるよりも前に、海では二酸化炭素が急激に増加しており、その影響で貝殻の化学組成が大きく変化したことが明らかになったそうだ。
■恐竜が絶滅する前に海で二酸化炭素が急増
アメリカ・ノースウェスタン大学の研究グループは、K-Pg境界(6550万年前の中生代と新生代の境目。恐竜などの大量絶滅が起きた)から得られた貝の化石を調べ、そこに含まれるカルシウム同位体の組成を測定した。
すると、5回目の大量絶滅が起きるよりも前に、海では二酸化炭素が急激に増加していたことが明らかとなった。その影響で貝殻の化学組成が大きく変化していたのだ。
■デカン・トラップの噴火が原因である可能性
海にこのような炭素の流入があった原因は、デカン・トラップ(インド、デカン高原にある地球上でもっとも広範な火山活動の跡)で長く続いた噴火である可能性が濃厚だとのこと。
隕石が衝突する前より、デカン・トラップからは膨大な量の二酸化炭素が大気に放出されていた。そして、二酸化炭素の濃度が高まったことで海が酸性化し、そこで暮らしていた生き物に直接的な影響を与えたようだ。
■貝の化石に着目した海洋分析
これまでにもデカン・トラップの噴火が大量絶滅にどの程度の影響を及ぼしたのかを調べた研究はあったが、それらは主に堆積物を調査対象としたものだった。
しかし今回の研究では、貝の化石に着目し、さらに最新の分析技術を採用することで、より詳細な海の化学組成が調べられた。
南極シーモア島西部にあるロペス・デ・ベルトダノ層(保存状態のいい化石が豊富なことで知られる)で採取された貝に含まれるカルシウム同位体の分析からは、それに急激な変化が起きていたことが判明したという。
その一方で、絶滅が起きた時代の地層であってもそれを超えるような変化は起きていなかった。
「貝は海水の化学組成に応じてあっという間に成長・変化します。貝の寿命は短いので、貝殻ひとつひとつが海洋の化学組成を記録したスナップ写真のようなものです」とベンジャミン・リンツマイヤー氏は話す。
貝はほとんどが炭酸カルシウムで構成されているが、これは水に含まれる二酸化炭素によって溶けてしまう。
貝が形成される段階なら、それを溶かすまでもなく、二酸化炭素は貝殻の組成に影響を与えたことだろう。
■温故知新で読み解く地球温暖化の未来
今、私たちは地球温暖化の時代を生きているが、過去に地球が極端な温暖化と二酸化炭素の増加にどのように反応したのか理解すれば、未来の姿を予測するヒントになるだろうという。
地球システムは二酸化炭素の大量かつ急激な増加に敏感に反応する。少なくとも今地球は、何らかのシグナルを発しているのかもしれない。
既に5度の大量絶滅があった。これは地球が、地球内生命体に課した淘汰と言ってしまえばそれまでだが、6度目は大量絶滅は、既にはじまっていると試算する研究者もいる。
長い年月をかけながらじわじわと全種の約4分の3以上が絶滅していくのか、あるいは5度目の時のように何らかのアクシデントで突如絶滅していくのか、それはまだわからない。
この研究は『Geology』(10月28日付)に掲載された。
瀬部倫一郎
よく目にする進化の系統樹は、進化が直線的に起こるというダーウィン的な発想から生まれてきたものだが、近年の様々なDNA解析からいろんな氷岩がされるようになってきた。
16S
rRNAという遺伝子による枝分かれの時期に着目した直線的な系統樹(ウーズ、ゴガーデン、岩部ら)
リンク
長谷川政美による系統樹曼荼羅
リンク
同、真獣類の系統樹曼荼羅
リンク
線の長さは地質年代に比例し、中央の赤い円は恐竜が絶滅した6500万年を表す。
以下進化生物学者の長谷川政美氏のブログから引用する
リンク
近年さまざまな生物のDNA解析が進み、それらの生物を壮大な生命の樹のなかに位置づけることができるようになってきた。系統樹の表現方法にはさまざまなものがある。矩形の表現法が最も一般的であるが、生物種のすがたを写真や絵で表わそうとすると、たくさんの種を含めることが難しくなる。
別の表現法に、円形系統樹がある。共通祖先を中心に配置し、そこから放射状に生物種が進化してきた様子を表現するのである。枝分かれの順番を中心部で表現すれば、まわりの広いスペースに多くの写真や絵を張り付けることができる。1つの共通祖先から出発して多様な生物が進化してきた様子を図像的に表現するのには、このような方法がよいのではないかと私は考えた。
この表現法は「系統樹マンダラ」と呼ばれる。密教のマンダラ
Mandala
