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2020年2月13日 (木)

細胞核はウィルスによって作られた

 

細胞内のミトコンドリアや葉緑体が好気性バクテリアや光合成バクテリアが真核生物の祖先の細胞(古細菌アーキアに似たバクテリア)に飛び込み共生したといわれている。それだけではない、細胞核そのものがウィルス発の可能性がある。それを指摘した説を紹介する(「生物はウィルスが進化させた」武村政春著より)

すでにバクテリアサイズのウィルスや、さらには小型の真核細胞よりもゲノムサイズの大きなウィルス(パンドラウィルスやミミウィルス)が次々と発見されているが、これらウィイルスの中には、宿主の中に「ウィルス工場」と呼ばれる、自身(ウィルス)を合成(複製)するために、区画された場を作るものが存在する。
この「ウィルス工場」の構造は細胞核の構造と以下の点で極めて類似している。
①内部に大量のDNAが存在し、その複製がおこなわれている

②宿主の小胞膜に由来する脂質二重膜、もしくはその断片の膜成分によって、周囲が覆われている。
③宿主のリボソームはその中に、その周囲に(押しのけられるように)配置されている。この配置は核とリボソームの関係と同じである。

これらは宿主が「ウィルス工場」を形成する巨大ウィルスに感染し、細胞核はそれが進化したものであるということを暗示している。
つまり、次々とこのウィルスが感染を繰り返すうちに、宿主の細胞とウィルスのDNAに突然変異が起き、長い時間をかけてウィルスと宿主の関係が変化していった、というシナリオである。
例えば、ウィルス工場を形成する遺伝子のうち小胞体膜を周囲に引き寄せる機能を持つ遺伝子が変異し、小胞体そのものを周囲に引き寄せ配置する機能を持ったものが登場する(実際ボックスウィルスと呼ばれるウィルスはそのような機能を持つ)。或いはウィルス工場がウィルスの生産を終えても、小胞体膜は崩壊せずにそのまま居続けられコントロールできるなどの変異である。
小胞体の膜の膜タンパクと核膜の膜タンパクはアミノ酸配列の相同性が高く核膜は小胞体膜由来である可能性が極めて高い。つまり核様のものが恒常的に存在することになる。
後は、この膜がどのようにして宿主のゲノムを取り込んだかが問題になるが、これは十分あり得る話で、実際現在の真核生物のゲノムは、古細菌とバクテリアのゲノムが混在したものである。またミトコンドリアをもたらした、好気性細菌と宿主のゲノムも混合していると指摘されている。従って、ワイルスゲノムと宿主のゲノムに同様の事態が起こったとしても不思議はない

 

 

 

北村浩司

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