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2020年12月

2020年12月27日 (日)

原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに


原核生物でありながら、大型で柔軟な細胞を持ち、他の微小な生物を丸ごと細胞内に取り込んで消化する、真核生物の食作用に似た機能を持つバクテリア(細菌)を発見された。原核生物から真核生物への進化を探る上で、極めて重要な発見と注目されている。

以下、「原核生物の常識覆す、他の生物を丸のみする新バクテリア発見 ~真核生物誕生の謎を解き明かす手掛かりに~」リンクより
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筑波大学生命環境系の石田健一郎教授、同研究員の白鳥峻志博士(現:海洋研究開発機構)、鈴木重勝博士(現:国立環境研究所)らの研究グループは、原核生物でありながら細胞が大きく柔軟で、真核生物に特有の機能であるファゴサイトーシス(食作用)に似た捕食を行う真正細菌を発見しました。

我々ヒトを含む動物や植物、菌類が含まれる真核生物は、原核生物である真正細菌や古細菌と比べて大型で柔軟な細胞を有し、細胞内部の構造も非常に複雑です。真核生物特有の機能の一つとして、大型の粒子や生物を自らの細胞で包み込むファゴサイトーシスが知られています。アメーバなどの単細胞生物では餌の取り込みに、ヒトでは免疫系の一つとして白血球が病原体を排除する際などに用いられており、真核生物の最も重要な性質の一つです。

研究グループは、単細胞性の真核生物と同程度の大きさで、アメーバのように柔軟に変形しながら移動する奇妙な真正細菌‘Candidatus
Uab
amorphum’(以下ウアブ)をパラオ共和国から発見しました。詳細な顕微鏡観察を行ったところ、ウアブは自らの柔軟で大型の細胞を用いて、ファゴサイトーシスのように他の真正細菌や微小な真核生物を包み込んで捕食することが明らかになりました。その一方で、真核生物の特徴を多く示すにもかかわらず、ウアブのゲノムからは真核生物由来の遺伝子はほとんど見つかりませんでした。

これらの結果は、ウアブが真核生物とは独立して真核生物のような特徴を進化させたことを示唆しています。原核生物の常識を覆す全く新しい生物であり、原核生物の複雑性の進化や生態的役割に関する研究を大きく進展させる重要な発見です。ウアブがこれらの特徴をどのようにして獲得したかを解明することで、ファゴサイトーシスの進化はもちろん、真核生物がどのように誕生したのか、という生命の進化史における最も大きな謎を解き明かすためのヒントが得られる可能性があります。

 

 


斎藤幸雄

2020年12月24日 (木)

生態系モデルに激震! 生物はウイルスを食べているという有力な証拠が発見(米研究)



リンクより

自然界は食うか食われるかの弱肉強食の世界だ。食物連鎖のモデルによれば、生命は生産者、消費者、分解者のいずれかの役割を担っており、食いつ食われつの関係にある。ではウイルスはどうだろうか?
ウイルスは生物とは区別されているが、細菌とよく似た構造を持つ仲間も存在する。そんな彼らは食物連鎖の世界と無縁でいることができるのだろうか?

大気や海洋にはウイルス性バイオマスが漂っており、そこには生物にとっても有用な栄養が詰まっている。ならば、それをエサとして食べている生き物がいないことの方が不思議ではないか。生物がウイルスを食い、それをエネルギーや栄養素に変えていることを示すはっきりとした証拠はこれまで発見されていなかったが、このほどついにその有力な証拠が見つかったそうだ。

 
◆なぜか少ない食べられた細菌のDNA

アメリカ・ビゲロウ海洋科学研究所をはじめとするグループは、北アメリカ東海岸にあるメイン湾と地中海で1700ほどのプランクトン細胞を採取し、そこに含まれているDNAの構成を分析した。当然ながらDNAで一番多かったのはプランクトン自身のものだ。また地中海で採取したサンプルについては、そのプランクトンが食べたと思われる細菌のDNAが、およそ半分を占めていた。

だがメイン湾のサンプルについては、その割合が19%とかなり少なかったのである――。かわりに多かったのがウイルスのDNAだ。メイン湾で採取したプランクトンのDNA配列を解析したデータには、50種以上のウイルスの遺伝子の断片が含まれていた。

◆細菌に感染するウイルス

そうしたウイルスのDNA配列のほとんどは、「バクテリオファージ」という細菌に感染して増殖するウイルスのものだった。海の原生生物にとって細菌は一般的なエサだ。もし食べた細菌がウイルスに侵されていたのだとすれば、その体内からウイルスのDNAが見つかったとしてもなんら不思議はない。

しかしメイン湾で採取された「コアノゾア門」と「ピコゾア門」の仲間は少々話が違った。多くの場合、その体内から細菌性DNAが見つからなかったのだ。となると、バクテリオファージに感染した細菌を食べたことで、そのDNAが取り込まれたと説明することはできない。

さらに重要なのは、コアノゾアとピコゾアというまったく門が異なる原生生物から、ほぼ同じウイルスの配列が見つかっていることだ。このこともやはり、ウイルスの侵入経路が感染した細菌である可能性を低くする。

◆ウイルスは栄養満点のサプリメント

こうしたことは、あくまで状況証拠でしかないが、指や口の周りにお菓子のカスをつけた人を見つけたようなものだ。2種の生物がウイルスを食べていた可能性は限りなく高いと思ってかまわないだろう。

研究グループの生物情報学者ジュリア・ブラウン氏によると、ウイルスはリンと窒素が豊富で、炭素を豊富に含むエサの補助食品として有益かもしれないという。

またピコゾアについて言えば、この発見によって、ほんの数マイクロメートルしかないこの小さな生物が何を食べているのかという謎の解明にもつながるかもしれないそうだ。

◆生態系モデルに修正が必要になる可能性

バクテリオファージを食べている生物がいるという発見は、生態系における栄養の流れに関する従来のモデルを大きく変化させる可能性もあるようだ。細菌と原生動物の体内にある栄養は、より大きな生物に食われることで食物連鎖の上部へ向かって流れるものだと考えられている。

こうした食物連鎖にはウイルスも関与している。ウイルスに感染した海洋の微生物は、ほかの生物に食われる前に破壊されてしまい、それが持っていた有機物質を海底へと散らす。その一部は海底に積もり、一部は微生物によって食われ栄養になる。これを「ウイルス短路」といい、生態系におけるウイルスの役割だとされている。

しかし、そのウイルスもまた食われることがあるのだという新発見は、こうした生態系モデルにいくらかの修正を迫ることになるだろう。

この研究は『Frontiers
in Microbiology』(9月24日付)に掲載された。

 

 

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