は、たくさんの尊像から成り立っており、それらがある法則や意味に従って配置されてこの世界を表現しているという。系統樹マンダラの場合の配置の法則は、系統関係、つまりダーウィンのいう「変化を伴う継承」である。「Manda」には、サンスクリット語で中心、あるいは円という意味があり、マンダラには中心点に関する対称性がある。密教のマンダラにならって、円形の系統樹、つまり系統樹マンダラにすれば、中心点は共通祖先になり、それぞれの種をどう配置するかを決める規則は、共通祖先から枝分かれを繰り返しながら種が生まれてきたことを表現する系統関係になる。
一つの共通祖先から地質学的には比較的短期間に多様な子孫が進化することを「適応放散
adaptive radiation」というが、まさに放散するように進化する様子を図像的に表現するのに、系統樹マンダラは適している。
渡辺卓郎
ガン治療やガン予防は様々な見解があり、いったい何が正しいのか?何を信じれば良いのか?と迷ってしまう。
日常生活の中か「何か」を変えなければと誰もが思うところである。
その中でも、最も気軽に始められて、かつ効果的と考えられるのが「運動」ではないだろうか。現代社会の日常生活を送る上では、意識しなければ日常的な運動時間を取ることは難しいかもしれないが、意識すれば1日10分の散歩から始めることは出来ないことではない。
来年こそは!と考えている人は、是非2020年から少しずつ運動を日常生活に取り入れてみるのも良いことだろう。それが、ガン発生の予防につながるのであれば、安いものである。
(リンクより引用)
推奨される運動は7つのがんの発生確率の低下と関係性がある。75万人が参加した9つの研究分析をもとに国際的な医師グループがこのような結論にいたった。研究結果は専門学術誌Journal
of Clinical
Oncologyに掲載されている。
世界保健機構(WHO)は早歩き、水泳、ランニング、エアロビクスなど、毎日様々な運動を行うことを推奨している。年齢に応じてWHOの推奨は時間や量など負荷が異なっている。研究者らは以前から、このような負荷ががん発生確立にどの程度影響するか解明したいと考えていた。
この問いに答えるため、米国、スウェーデン、オーストラリアの研究者らは過去の調査を分析した。その対象として75万人以上が参加した9つの研究が選ばれた。被験者はそれぞれ自身の身体活動を語り、その話と15種類のがんに関して被験者が診断された頻度を比較した。
その結果、安静状態の7-15倍のカロリーを消費する推奨身体活動は、7つのがん疾病率の低下と統計的に関連があることが分かった。その7つは直腸がん、乳がん、子宮内膜がん(子宮上皮層がん)、腎臓がん、肝臓がん、骨髄腫および非ホジキンリンパ腫であった。運動レベルによってがん発生率は8%から27%の割合で減少していた。
調査分析の対象は主にコーカソイドであり、また全てのがんを網羅しているわけではないなど本研究には制限が多いものの、WHOの推奨する運動負荷はがん予防において重要であると研究者らは結んでいる。
(引用終わり)
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また、青少年の運動不足も近年問題視されている。運動をしないことが、健康に悪影響を及ぼす大きな原因の一つになっているようだ。
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青少年の80%が運動不足=WHO(リンクより引用)
世界保健機関(WHO)は、青少年の80%以上が運動不足であり、健康に悪影響を及ぼしていると発表した。WHOは、青少年の運動不足を解消するための対策を各国は早期に講じる必要があると考えている。医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・
アドレセント・ヘルス(The Lancet Child & Adolescent
Health)」にWHOの調査結果が掲載された。
調査では、レジャーとスポーツ、家事、ゲーム、ウォーキング、サイクリング、体育などが考慮された。青少年の運動不足を解消するためには「早期の対策が必要」だと強調されている。
調査は146か国の11歳から17歳までの学生160万人を対象に実施され、80%以上の学生(女子85%、男子78%)が、推奨されている少なくとも1日1時間の中等度から高強度の身体活動を行っていないことがわかった。
また調査では、146か国中142か国で女子のほうが身体活動量が少ないことが明らかとなった。
(引用終わり)
