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2020年2月27日 (木)

【科学の本質を探る】生物進化論の未解決問題(その6)化学進化による生命の起源説 阿部正紀


【科学の本質を探る】生物進化論の未解決問題(その6)化学進化による生命の起源説 阿部正紀
リンク
より転載。

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今回は、原始の地球の海で有機物が作られ、生命へと進化したとする化学進化説が解決不能な問題を抱えていることを明らかにします。

【今回のワンポイントメッセージ】
化学進化に基づく生命の起源説は、確かな証拠が無く推察の域を出ないと進化生物学者から指摘されているが、化学進化が起きたことが進化学パラダイムの前提とされている。

「化学進化は神話」と述べる進化生物学者

現在の進化論では、地球上に生物が出現したのは約4億年前とされています。そして、それ以前に原始の海で無機物から有機物が合成され、それらが互いに結合してDNAやタンパク質などの生体物質、さらに原始的な生命体に進化したと考えられています。これを化学進化と呼びます。
化学進化は、1953年に行われた「ユーリー・ミラーの実験」で、原始の大気を想定した気体中でアミノ酸などの有機物が合成されたことから広く受け入れられました。ところが、その後、この実験で設定されていた気体の雰囲気(還元性)が原始地球の大気とは異なることが分かり、支持されなくなりました。

聖書に基づく創造論にも、インテリジェントデザイン(ID)論にも反対している進化生物学者のフラクリン・ハロルド――コロラド州立大学・名誉教授(生化学)およびワシントン大学客員教授(分子生物学)――は次のように述べています。

「近年の研究から、原始の地球の大気は・・・ほぼ中性であったことが示されている。このような条件下では、有機物は容易には合成されないから、原始スープで生命が発生したという説は神話ではないかと疑われている。長い時間をかけ化学進化によって生命体を構成する部品が作られてきたとする様々なシナリオは支持を失っている」

卵(DNA)が先かニワトリ(タンパク質)が先か

生命体を構成する最も基本的な物質は、DNA(生命情報を保持し自己複製する)とタンパク質(細胞の構造や働きを支え、酵素の主成分として働く)です。ところでDNAの複製では、多くのタンパク質が働いています。従って、タンパク質が存在しなければDNAは合成されないのです。

ところが、そのタンパク質は、DNA上に塩基配列で暗号化された情報に従い、極めて複雑な手順で合成されます。それゆえ、DNAが無ければタンパク質は作られず、タンパク質が存在しなければDNAは合成されません。
化学進化には、「卵が先かニワトリが先か」のジレンマが伴うので、偶然に支配された自然のプロセスで起きたとは考えられないのです。

生命の起源は解明できないと示唆する進化生物学者

化学進化学が抱えるこのような謎や、先に説明した原始大気の雰囲気の問題などを解決するためにいろいろな説*が提案されています。
[*RNAワールド仮説、DNAワールド仮説、プロテインワールド仮説、黄鉄鉱の表面での化学進化説、粘土の結晶内での化学進化説など]
しかし、いずれも確かな証拠が存在せず、推測の域を出ていないと、進化生物学者たちが指摘しています。

進化論パラダイムと創造論/IDパラダイム

情報には必ず知的な発信者が存在し、暗号にも知的な考案者がいるはずです。DNAには生物を作るための全ての情報が塩基配列によって暗号化されており、それを解読するための道具(タンパク質)も暗号に基づいて、極めて複雑な手順によって作られます。
このようなシステムが、目的も計画も存在しない自然のプロセスで作られるとは考えらず、知的な存在者によって作られたに違いないという確信を人々に与えます。創造論者とID論者は、この確信に素直に従い、生命は神(知的存在者)によってデザインされ創造されたと考えます。
しかし、自然主義(超自然を排し、全てを自然法則で説明する)に立つ進化論者は、あたかも神によって作られたと人々が見間違えるような秩序――その最たるものが生命――が自然法則に従って作られたと考えます。それがいかに困難であっても、この原則を貫きます。これが進化論パラダイムの前提ですから、その枠組みの中でいわゆる「通常研究」がなされるのです。

進化生物学者アントニオ・ラズカノ(メキシコ国立自治大学教授)は、創造論とID
論を退ける理由を次のように説明しています。
「たとえ不完全であっても今日の進化の枠組みは、インテリジェントデザインのように超自然的な原理、あるいは宗教的な理由に訴える必要がないという点において優れている。進化論の証拠が科学的に不完全であるということは創造論を支持する証拠ではない。この問題に関していつまでも一致が得られず論争が続くかもしれないが、科学者それはそのような不一致があるからと言って探究を止めたりデータを捨てたりはしないで、むしろ解決に向けて挑戦していく」

【まとめ】
原始地球の海で生命が発生したとする化学進化説は、多くの難点、すなわち原始大気の雰囲気、DNAに暗号化された生命情報の起源、「卵(DNA)が先かニワトリ(タンパク質)が先か」のジレンマ、生命の起源を自己組織化の理論で説明できない、などを抱えている。
これらの謎を解決するためにさまざまな説(RNAワールド説など)が提案されているが、いずれも確かな証拠が存在せず、推測の域を出ていない。
それゆえ、多くの著名な科学者たちが生命の起源を地球外の宇宙に求めているが、これは問題の先送りでしかない。進化生物学者は、化学進化に基づく生命の起源を前提とするパラダイムの枠組みの中で「通常研究」を続けている。

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古越拓哉

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