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運動を意識的に増やすことで、ガン予防につながることを示唆する研究も近年では多くなってきた。2020年は、日常生活の中に運動を意識的に取り入れてみると良さそうだ。
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運動、さらに運動! 研究者らがガンによる死亡の予防について指摘(リンクより引用)
スペインのア・コルーニャ大学の研究者らは、身体的運動は、ガンや心疾患、他の疾患に関わる早死の予防に確かな効果があることを明らかにした。サイト「EurekAlert」のプレスリリースが発表した。
平均年齢64歳の女性4714人が参加した調査では、ルームランナーでの運動時の心臓超音波検査が行われた。
メタボリックの基準を10とし、それに相当またはそれ以上となる持久力の指数を示した女性とこの数値以下の女性の比較を行った。レベル2程度は階段を素早く上る状態に相当する。
4年以上にわたる観察結果では、心血管の疾患による死亡事例は345ケース、ガンによる死亡は164ケース、他を原因とする死亡は203ケースだった。その際、身体的運動レベルが悪い女性の年間死亡率は、身体的運動レベルが良い(2.2%と0.6%)に比べ4倍高く、年間のガンによる死亡率も2倍(0.9%と0.4%)高くなった。
デイリー新潮 リンク より、以下転載
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医者や医療従事者が「ジェネリック薬」を飲まないこれだけの理由
■医者が飲まない「ジェネリック薬」(1/2)
まったく一緒であるなら安いほうがいい。厚労省が、来年には薬全体の80%を占めるまでに増やす、としているジェネリック医薬品も、オリジナルと同じなら財布にやさしくて嬉しいかぎりである。しかし、医者は飲まない、その根拠もある、と聞かされると――。
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懐にやさしいのは、だれにとっても嬉しいことだが、さりとて安かろう、悪かろうでは困る。その点でジェネリック医薬品(後発医薬品)は理想的な存在のように見えないか。「新薬(先発医薬品)と有効成分が同じで、同じ効き目をもつ」と宣伝されているのが本当なら、価格が新薬の7割から、安いものは2割ほどというジェネリックは、ありがたいというほかない。
日本の医薬品に占めるジェネリックの割合は、昨年9月の調査で72・6%。来年9月までに、これを80%にすべく、現在、厚生労働省が音頭をとっている。
さるジェネリックの製薬会社のCMで流れる、「なによりも患者さんのために」というフレーズ通りに、患者ファーストの施策ということだろうか。だが、総合内科専門医である秋津医院の秋津壽男院長は、
「ジェネリックの普及を国が推し進めているのは、保険財政の破綻を防ぐためであって、患者の健康を考えてやっていることではありません。あくまでも財政ファーストで、患者ファーストではないのです」
と、きっぱり。それでも結果的に、患者のためになればいいわけだが。ジェネリックとはなんであるのか、保険財政の事情とからめて確認しておきたい。
厚労省のHPには、
〈後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものです〉
と書かれている。これを厚労省担当記者に、少しかみ砕いてもらおう。
「新薬は研究開発に始まって発売されるまでに、10年、15年とかかり、数百億円の投資が必要です。だからその分を回収するために、特許を出願したら20~25年は、開発した会社が独占的に製造、販売できます。でも特許期間が終われば、ほかの製薬会社が、同じ有効成分の薬を作って売ることができます。これがジェネリックで、研究期間が3~5年ほどですみ、開発費が格段に抑えられるので、価格も安くできるのです」
一方、医療保険財政云々というのは、実際、のっぴきならぬ問題である。
「2018年度に医療機関に支払われた医療費総額は42兆6千億円で、そのうち約2割は薬剤費。40年には67兆円になるという予測もあって、国家が破綻しかねないほどです。個々の健康保険組合も6割超が赤字で、薬価を抑えなければ、われわれの生命を支える国民皆保険制度さえ、ひっくり返ってしまいかねない状況だといえます」
医療保険財政が、患者が医療を受けられなくなるほどの危機にあるのなら、「財政ファースト」も致し方あるまい。いずれにせよ、「同じ」薬が安くなるなら、歓迎しない理由はなかろう。
医薬情報研究所SICの医薬情報部門の責任者、薬剤師の堀美智子さんも、
「医療費を削減するうえで、ジェネリックの活用はとても大切です」
と言う。ただし、こう付け加えるのである。
「だからこそ正しい知識を持ってほしいです。日本ではジェネリックは“先発薬と同じです”という紹介をされ続けているせいで、なかなか正しい知識が広まりません」
「同じ」が間違いとは、どういうことだろうか。
「ジェネリックは先発薬とくらべて、主成分となる原薬は同じですが、製造方法や添加物は異なります。ハンバーグにたとえれば、肉は同じでもつなぎやこね方は異なるということ。そのうえ原薬についても、混雑物が含まれて、安全性が疑わしい場合があります。原薬に発がん性物質が含まれている、という問題が発生することもあります」
聞き捨てならない話である。まずは現場の医師の声に耳を傾けることにしたい。
■「効果に大きな差がある」
「医師の多くは、本心ではジェネリックを信用していません。私の友人にかぎれば、ジェネリックを使いたいと言っている医師は一人もいません」
と話すのは、『医者はジェネリックを飲まない』の著書がある内科医の志賀貢氏で、こう続ける。
「厚労省が、18年度の9月診療分の医療費から、企業が加入する3517の保険組合のジェネリックの使用率を明らかにしたデータがあります。全国平均は72・5%でしたが、『日経メディカル』がさらに分析したところ、医師国保にかぎると58・2%でした。つまり医師や医療従事者、その家族らのジェネリック使用率は、全国平均よりはるかに低いのです。理由は、薬効や安全性に関する納得できるレベルのエビデンスがないからです。厚労省や製薬会社は“先行薬と同じだ”と言いますが、たとえ原薬は同じでも、製剤方法や添加物は異なります。また、どう製剤されているのか、それが適正なのか、確認されていないので、信用できないのも当然です」
もっとも、志賀氏はジェネリックを目の敵にしているのではない。
「医療費の高騰は大きな問題で、よいジェネリックは進んで使うべきです。しかし臨床の現場では、苦しんでいる患者さんを前にしたとき、どうしても信頼できる薬に手が伸びます。昨年10月から、医療費がタダになる生活保護受給者には、原則としてジェネリックを調剤することが義務づけられました。でも、“この患者は生活保護を受けているからジェネリックにしよう”とは思わないですよ」
山上勝義
デイリー新潮 リンク より、以下転載 続き
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むろん、「思わない」のは臨床の現場での経験にもとづいてのことだという。
「使ってみれば、効きの違いがわかるものです。たとえば、危篤状態に陥った患者さんに点滴するドパミン塩酸塩。危篤状態とは、様々な体液が循環不全となり、ショックを引き起こし、容体が悪化すること。そのような緊急時に血圧を安定させ、心不全を改善し、利尿作用を促し、体液の循環をよくする緊急薬の定番です。これがブランド品とジェネリックとで効果に大きな差があるのです。看護師だって“ジェネリックのほうは効果が半分かな”と言っています。ブランド品なら、1分間の点滴滴散が10滴で効くのに、ジェネリックだと15滴でも、20滴でも、そのレベルに至らないことがある。結果が血圧や心拍数として、数字にはっきり出ます。ブランド品は値段が4倍もし、使いすぎると病院経営を圧迫するし、役所からも目をつけられます。それでも自腹を切って使うこともありますよ」
ただし、効果が異なる理由はわからないという。そういう前提で、ほかに先行薬のほうが効いた薬の製品名を挙げてもらった。
「循環薬ノルアドレナリン、副腎皮質ホルモンのヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、止血剤シメチジン、呼吸不全治療薬ジモルホラミンなど、緊急薬として使うものが多い」
前出の秋津医師も、
「ジェネリック全体でみれば、レベルは相当上がっています」
と言いつつ、こう語る。
「高血圧の患者さんに処方する血管拡張剤のニフェジピン。時間をかけて体内で溶ける徐放(じょほう)性製剤でLとCRがあり、Lは12時間、CRは24時間かけて徐々に効いていきます。これをジェネリックに替え、“ドキドキする”“顔が赤くなる”と訴えてきた患者さんがいました。また、ぜんそくの患者さんに処方する気管支拡張剤のツロブテロールテープ。皮膚に貼る経皮吸収型製剤で、1日かけて徐々に効くように調整されていますが、ジェネリックによってはこの機能に差があるので、薬が速く吸収されすぎたのでしょう。手の震えや動悸が生じたという声がありました。気管支拡張剤は、量を増やせば手の震えや動悸が生じるのです」
■メーカーの技術力
秋津医師が述べた、2種の薬で見られた現象こそが、先に堀さんが指摘した「つなぎやこね方」の違いから生じたものだという。あらためて堀さんが言う。
「つなぎやこね方が異なる理由は、主成分の特許が切れてジェネリックが作れるようになっても、製剤に関する特許が残っている場合があるからです。薬を溶けやすくする添加物や、特殊なコーティング技術などの特許が切れていないと、その部分は真似ができません。それに、メーカーによって技術力に差がありますから、製剤に関する特許が切れていたとしても、その部分を先行薬とまったく同じにできるのか、という問題があります。特に製剤方法にこだわっている薬の場合、主成分が同じでも効き方に差が出てきます」
具体例については、さる薬科大の元教授が説く。
「ニフェジピンの先行薬の商品名はバイエル社のアダラート。2層構造の錠剤で、主成分が、消化液の多い上部消化管で溶ける外側に少なく、消化液が少ない下部消化管で溶ける内側に多く含まれ、体内でゆっくり溶けだすようにうまく作られています。これはカルシウム拮抗剤といい、血管平滑筋にカルシウムが入り込むのを抑え、血圧を下げる働きをします。しかし血圧が急に下がりすぎると、体は逆に、血圧と心拍数を上げようとします。だからゆっくり、徐放するようにしているのですが、ジェネリックの場合、メーカーの技術力によっては、必ずしもうまく溶けだしません」
ツロブテロールテープについても説明する。
「ブランド品ではテープの部分に主成分の微結晶がまぶされています。1日1回の貼付で、時間をかけて薬が皮膚から吸収される仕組みです。ぜんそくは早朝に呼吸機能が低下する場合が多いので、早朝にも薬が効くように設計されているのです。しかしジェネリックの場合、技術力の不足で速く効きすぎてしまうことがあるのだと思います」
堀さんに、ほかの薬の事例も挙げてもらった。
「ぜんそくの薬として処方されている気管支拡張剤テオフィリン。12~24時間かけて、徐々に血中に溶けだす徐放性製剤です。これも製剤方法が違うと溶けだすスピードに差が出て、先発薬やほかのジェネリックとくらべて、効果が減弱したり、一気に出すぎたりする可能性があります。テオフィリンはまた、血中濃度による有効域が狭い。血中濃度が高くても低くてもダメで、ちょうどいい分量にコントロールするのが難しく、注意が必要なのです。有効域の狭さという点では、てんかんの患者さんに処方する抗けいれん薬のカルバマゼピンも注意が必要です。薬を替えて、血中濃度のわずかな差が出ただけでも、効き方が異なってしまうので、最初に処方された薬をできるだけ替えないほうがいい。こうした注意を、世界中のてんかん学会が促しています」
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山上勝義
yahooニュース リンク より、以下転載
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「中国」「インド」産のジェネリック薬が危ない 発がん性物質が検出も
■医者が飲まない「ジェネリック薬」(2/2)
ハンバーグにたとえれば、肉は同じでもつなぎやこね方が異なる――ジェネリックと先発薬の違いについて、薬剤師の堀美智子さんはこんなふうに例える。たとえ主成分の特許が切れても、添加物や特殊なコーティング技術などの特許が残っているため、真似できない部分があるためだという。さらにジェネリックには、効き方の点以外にも問題があるのだ。
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「ラニチジンは、胃潰瘍や逆流性食道炎などの患者さんに処方される、胃酸の分泌を抑えるポピュラーな胃薬ですが、発がん性物質のNDMAが検出され、大きな問題になっています」
と、新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が話す。
「9月に、日本の厚労省に相当するアメリカのFDAが発表しました。アメリカの製薬会社は回収に踏み切り、日本でも、厚労省が製薬会社に成分の分析を依頼したところ、複数の製品からNDMAを検出。11の製薬会社が回収に踏み切りました。それらは先行薬とジェネリックにまたがっていますが、ジェネリックの割合が高まっている以上、ジェネリックに絡んだ問題だといえます」
薬に発がん性物質とは穏やかではない。原因はなにか。岡田医師が続ける。
「どういう経路で汚染されたのか、まだわかっていませんが、かなり不潔な環境でラニチジンが合成されていた可能性が高いと思います。NDMAは食べ物や水、タバコの煙などに含まれるニトロサミンの一種。環境中にありふれた物質なので、水が精製されていなかったり、空気がほこりっぽかったりすれば、容易に混入しますが、清潔に管理していればまず混入しません。実は昨年も、ポピュラーな降圧剤アンジオテンシンII受容体拮抗薬から、NDMAが検出されています。中国で製造された原薬から検出され、世界的に問題になり、日本でも1社のジェネリックが回収されました」
■研究に予算を割けない
これに関し、アメリカの著名なジャーナリスト、キャサリン・エバンさんの著書『Bottle
of
Lies』が話題になっているという。ナビタスクリニック川崎の内科医、谷本哲也氏は、
「インドや中国のジェネリック工場を取材し、FDAの内部文書を入手し、規制当局や製薬会社の担当者らにインタビューした内容がまとめられています」
と言って、続ける。
「エバンさんと私は今年9月、ドイツのハンブルクで共同講演を行いました。彼女は、インドのジェネリックメーカー大手、ランバクシー・ラボラトリーズ(当時)を取材した際、製剤への不純物混入やいい加減な無菌管理、設備の老朽化など、多くの問題があったことを発表しました。また、FDAは査察官をインドや中国に派遣し、立ち入り検査をしていますが、査察期間が事前に通告されるので工場側は準備し、設備の不具合を隠蔽したり、データを改竄したりと、対策を講じてしまう。さらには査察官を高級ホテルに泊め、ゴルフや買い物などで接待漬けにしていたそうです」
インドや中国に製造を任せるのはコスト削減のためだが、国内の200社近いジェネリックメーカーのうち、原薬などの製造国を公開しているのは、まだ一部だという。当局が公開を義務づけていないのだ。
岡田医師は、先に挙げたアンジオテンシンII受容体拮抗薬について、
「2017年、世界で最も権威ある学会であるAHA(アメリカ心臓病学会)の論文誌に、この薬を服用していた患者さんの副作用の数を比較すると、先行品よりジェネリックのほうが8~14%高かったという興味深い研究結果が載りました」
と加えた。ジェネリックのレベルが上がっていること、保険制度を破綻させないために必要であることは、だれもが強調する。そのうえで、岡田医師はこうまとめる。
「ジェネリックを論じる際の前提は、あらゆることがわかっていないということ。効果や副作用に関し、一部にAHAの論文誌のような例はあるものの、万人が納得できるエビデンスは、まだ揃っていないのです。そもそも特許が切れた状態で安く売るのが目的ですから、新薬のように研究に予算を割けません。学術調査の対象になりにくいのです」
では、我々はどう気をつければいいのか。総合内科専門医である秋津医院の秋津壽男院長はこう助言する。
「できるだけ聞いたことがある会社のジェネリックにしたほうがいい、とは言えるでしょう。中小メーカーでは、万一薬害が発生したとき補償が受けられないかもしれないからです」
薬剤師の堀さんは、
「原薬がどこで作られているのか、すべての薬で情報開示されているわけではないものの、薬局で聞くなりして確認するのはいいことです。そのような意識が高まれば国や製薬会社もプレッシャーを感じ、情報公開を進めていくでしょう」
と言う。どこでどうやって作られたのか。20年をジェネリック元年と謳うなら、厚労省は情報開示を積極的に進めるべきだろう。しかし、いま患者はどうすべきか。
「私の考え方は、初めての薬はなるべくジェネリックにしましょう、というもの。医師は最初に薬を処方する際は、患者さんに合うかどうか真剣にチェックしますが、ジェネリックに替えるときは、それほど注意を払わないことが多いからです。最初から注意深くジェネリックを処方しておけば、それが基準になって基本的には問題が生じません。もし合わなければ、量や用法を調整すればいい」(同)
あるいは、「つなぎやこね方」にこだわりがある薬なら先発薬を選べばよい。まずは、先発薬と必ずしも同じではないと認識して、医師や薬剤師に相談し、リスク管理をすることだ。
山上勝義
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